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女がレイプされかけた話


122:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:36:32.03 ID:RIiTT7mH0

ナナとあの事件で会った時は恋愛感情なんざ持ち合わせていなかった。

だが、ナナの才能に気付いた時に

俺は何か運命的なモノを感じていた。

俺は文才を、ナナは話作りの才能を、

お互いに補う形で出会った。

キッカケはレイプ事件だが。




123:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:37:03.86 ID:RIiTT7mH0

現実にこんな事が起こりうるのだろうか。あまりに出来すぎている。

しかし、出来すぎているからこそ

一つのナラティブとして、小説に起こすことも出来る。

「事実は小説よりも奇なり、か」

口に出すとなんともよく出来た言葉だった。




124:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:37:32.72 ID:RIiTT7mH0

気が付くと、流れ作業で作ったサンドイッチが4つ出来ていた。

時を待たずして、ナナも目をこすりながらロフトから降りてきた。

「朝飯食うぞ」

とだけ言って、ナナをソファーに座らせる。

その顔はまだ少し沈んでいた。

もう迷うことはない。





125:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:38:05.02 ID:RIiTT7mH0

俺がナナの目をじっと見つめると、

ナナもきょとんとして俺を見ていた。

「ナナ」

ナナはまた顔を赤らめて、あたふたしている。

そういえば名前を言ったのは初めてだな。

「頼みがある」

そう言うと、ナナの顔は再びきょとんとした顔になった。

「ナナの物語を俺に書かせてくれ」




126:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:38:34.10 ID:RIiTT7mH0

………。

言ってしまった。

言われた当人は瞬きもせずに固まっている。

10秒の沈黙。

…の後に、ナナは涙を流し始めてしまった。

お、おい。

そりゃどういう了見だよ。




127:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:38:59.90 ID:RIiTT7mH0

「わ、たし…ひっく…昨日の夜、に…健吾さんを失望…うぅ……させてしまったと…思って…」

違う。そうじゃない。

俺が意地を張ってただけなんだ。

「で、でも……健吾さんからこんな事……言ってもらえて…ひっく……私、凄く嬉しくて……夢みたいで…」

嬉しいのは俺の方だ。

ナナとなら唯一無二のものが書ける。そう確信出来る。

だが言えない。なんだか気恥ずかしい。




128:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 18:39:25.70 ID:RIiTT7mH0

「…書いてもいいか?」

ナナはこくこく、と頷く。

か、可愛い…

目を背けちまいそうだ。

「とりあえず朝飯食べようぜ」

いつまでも泣きじゃくるナナに

サンドイッチを促す。

ああ…涙がボロボロとサンドイッチに…

それ、しょっぱそうだな…。




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