女がレイプされかけた話
1:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:13:53.86 ID:RB19Goxc0
筆が進まない。
もう3日ずっとこれだ。
思いついたプロットを書いちゃあ消し、
その繰り返しでこれまでがどんな話だったかすら
分からねえ。
ああ、嫌になる。
2:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:14:47.53 ID:RB19Goxc0
もう時刻は25時を過ぎていたが
構わず自宅を出てオンボロのスーパーフォアに跨る。
家に篭ってちゃあ書けるもんも書けん。
明かりの少ない多摩川沿いを走りながら
担当の言葉を想起していた。
「表現と構成は申し分無いけど
ちょっとインパクトが無いよね」
分かってる。その位分かってるさ。
俺には読者を惹きつけるような創造力が無い。
新人賞を取れたのだってマグレみたいなもんだ。
5:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:15:29.73 ID:RB19Goxc0
俺は一年前に恋愛モノで新人賞を取って
少しばかり世間に持ち上げられた。
「すごく心に響く」だの
「言葉選びが絶妙」だのと
ワイドショーで紹介されてるのを見た時は
そりゃあ天狗になったもんだ。
担当も付いて気分はまさに文豪だったね。
なんのこたあない。
俺の一世一代の恋愛をちょっとばかし小綺麗に文に起こしただけだ。
とりわけ表現力だけはあったから
それがストーリーと上手い具合に噛み合って評価されたってワケだ。
6:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:16:39.15 ID:RB19Goxc0
それからというもの、俺は全く小説を世に出せていない。
作品の構成がある程度出来てるならまだしも
話すら出来上がって無かった。
担当にはダメ出しばかりされ、
愛想を尽かされる手前だった。
要するに俺ぁ、0から話を作れない
欠陥作家なんだ。
8:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:17:12.01 ID:RB19Goxc0
何か俺の周りで事件が起きねえか、
そんな事を考えながら柵に腰を下ろし、
煙草に火をつけて
ぼんやりあらぬ所を眺めていた。
ふと、一台のワゴンが目に入った。
暗くてよく見えないが、
中から数人の男が出て来て
女性に声を掛けているようだった。
こんな時間にこんな場所でナンパか?
と思ったが何か様子がおかしい。
9:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:18:42.33 ID:RB19Goxc0
足早に立ち去ろうとする女を取り囲んで…
暴れるのを強引に車に…おいおい、まさか。
見て見ぬ振りは出来ず、慌ててポケットを弄る。
…ない。携帯は家に置いたままだ。
止むを得ず単車で追跡を試みる。
ワゴンはそれほどスピードを出してないため
追うのは簡単だった。
この先に行けば大通りに出る…
運が良ければ信号に引っかかる。
そこでどうにかするしかない。
11:名も無き被検体774号+:2014/05/19(月) 20:19:40.09 ID:RB19Goxc0
…どうにか?
どうするんだ?
武器になるようなものはないし
ましてや相手は数人の男だ。
小説家が何か出来る状況ではない。
しかしモタついていたら…
いや、既に襲われているかもしれない。