女がレイプされかけた話
71:名も無き被検体774号+:2014/05/20(火) 01:00:46.00 ID:zNJX4Wd20.net
こりゃパスタの流れだわ
しかも、ジェノベーゼだわ
72:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 01:17:49.16 ID:hCLCO48b0
やっぱ何かあるな。
ナナの家を出る時もそうだったが、
何故か人目を気にしている。
昨日のことと関係が無ければ良いが…
「いいよ、俺が作る」
「でも」
「美味いの食わしてやるから」
それだけ言ってキッチンに立つ。
面倒は後回しだ。
73:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 01:18:43.64 ID:hCLCO48b0
ちゃちゃっと作った炒飯を机に置いて
ナナを呼ぶ。
2人で手を合わせて、ママゴトの様に
いただきます、を言う。
どれ位ぶりだ、こんなの。
炒飯を食べていると、ナナが不意に聞いてきた。
「新作は出さないんですか?」
今度は俺が止まりそうになる。
「…ご覧の通りだ。書いてる最中だ」
書けない、とは言わなかった。
ナナの期待を裏切る様な気がしたんだ。
74:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 01:20:05.15 ID:hCLCO48b0
「すごく楽しみにしてますよ、新作」
それは大変なこった。
何年かかるか分からねえな。
「私も一時期小説家になろうと思ってたんですよ。書きたい話があって、でも上手く書けないから諦めちゃいました」
「どんな話だ?」
なんとなく、聞いてみる。
「幽霊と女の人が恋に落ちちゃう話」
はは…
「聞かせてくれよ」
「えっとですね…」
何を言ってんだろうな、俺は。
75:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 01:33:28.52 ID:hCLCO48b0
「…という話なんですよ」
…驚いた。
思わず聞き入っちまった。
この子は…
「あんたはそれを応募しなかったのか?」
聞かずにはいられない。
「しようとしましたよ。でも、改めて読み返してみると雑な文で、まとまりがなくて…だから私、健吾さんの『夜と硝子』を見て感動しちゃったんです。とっても読み易くて、要所での表現がグッとくるんですよねー。」
この子は自分を分かっちゃいない。
ナナは、ストーリーを考える才能がある。間違いない。
それも数百と本を読んだ俺が聞いて
今までにない、と思える程に。
展開がありきたりじゃなくて、
軸がブレてなくて、物語の起伏、メリハリがある。
俺が持ってない物を溢れる程に抱えている。
正直俺は嫉妬してしまった。
同時に、「勿体無い」と思っちまった。
76:名も無き被検体774号+:2014/05/20(火) 01:35:31.89 ID:Ar6fU/KN0.net
読んでるよ
77:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/20(火) 01:41:42.89 ID:hCLCO48b0
「もう一回だ」
「え?」
「もう一回、今の話を聞かせてくれ」
それからナナの読み聞かせは
数時間に渡って続いた。
他にも考えた物語があるようで、
思い出しながら全て話してくれた。
途中、俺が物語の不明瞭な部分について聞くと、
これまた隅々まで語ってくれた。
ナナの才能は本物だった。
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