女がレイプされかけた話
236:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:18:47.74 ID:1ZBFq/lo0
一息に読んで、ソファーに凭れる。
ありったけの力で、ソファーの背を殴る。
笑い話だ。
ナナを守ると言っておきながら、これだ。
情けねえな、ほんと。
237:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:19:32.23 ID:1ZBFq/lo0
おそらく、ナナを探し出す事は出来ない。
人が本気で姿を眩ましたら、
個人の力じゃどうにも出来ない。
もう、会えない。
ふと、腹が減っている事に気が付く。
胃が音を立てて催促するので、
とりあえず何か作ることにする。
サンドイッチを作ろうと食パンを取ると、消費期限が1日過ぎている。
まあいい。
いつもの要領で、ささっと作る。
しかし、気が付けば4つ出来ていた。
238:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:21:01.73 ID:1ZBFq/lo0
思わず、呆れ笑いしそうになる。
まあ、腹も空いてるし、いいか。
ソファーに座り、黙々と食べていると、家の扉が開く。
エミが若干息を切らし、片手を膝にやってこっちを見ている。
「健吾くん、鍵閉めなきゃ…ってそうじゃなくて、安静にしてなきゃダメでしょ!何のんきにサンドイッチなんか頬張ってんの!」
怒り心頭といったご様子で、
俺の隣に座る。
そして、サンドイッチを取る。
食べるんかい。
239:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:21:51.06 ID:1ZBFq/lo0
一口食べて、エミが言う。
「…ナナちゃん、たぶん泣いてた。電話で話した時、ナナちゃんだ、って思ったから止めようとしたの。でも、すぐに切られちゃった」
ただ真ん前を見て、
俺は、そうか、とだけ返す。
何でもなさそうに、そっけなく。
部屋を見渡すと、綺麗に片付いていた。
俺の部屋とは思えない位に。
これからどんどん散らかっていくことだろう。
240:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:22:27.53 ID:1ZBFq/lo0
机の下を見ると、何かが転がっていた。
拾って見てみると、ナナのペンだった。
出てくなら、こういうもん忘れんなよ。
感情を抑えられなくなりそうで、
再びサンドイッチに手を付ける。
241:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:23:07.28 ID:1ZBFq/lo0
「早くしないと、手遅れになる。エミの言ったことは全部当たるんだな」
呟く様に言う。
しかし、不覚にも最後の方で震え声に変わってしまう。
誤魔化すようにまた、一口食べる。
エミはそっと俺の頭に手を置き、
ゆっくりと撫でてくれた。
また一口頬張るサンドイッチは、
少ししょっぱかった。
242:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:23:51.11 ID:1ZBFq/lo0
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エミが帰った後、病院にすぐに戻る気にはなれず、ただぼんやりとソファーに座っていた。
これからどうするか。
ナナと書いた小説、『165°』はたぶん心配は無い。
その内、刊行が決まったと電話が来るはずだ。
しかし、俺は書けない。
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