女がレイプされかけた話
273:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 23:35:42.98 ID:1ZBFq/lo0
「7ヶ月です」
すぐに返す。
「俺はその間、ナナを忘れたことは一度も無い。ただひたすら、今日の為に原稿に向かってきた」
俺もすぐに言ってやる。
「私だって忘れたことなんかありません!でも…迷惑をかけてしまって、まともに健吾さんと向き合えそうに無いんです」
「ありゃあナナの所為じゃないし、男はもう捕まった。心配せんでいい」
「でも、刑期を終えて出てきたら、また迷惑をかけてしまうかもしれません」
274:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 23:45:16.61 ID:1ZBFq/lo0
「そしたらそん時にまた考えりゃいい。引越しでもなんでもすれば良いんだ」
気が付けばナナの目に涙が溜まっている。
相変わらずの泣き虫だ。
「でも…」
ああ、もう面倒になってきた。
「でも」とか「迷惑」ばかりだ。
そんな口は、塞いでしまえばいい。
「!」
人目を気にせず、唇を重ねる。
俺の頬に、ナナの涙が落ちた。
275:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 23:57:44.51 ID:1ZBFq/lo0
「ん…」
ナナが声を漏らす。
10秒ほどで、唇を離す。
「俺はナナが好きだ。一緒にいてくれ」
ようやく言えた言葉は、やはりありきたりだった。
ナナはといえば、固まっていた。
やがて、言葉の意味を理解したように、
少し微笑んでこくり、と頷いた。
276:名も無き被検体774号+:2014/05/24(土) 00:02:15.46 ID:m9pzRa6+0.net
出だしは佐藤正午みたいだったな
277:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/24(土) 00:08:52.10 ID:CjAqaDet0
俺は、説明のつかない感情に支配されていた。
なんというか…まあ、要するに「好きだ」ということなのだが。
それとは、また少し違うのだが、
やはり言葉に表せない。
俺は赤くなった顔を隠すように、
帰るぞ、と言って歩き出す。
今はもう晴れやかな顔のナナが、
はい、と言って付いて来る。
278:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/24(土) 00:11:59.25 ID:CjAqaDet0
俺の手に、手を絡めるナナ。
それをしっかりと俺が繋ぐ。
俺が少し、ぎゅ、と握ると、
ナナも同じように握り返す。
まるでバカップルのようなやりとり。
そんな今、この時間が、どうしようもないほどに愛おしかった。
279:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/24(土) 00:20:24.29 ID:CjAqaDet0
—-
あと1分程で家に着くか、という所で
ナナが言う。
「健吾、さん」
ん、と返し、ナナの顔を見る。
しかし、俺から視線を外し、紅潮してしまう。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
思わず、くらっとしてしまう。
顔が熱くなっていく気がした。
こういう言い回しには弱いんだ。
ああ、と返事をする。
すると、ナナは笑っていた。
俺もつられて、笑みを携える。
ただ、不束者じゃあないと思うけどな。
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