女がレイプされかけた話
222:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:09:29.69 ID:1ZBFq/lo0
俺は……
少し前まで外に居た。
柵に座って……煙草に火を付けて……
それから何だっけ。
エミに話を聞いた方が早い。
そう思って、寝ているエミに声をかける。
「おい、エミ」
エミの柔らかい頬っぺたに、
ぺちぺち、と軽くビンタする。
223:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:10:04.61 ID:1ZBFq/lo0
「うぅ、ん」
やや呻き声をあげるエミが、
ゆっくりと瞼を持ち上げる。
俺を目で捉えてすぐ、
大層驚いた顔で言う。
「……健吾くん!」
がばっ、と抱き付いてくる。
豊満な胸が当たっているが、それどころではない。
224:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:10:59.10 ID:1ZBFq/lo0
エミの肩を掴み、
そっと俺から剥がす。
「なんで俺は病院に居るんだ」
疑問符は付けずに言う。
「……健吾くん、通り魔に襲われちゃったんだよ。バットで後頭部を強打されたみたいで、運が悪かったらもっとまずいことになってたって。それが一昨日のこと」
225:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:11:37.60 ID:1ZBFq/lo0
そのへんは俺にも何となく思い出せた。
だが…二日。
そんなに寝ちまってたか。
ふと、尋ねる。
「ナナがここに来なかったか」
少し間が空く。
「ナナちゃんは…」
226:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:12:48.16 ID:1ZBFq/lo0
俺の目を見て言う。
「一昨日の夜、健吾くんの携帯から電話が掛かって来て…出たら、女の子だった。多分ナナちゃんだと思う。多摩病院に健吾くんが居るから、宜しくお願いします、って。」
ナナが…エミに電話を?
エミは視線を下ろし、
何か含んだような顔をして、迷っているように見える。
227:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:13:15.99 ID:1ZBFq/lo0
嫌な予感がした俺は、
少し軽くなっていた身体をすぐに起こし、
ベッドの側、テーブルの上にあった俺の服を弄る。
あった、鍵だ。
服もそのままに、病室を飛び出す。
後ろでエミが何かを叫ぶが、止まることなく院内を駆ける。
228:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:13:54.92 ID:1ZBFq/lo0
多摩病院…それなら、走って行きゃあ俺の家まで15分もかからん。
日が背を射し、汗が流れる。
人が皆、俺の格好を不思議そうに見る。
気にしない。ただ走り続ける。
だが、水道橋に差し掛かる辺りで、脇腹に強い痛みが走る。顔が歪む。
だが、足を止めることは出来ない。
体は本能に正直に、動いてくれた。
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