女がレイプされかけた話
198:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:43:11.30 ID:SqPuqimc0
ナナは否定しない。
沈黙を保って涙し続けている。
ふぅ、と一息置いて俺は言う。
「俺が守ってやる。うちにいろ」
職業柄、もっと良い言葉を捻り出せる筈なんだが…
口から出たのは、何処にでも転がっているようなクサい台詞だった。
だが、俺の本心そのものだ。
199:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:43:40.62 ID:SqPuqimc0
ナナは顔をあげて、俺を見る。
俺はそんなナナを見て、愛おしいと強く思う。
言わないけどな。
まだ泣きじゃくるナナに何か言葉を掛けてやろうと思った時、
後ろで、ぱぁん、という音が聞こえた。
花火が上がっている。
そんな事もやるのか、ここは。
ほら、行くぞと声を掛けて、
涙を流したままのナナの手を取り
強引に外に連れ出す。
200:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:44:25.42 ID:SqPuqimc0
バルコニーにはそれなりの人が居て、
皆様々に、打ち上がる花火に合わせて声をあげている。
中には、ちらちらと此方を見る者もいる。
片方の手をポケットに突っ込み、
ぼんやりと花火を眺める俺。
時折俯きながらも、涙を目に溜めたまま花火を目で追いかけるナナ。
俺達は傍からどう見られているのだろうか。
201:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:46:23.82 ID:SqPuqimc0
今日始まって、嬉し泣きの女とその男。
それとも、これで最期だ、と涙を流す女と何と無い男、として見られているかもしれない。
しかし、そのどちらでもない。
まだ始まってもいないし、
終わってもいない。
これからなんだ。
…………
……
202:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:47:03.86 ID:SqPuqimc0
—-
流石のナナも疲れたのか、
家に入ると、ソファーにぺたん、と座り込んでしまった。
しかしそれでも笑みを作って、礼を言うナナ。
「今日は…本当にありがとうございました。とても楽しかったし、それに……嬉しかったです」
そうか、そりゃ何よりだ。
照れを隠すように、ぶっきらぼうに返事を返す。
一服しようと、煙草を取り出す。
が……ない。
はぁ、買ってくるか。
近くのコンビニに行ってくると告げて、家を出る。
203:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:47:34.05 ID:SqPuqimc0
—-
買った煙草のパッケージを開けて、
一本取り出し火を付ける。
柵に腰を下ろし、考える。
そろそろ、自分から言わねーとな。
さっきはあんな言い方だったから、
次はもう少し心に残る言葉を…
脳を切り替えて、言葉を探す。
と言っても告白なんてものはしたことがなかったために、
そのボキャブラリーは限られている。
204:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/21(水) 20:48:23.00 ID:SqPuqimc0
なにか斬新な言い回しにしようか。
どうせなら……などと、
脳内で作戦会議を開いている時に、
背後からとんとん、と肩を突つかれた。
反射で振り向く。
そこにいるバットを持った大柄な男……お前は。
男がバットを振り被る動作を見た次の瞬間、
強烈な痛みと共に意識がシャットアウトされた。
…………
……
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