【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」(その3)(完)
819:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:30:40:OM4v9M6U (18/31)
成幸 「ただいまー……って、何やってるんだ?」
成幸 「!? そ、それ、卒アル!? 小学校も中学校もある!?」
陽真 「成ちゃん、おかえり。いやぁ、みんな見たがるかなーって思ったら、見事に食いついたよね」
成幸 「べつにいいけどさ……。少し恥ずかしいな」
理珠&文乃&うるか&あすみ 「「「「………………」」」」
成幸 「っていうか真剣に見過ぎだろ!?」
成幸 「人の卒アルをそんな無言で見つめ続けることある!?」
成幸 「ほら、もうお昼休み終わり! 勉強に戻るぞ!」
理珠&文乃&うるか&あすみ 「「「「………………」」」」
成幸 「そんなに綺麗に無視されることある!?」
820:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:31:15:OM4v9M6U (19/31)
………………
陽真 「………………」
カリカリカリ……
陽真 (……結局、あの後はみんなまじめにずっと勉強してる)
陽真 (みんなすごい集中力だ。あの武元もずっとマジメにやってるもんな)
成幸 「………………」
陽真 (改めて、やっぱり)
陽真 (……成ちゃんはすごいなぁ)
陽真 「ん……」 (もうお茶がなくなっちゃったかな)
陽真 「……成ちゃん、お茶のお代わりいれてくるね」 コソッ
成幸 「……ん? ああ、悪いな」
陽真 「いいよ、気にしないで。……武元」
うるか 「ん?」
陽真 「ちょっと手伝ってもらってもいい?」
うるか 「? うん。いいけど……」
821:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:32:19:OM4v9M6U (20/31)
………………キッチン
陽真 「悪いな、武元。勉強中断させちゃって」
うるか 「ううん。全然。ちょうど動きたかったところだし」
うるか 「それより、こばやん、わざわざ温かいお茶をいれてくれてありがとね」
陽真 「もう肌寒い季節だしね。女の子は体を冷やさない方がいいでしょ」
うるか 「さすが、こばやんは細やかなハイリョができるイケメンだね」
陽真 「……はは。イケメンではないと思うけど、ありがと」
うるか 「……ね、こばやん。……本当にありがとね」
陽真 「うん?」
うるか 「……小学校のアルバム、見せてくれて」
陽真 「ああ、アルバムか」 クスッ 「言ってくれれば、いつでも見せるよ」
822:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:33:15:OM4v9M6U (21/31)
うるか 「小学校の頃の成幸、あんなに明るい顔をしてたんだね」
陽真 「……ああ。そうだね。あの頃の成ちゃんは、うん」
うるか 「卒業式の集合写真は、やっぱりちょっと暗かったけど……」
陽真 (その頃は、そう……)
陽真 (成ちゃんのお父さんの体調がかなり悪くなってたから……)
うるか 「あたしが成幸と出会った頃は、結構暗かったから」
うるか 「昔の成幸って、結構新鮮だなー、って」
うるか 「……まぁ、中学校でも、成幸はいつの間にか今みたくなってたけど」
823:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:33:50:OM4v9M6U (22/31)
陽真 「………………」
陽真 「……いつの間にか、じゃないよ」
うるか 「……?」
陽真 (……俺は、だって、ずっと小さい頃から成ちゃんのことを見てたから)
陽真 (ずっと。だから、知ってる)
陽真 (武元、お前が……)
陽真 (お前が、水希ちゃんを救って、成ちゃんを救ってくれたことを)
陽真 (成ちゃんに笑顔を取り戻させてくれたことを)
陽真 (俺にできなかったことを、お前がやってくれたことを)
824:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:34:24:OM4v9M6U (23/31)
うるか 「……こばやん?」
陽真 (これを言ってやったら、何か変わるかな)
陽真 (智波ちゃんもきっと喜ぶだろうな)
陽真 (……でも、違う)
陽真 (俺は成ちゃんが幸せなら何でもいい。でも、成ちゃんが選んだ幸せが、一番いいに決まってる)
陽真 (……だから、俺は)
陽真 「……何でもない。お茶も入ったし、戻ろっか」
うるか 「う、うん……」
陽真 (……そう。俺は、成ちゃんの気持ちを代弁したりしない)
陽真 (武元の背中を押すようなこともしない)
陽真 (だから……)
陽真 「……なぁ、武元」
うるか 「? 何?」
825:以下、名無しが深夜にお送りします:2025/04/28(月) 21:35:27:OM4v9M6U (24/31)
陽真 「さっき、緒方さんたちには色々聞いちゃったけどさ」
陽真 「俺は、成ちゃんが幸せなら、何でもいいんだ」
うるか 「……?」
陽真 「成ちゃんが誰かとお付き合いしても、結婚しても、幸せならそれでいい」
陽真 「何だったら、ずっと独身のままでもいいと思う。それで成ちゃんが幸せなら」
陽真 (俺は、智波ちゃんたちみたいに誰かを応援したりはしない)
陽真 (けど……)
陽真 「それでも、俺はやっぱり、思うんだよ」
陽真 「武元と一緒にいる成ちゃんが一番幸せだろうな、って」