1: 2025/04/11(金) 11:53:12.32
国の公的年金は高齢者だけが受け取るものではない。病気やけがで一定の障害がある場合、現役世代でも受給できる「障害年金」という制度がある。
全国で240万人近くが受け取っているのだが、昨年からこの障害年金で異変が起きている。支給を申請しても「障害が軽い」と判定され、認められないケースが増えているのだという。
どれぐらい増えているのか、記者が各地の社会保険労務士に協力してもらってサンプル調査をしてみると、精神障害と発達障害では、不支給と判定される人の割合が2倍に増えていた。なぜなのか。
取材すると、いろいろと不可解なことが出てきた。
(共同通信=市川亨)
▽「助けてほしい」
東海地方に住む20代の城島志帆さん(仮名)は、もともと発達障害があり、対人関係が苦手だった。高校時代にはいじめを受け、不眠や自殺願望があった時期もある。
結婚、出産したものの子どもを亡くす不幸に見舞われ、5年ほど前にうつ病を発症した。意欲が湧かず、仕事はできない。現在は実家で訪問看護を受けながら両親と暮らす。
障害年金はうつ病でも要件を満たせば受給できる。両親との生活が精神的な不安定さの一因でもあるため、城島さんは「障害年金を受け取って、1人暮らしをしたい」と昨年、社会保険労務士に手続きを依頼した。
申請に必要な診断書を主治医に書いてもらったところ、城島さんの日常生活能力は、日本年金機構のガイドラインに当てはめると、2級の年金支給(障害基礎年金の場合で月約6万9千円)が目安になるという診断だった。障害年金の等級は重い順に1~3級と定められている。
ところが、結果は不支給。理由は、障害の程度が軽いとみなされたためだ。年金機構から届いた通知では、判断の根拠の一つとして「抗うつ剤の処方がされていない」ことが挙げられていた。
ただ、これには理由がある。城島さんは一時期、薬を過剰摂取(オーバードーズ)したことがあり、「またオーバードーズしてしまうのでは」という不安から、年金を申請した頃はあえて薬を処方してもらっていなかった。現在は服薬している。
「こんなにつらいのに障害年金、もらえないんだ…」。城島さんはがっくりした。「助けてほしいので、認めてほしい」。取材にそう声を絞り出した。
▽「揚げ足取りのようだ」と社労士
不支給という結果は、城島さんの申請を代行した社労士の白石美佐子さんにとっても驚きだった。依頼を受けたとき、城島さんは母親に連れられて来て、面談中も泣いてうまく話せない状態だった。白石さんは「これだけ重いケースだったら、当然受け取れるだろうと思った」。
一方で白石さんはこうも話す。
「2024年に入ってから、年金機構の判定が明らかに厳しくなった。診断書とは別に、昔のカルテの開示や主治医の意見照会を求められることが増えた。不支給にする理由を何とか見つけようとしているとしか思えない。城島さんの薬についての指摘も揚げ足取りのようだ」
取材すると、ほかの社労士からも同様の声があった。そこで、障害年金を専門に扱う各地の社労士にデータの提供をお願いして、サンプル調査をしてみることにした。
なぜ24年はこんなに増えたのか。年金機構に問い合わせたが、「9月に統計を発表するので、増えたかどうか自体、答えられない」という趣旨の回答だった。「審査方法などは変更しておらず、基準に基づき適正に判定している」と答えた。
▽判定は「ブラックボックス」
結局のところ、不支給が増えた理由はよく分からない。では、そもそも障害年金の審査はどのように行われているのか。
まず、申請は主治医の診断書などの書類を市区町村役場や年金事務所に提出する。書類が年金機構本部に送られ、機構から委託を受けた判定医が書類で審査する。言い換えれば、その障害者本人に会ったこともない医師が障害の程度や支給の可否を決めるということだ。
年金機構によると、機構本部の判定医は今年1月現在、140人いる。ただ、例えば障害者Aさんの申請書類を見るのは、基本的に1人の判定医だけだ。医師も人間。判定の厳しさには個人差が出ざるを得ない。特に、数値などで判断できない精神障害や発達障害では、ばらつきが出やすい。
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