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【洒落怖】洒落にならない怖い話『老女の人形』


822: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:03:46.78 ID:Js55b4hr0
俺が小学生の時の話。

家の近所にお寺があって、よく遊びに行っていた。
そこには70歳くらいの住職がいて、境内やら
敷地やらに入っても、怒らず自由に遊ばせてくれた。
たまにお菓子なんかも出してくれて、
俺は近所に住むタカシと放課後は
よくそこで過ごしていた。

その寺は近所に多くの檀家をもっていて
町内の寄合いやら、新年会なんかもそこで行っていた。
住職は物腰の柔らかい温和な老人という感じで、
町の人たちからの信頼も厚かった。

ある日、俺とタカシがいつものように寺で遊んでいると
住職がおもしろいものを見せてあげようと言って
ある人形を出してきた。
https://livedoor.blogimg.jp/nwknews/imgs/3/7/37c012bf-s.png






823: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:06:12.63 ID:Js55b4hr0

その人形は15cmくらいの小さめの人形だった。
濃い赤の和服を着て、白い顔と長い髪、細くてつぶらな瞳
が印象的だった。市松人形とは少し違って全体的に
細身な出で立ちだった。また、かなり古い人形みたいで
最初は鮮やかな赤だったと思われる
和服の色は黒ずんでいてところどころ破れていた。
髪もぼさぼさで、色の落ちた髪の毛は
白髪のようにも見えた。そのためか顔の表情は生気がなく
少女の人形というよりは老女の人形と言った方が正しいような
見た目だった。

住職はその人形を俺とタカシの前に出し、人形の頭をつかむと
指と立てて少し強めに押した。すると、
「・・ぁ・・・ぃぎ・・ぃぃ」
人形が鳴いたのだ。
「すげー。音出した。」
俺とタカシは驚いた。
住職は俺とタカシの驚いた様子をみて
少しニヤニヤすると、黙ったまま
今度は人形の首に親指を立て、喉をグッと押した。
「・・ぅぅ・・ぎぃぃ」
また人形が鳴いた。さっきとは少し違う鳴き方だ。
「おお。また鳴いた!住職これどうなってんの?」
俺はきいた。
「さぁのお。ワシも詳しい仕組みはわからん。
じゃがおもしろいじゃろ?お前らもやってみるか?」
住職はそう言うと俺とタカシに人形をさしだした。




824: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:07:33.43 ID:Js55b4hr0

俺は住職のやったように人形の頭をつかんで軽く握ってみた。
しかし人形は音をださない。タカシも同じようにしたが
人形はなにも反応しなかった。
「あれ?音ならないよ。住職どうやるの?」
タカシが聞いた。
「ひひひ。ちょいとコツがあるんじゃよ。ただ少なくても
もっと強く押さなきゃの。」
住職は笑いながら言った。

そう言いながら住職は人形を逆さに持ち替えた。そして今度は
人形の膝を固定し、膝から下を普通とは逆に曲げた。
人形の足の関節はミシミシいっていたが
住職は気にしない様子だった。
「・・ぎゃぃぃ・・ぅぅ・・」
人形がまた鳴いた。
住職はそれをみて満足そうに笑った。
「別に人形をいたわらなくてもいいんじゃよ。むしろ
壊すくらいの気持ちの方が、いい声で鳴いてくれるんじゃ。」
住職は言った。





825: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:08:40.64 ID:Js55b4hr0

その後、俺とタカシは人形を鳴かせることに成功した。
確かに、躊躇せずに強く押したり、曲げたりすると
鳴くのである。別に鳴くポイントがあるわけじゃなく
体のいろんな部分を押し曲げしても鳴く。鳴き方も
一定ではなく、いろんなバリエーションがあって、
本当にどういう仕組みなのか不思議だった。

ただその人形はどのバリエーションで鳴く時も
とても苦しそうに鳴いた。また古い人形のせいか
顔にもシミがあったり、ところどころ色落ちしていたため
表情が暗く見える。だから鳴く時は
苦悶の表情を浮かべているように見えた。

最初はおもしろがっていた俺も、だんだん
気味悪く感じるようになった。
「ねぇ、あきたよー。タカシもう行こうよ。」
俺はタカシに言った。
「もうちょっと。もうちょっと。」
タカシはまだ飽きていない様子だ。
住職と一緒にあの手この手で人形を鳴かせて
笑っていた。
俺はその日、先に帰った。




826: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:09:33.74 ID:Js55b4hr0

その日以降も、最初は今まで通り、俺とタカシは寺によく
遊びに行っていた。

ただあの日以来、あの人形のことが気になるようになった。
住職は普段は人形を古い木箱の中にしまっていた。
さすがに町内の大人たちに、人形で遊んでいる姿を
見られるとまずいと思っていたのだろう。
だだ、たまに俺とタカシのいる前だけ、人形を木箱から取り出して
見せつけるかのように鳴かせるのだ。
「実は毎晩これをやるのが日課でな。ひひひ。」
住職はある時こう言っていた。
俺は毎晩部屋で一人、人形と戯れている老人の
姿を想像して、すこしぞっとした。

また、俺には不思議に思っていることがあった。
あれだけ人形に執着している住職だったが、
人形の扱いはひどくぞんざいだったのだ。
鳴かせる時に乱暴に扱うのはもちろん、
手入れは全くしていない様子だった。
人形は常にボロボロな状態だった。
ある暑い夏の日なんかは、人形を炎天下の中、
直射日光のあたる縁側に置いていた。
「こうしておくと、夜いっそういい声で鳴くんじゃっよ。」
住職はニヤニヤして言っていた。




827: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:11:19.02 ID:Js55b4hr0

そんな風に人形と関わる住職を知ってからは、
俺にとって住職は、温厚で知識豊富な町の賢者というよりは
ただの気味の悪い老人になっていた。
次第に寺からも足が遠のき、めったに寺の敷地には
近づかないようになっていった。
ただタカシはあれからもちょくちょく寺に遊びに
行っていたみたいだったが。

1年くらいたったある日、住職は死んだ。
病死と聞いたが詳しくは知らない。
住職の死後、寺は住職の甥が引き継ぐことになった。
その際、寺の大掃除をすることになった。
普段お世話になっている近所の人たちも
手伝うことになり、俺やヒロシも親に言われて
駆り出された。

寺では昔から、心霊写真等の霊的にいわくつきの
ものを預かる習慣があったそうなのだが
後を継ぐ住職の甥はあまり信心深くないというか
寺にあったそれらまで一斉に捨てようとしていた。




828: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/08/24(月) 22:12:33.63 ID:Js55b4hr0

その中にあの人形もあった。

俺はあの人形が捨てられると思うと安堵した。
しかしその時、ヒロシがその人形をほしいと言いだした。
「君、こんな小汚い人形がほしいの?」
住職の甥は怪訝そうに聞いた。
「うん。ほしい。」
ヒロシは言った。
俺は止めた。こんな気味の悪い人形はさっさと
捨てるべきだと思っていた。
住職の甥もあまり譲ることに乗り気でない様子だった。
しかしヒロシは頑として譲らなかった。
結局ヒロシはその人形を持って帰ってしまった。

「あの人形てなんなの?」
ヒロシが帰った後、俺は住職の甥に聞いた。
「さぁ。俺もよくは知らないんだが、かなり昔から
伯父はもっていたな。たしか30年くらい前から
この寺にあった。」
住職の甥は言った。
俺は住職の甥に、住職と人形についてあったことを話した。
「そうかぁ。君も鳴いているところを見たのか。気味の悪い人形だったろ。」
住職の甥はそう言うと、あの人形について教えてくれた。




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