【5/5】人生ド底辺だし、とやりたい放題だったクズの俺が父親になった話。喧嘩ばかりの嫁にイラついて家に帰らず女の家で過ごしてた俺に息子が通う保育園から連絡がきたのが始まりで…
819: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 22:58:12.27 ID:ktYFwS2/O
ハル「パパ。
きょうかえったらリレーのれんしゅうしようねw」
が今年の地域の運動会の親子リレーで、俺と走るのをハルはすごく楽しみにしてるんだ。
俺「分かったよ。
約束な」
ハル「うんやきそくな。
パパーバイバーイ」
誰に似たんだろうか?最近少し生意気になった。
それでも可愛いから罪だ。
俺はハルと家の前で別れた。
ハルは笑顔で俺に手を振って自転車を漕ぎ始めた。
これが最後に見たハルの笑顔だった。
820: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:00:50.23 ID:ktYFwS2/O
仕事中ずっと胸騒ぎしてたんだ。
着信。
サリナからだ。
休憩にまたかけるか。そう思いマナーに切り替えた。
すぐにまた着信。
いつの間にかサリナからの着信が10件。
しかも一分おきにだ。
俺はすぐかけ直す。
サリナ「ハルが…
ハルが…」
泣いて震えるサリナの声。
俺は頭が真っ白になった。
822: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:01:59.16 ID:ktYFwS2/O
俺はその場に携帯を落とした。
心臓が今にも止まりそうな感覚。
急いで病院に向かう。
まわりの声も音も何も聞こえない。
ただ自分の心臓の音だけが激しく鼓動する。
病院に着くと、
サリナと両親が先に来ていた。
サリナが俺に気づくなり、泣きながらしがみついてきた。
824: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:04:22.33 ID:ktYFwS2/O
トラックにひかれて即死だった。
顔には擦り傷があったけど、穏やかな表情だったのを覚えている。
俺はただ眠ってるだけなんだよな。
そう思って、何度もハルを揺さぶった。
俺「うそだよな?
ハル。
起きろ。
なぁ…起きてくれ…
なぁ…帰ったらリレーの練習するって…
約束しただろ…」
ハルはそのまま目を覚ますことはなかった。
827: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:06:36.72 ID:ktYFwS2/O
あの時からずっと気をつけてきたのにな。
だからずっとなかったんだよ。道路に飛び出すことなんて。
ハルは脇道に自転車を止めて、
道路に投棄してあった黒いゴミ袋を拾いに行ったそうだ。
それが犬か猫だかと勘違いしたのかもしれない。
ただのゴミだと分かってて拾いに行ったのかもしれない。
それはもう誰にも分からないことだ。
828: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:07:39.22 ID:ktYFwS2/O
サリナは自分が送らなかったから悪いんだと、何度も俺に謝ってた。
安心しきっていた俺が一番いけなかったんだ。
俺は泣いた。
病院の廊下に座り込みずっと泣き叫んでたのを覚えてる。
一人で痛かっただろうな。
一人で苦しかっただろうな。
一人で寂しかっただろうな。
ハルごめんな。
本当にごめんな。
833: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/08/24(日) 23:14:36.92 ID:ktYFwS2/O
それからの俺は仕事も辞めて家に引きこもった。
サリナもずっと辛そうだったけど、
サリナを思いやることも出来ないくらい、
俺の心はからっぽで何もする気がおこらなかった。
俺はサリナに実家に帰るように言った。
最低だな。
でも独りになりたかったんだ。
サリナは週に一回は家にやってきた。
ただ掃除して洗濯をして俺のご飯を準備して帰っていくだけ。
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