【ウマ娘怪文書】気を遣って貰わなくて良い、僕がやりたいからお願いしている。そう伝えたら、トレーナーさんは嫌な顔一つしないで合鍵をプレゼントしてくれた。それでも、トレーナーさんがいない日にあの人の家にお邪魔するのは初めてだった
1: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:32:18
気を遣って貰わなくて良い、僕がやりたいからお願いしている。そう伝えたら、トレーナーさんは嫌な顔一つしないで合鍵をプレゼントしてくれた。それでも、トレーナーさんがいない日にあの人の家にお邪魔するのは初めてだった。
過度に踏み込むつもりはないから、簡単な床掃除やお洗濯だけして、トレーナーさんの助けになれたら、トレーナーさんの日常に食い込めたら。そう思っていただけなのに、その日僕は要らない気を起こしてしまった。
寝室の掃除をしようとした時、ゴミ箱の中から偶然見つけた雑誌。そこには、大きな胸のウマ娘が水着姿でセクシーなポーズを取っていた。
「わわ…」
不思議と嫌悪感はなく、むしろ吸い込まれるように見てしまった。そう、だよね……。トレーナーさんだってこういうの見るんだ。別に変じゃないし、勝手に家に上がってる僕が悪いんだから。それでも……。
視線を自分の胸に下ろし、そっと手で触れてみた。小さいなぁ。雑誌に載っているモデルの人たちと比べて、自信がなくなる。トレーナーさんはきっと、大きな胸の人が好きなんだ。僕なんかじゃ……。
2: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:32:39
胸 大きくする方法 検索。色んなサイトに乗っている、美容整形とかに頼らない方法の中で、自分にも出来そうなものを考えてみる。ほとんどのサイトで紹介されていたことは食事、筋トレ、姿勢、生活ストレスの見直し。
食事と筋トレは難しい。勝手な食事と筋トレはトレーナーさんに止められているし、トレーナーさんにもっと見てほしいから胸を大きくしたいなんて、そのトレーナーさんに相談出来るわけがない。
やっぱり、姿勢を良くすることとストレスを溜め込まないことが僕に出来ることなのだろうか。思えば、姉さんはいつも姿勢が綺麗だし、ヴィブロスはストレスとは無縁そうな人生だし、そういうところがあの二人の大きな胸を育ててるのかもしれないな。
3: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:32:53
サイトには姿勢が悪いと胸も大きくならないと紹介されている。普段から猫背気味な僕は、まず姉さんみたいにしっかりとした姿勢に直すところから始めないといけない。
それから、ストレスを溜め込まないこと。これからは色々遠慮しないで、出来る限り我慢しないようにしていこう。ワガママになるのは行き過ぎだけど……、トレーナーさんは何だって受け止めてくれるし、約束してくれた。
だから、ヴィブロスみたいに、ちょっとは欲を出してもいいのかな……。でも、恥ずかしいよ。
4: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:33:07
それからしばらく、ついついだらっと猫背になりそうなところを背筋を伸ばして姿勢をよく保つ日々を過ごした。ストレスだって、今までみたいに遠慮して引っ込むことをしないように心がけ、迷惑にならない範囲で欲を出してみた。
その結果かどうかはわからないけど、胸のサイズが1サイズ上がり、下着を新調することになった。姿勢が良くなると、自然と自信も出てきた。もしかしたら、今の僕の胸なら、トレーナーさんは僕のことを好きになるのかもしれない。
そんな自惚れすら出てくるほどだった。でも、ちょっとくらいいいですよね。卑屈すぎるのは、信頼してくれている人に失礼だって、あの時言いましたもんね。だからその成果を見せたくて、トレーナー室までやってきてしまった。
「あの、トレーナーさん。僕何か……変わったと思いませんか」
姿勢を正して、トレーナーさんに向かって胸を張って立つ。真っ直ぐあの人を見つめるのはまだ恥ずかしいけど、それでもトレーナーさんが驚いてこっちを見ているのがわかる。
「すごいよシュヴァル、見違えたようだ」
5: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:33:25
担当ウマ娘のシュヴァルを、教え子として以上に好きになってしまってから、懸命にその気持を隠してきた。寝ても覚めても彼女のことを考えてしまう煩悩を振り払うため、適当なグラビア雑誌に手を出してみたこともあったが、ぱらぱらとめくって直ぐ様ゴミ箱に突っ込んだ。
雑誌の中のモデルたちは、シュヴァルではない。シュヴァルに恋い焦がれるこの気持ちはきっと、どうやっても埋めることは出来ないのだろう。それが教え子を好きになってしまった僕への、死ぬまでかかりつづける呪いなのだ。
彼女が卒業して引退したら、自分もトレーナーを辞めてどこか誰にも会わないで済む田舎にでも隠居しようか、そこで一生木彫りの仏像でも彫って過ごそうか、そんな冗談めいたことを考えていた時、彼女がトレーナー室にやってきた。
6: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:33:36
目の前に立つシュヴァルは、ピンと背筋を伸ばし、肩を大きく開いて胸を張っていた。その姿からは、いつもの縮こまった様子はない。自信すら溢れているように思える。
「すごいよシュヴァル、見違えたようだ」
僕が下らないことに頭を悩ませているうちに、彼女に何が起こったのか。もしや陰ながら変わろうと努力してきたのだろうか。そう思うと、自分を恥じると同時に彼女を称えずにはいられなかった。
7: 名無しさん(仮) 2025/02/10(月)21:33:51
トレーナーさんは惚れ惚れするような目でこちらを見ていた。よかった、気に入ってもらえた。心の中でガッツポーズをすると、もっともっと、夢中になってほしいという欲望が止まらなくなってしまった。
「触ってみてもいいですよ……トレーナーさんなら、僕……」
あわわ、僕はなんてことを。でも……もうこれでいい。我慢しない、遠慮しない。トレーナーさんが触るなら、望むところだ。目を瞑ってあの人を待つ。トレーナーさんの足音が近づいて、背後に回った。
トレーナーさんの手が、背中を撫でるように触った。予想外のことに変な声を出しかけたけれども、すぐにその意味を察した。もしかして、ホックを探している?ごめんなさい、今日はホックが前の下着なんです……。
それを伝えようかと思ったけれども、何だかトレーナーさんに恥をかかせてしまいそうで、どうすればいいかわからない。悩んだ結果、何も言わずに自分でアシストした方がスマートだと思いついた。
けれどもリボンを解いた時、トレーナーさんから待ったの声がかかった。