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【ウマ娘怪文書】「今日はマーちゃんがタキオンさんから貰った『ねこさんになるおくすり』を塚って、いつも働き者なトレーナーさんを癒してあげたいと思います」 


1: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:19:41

「……はい、アストンマーチャンです」
「今日はタキオンさんから頂いたおくすりを使って、いつも働き者なトレーナーさんを癒してあげたいと思います」

暗くなり始めた廊下をてくてくと歩きながら、マーちゃんはスマホの録音画面に話しかけます。

「はい、説明しましょう〜。マーちゃんがタキオンさんから貰ったおくすり、それは『ねこさんになるおくすり』なのです」
じゃじゃーんと効果音を口ずさんで、マーちゃんはすこし怪しげな薬をチャプチャプと揺らします。

「……トレーナーさんはとっても頑張り屋さんです。今日だって、トレーニングが終わったあともトレーナー室に残ってお仕事をしています。いっつも頑張ってばかりなトレーナーさんには、リラックスが必要です。ゆるふわでぽかぽかなごほーびなのです」

「ねこさんはお好きですか? マーちゃんはいっぱいお友だちです……♪ 知っていますか? ねこさんには癒しの効果があるのです。アニマルセラピーというやつなのです」




2: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:22:09

 てくてくと歩いていたマーちゃんは、とある扉の前で立ち止まりました。そこはトレーナーさんのトレーナー室。暗い廊下に漏れ出す光は、トレーナーさんがこの部屋にいるという証でしょう。

「そーっと……そっと……」
マーちゃんは扉に手をかけると、音を立てないように静かーに、控えめに、戸を開けて中をちらりと覗きます。

「――……うーん……トレーニングの方は順調だが……広報はまだ不十分……あのグッズ化の件はまだ時間が掛かるようだし……そういえば漫画の構想も今のうちに……うぅん……それからそれから、アストンマーチャンをもっともっと広めるために、他にできることはないだろうか……」
「……ふふ、トレーナーさん。マーちゃんのことをいっぱいいっぱい考えていますね。感心感心です……♪」
うんうん、と頷いてマーちゃんはそっと扉から顔を離します。

「……はい、それではおくすりを飲んでしまいましょう。これを飲めば、マーちゃんはねこさんになれるハズなのです」






3: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:23:24

「そうしてトレーナーさんの前に行って、いっぱいにゃーんとアピールするのです。そうすればトレーナーさんは仕事を放ってねこさんになった私に構います。トレーナーさんはマーちゃんねこさんに夢中になります。ともすれば、トレーナーさんは癒されること間違いなしです。……はい、完璧な作戦です……♪」

きゅぽんと薬瓶の蓋が開く音がします。
「――それではいただきます。こくこくこく……」
マーちゃんは手に持った怪しげに光る薬を、なんとなんの躊躇いもなしに飲み干したのです。

「ふはー……。んん……すこしヘンな味ですね? でも良薬は口に苦しと言いますし。きっと効いてくれますよね……?」
空になった瓶をぼーっと見つめながら、マーちゃんは変化のときを待ちます――。

「……あ、そうだ。それでは本日の記録はおわり。結果は明日記録するのです。大変身を楽しみにしてくださいませ……♪」
そう言って、マーちゃんはスマホのボイスメモを止めました。ふふふ、楽しみです……♪

「――待っててくださいね、トレーナーさん……♪ 大変身したマーちゃんが、トレーナーさんをふやふやにしてあげますので……♪」





4: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:24:40

 …………おかしいです。待てども待てどもカラダはねこさんにはなりません。

「んんー……? マーちゃんは、何かを間違えてしまったのでしょうか……?」
おかしいなと思いながらタキオンさんから貰った説明書を開きます。マーちゃんはそれをよーくよーく読んで見ました。すると……。

「…………あっ、なるほど〜。『ねこさんになる薬』ではなく『ねこさんに見せる薬』なのですね……?」
難しい理屈とかそーいうのはよく分かりませんが、どうやら今のマーちゃんはウマ娘マーちゃんのままなのに、他の人が見るとねこさんマーちゃんに見えるそうなのです。

『説明書。この薬はぱーをぴーしてぷーすることによって、服用者の他者からの認識が猫に変わる効能がある。自分からは姿はそのままに見えるが、相手からはただの猫に見えるというわけだね。喋ってる声もねこの鳴き声に変わる優れものさ!』
「はーなるほど。声もねこさんになってしまうのですね?」

マーちゃんからは普通に見えますし普通に聴こえますが、ちゃんと薬が効いているのなら、ねこさんに見えるし聴こえるようです。




5: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:26:11

「……それではテストですね。すこし大きな声でトレーナーさんを呼んでみましょう」
本当に薬が効いているかを確かめるために、マーちゃんは思い切ってトレーナーに呼びかけます。

『トレーナーさーん、マーちゃんですよ〜、聞こえますかー?』
「…………? ……いま、気のせいかな……猫の鳴き声がしたような……」

「……ぉおっ……!」
いま、トレーナーさんはマーちゃんの声に反応しませんでした。あのトレーナーさんが、マーちゃんの声を聴き漏らすわけがありません。それに、猫の鳴き声がしたって言っていました。
これは間違いありません。薬はばっちり効いています。飛び込みましょう、トレーナー室に。作戦開始です……♪

……そーっと……扉を開けます。ねこさんは扉をあまり開けません。バレてしまわないように、ゆっくり開けましょう。
……トレーナーさんは……パソコンとにらめっこしてますね……? まだバレてなさそうです。それでは、ぬき足さし足しのび足……。トレーナー室に侵入します。

「んんーっ……どうしたものか……」
トレーナーさんはまだマーちゃんに気づいていません。




6: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:27:43

 …………あ、マーちゃん重要なことに気づいてしまいました。
ねこさんは立って歩きません。4足歩行なのです。なのに、今のマーちゃんは2本足で歩いています。
これは由々しき事態です。これではトレーナーさんにこの猫おかしいと思われてしまいます。

「ぶつぶつぶつ…………」
幸い、トレーナーさんはまだこちらに気付いていません。今のうちに4足歩行になりましょう〜……!
んしょ……んしょ……。
これにて4足歩行マーちゃんの完成です。……4足歩行というより、ハイハイでしょうか……? うーん……ほんの少しだけ恥ずかしい気もします……。
んしょ、んしょ……。うんしょ、うんしょ。ハイハイをしながら、トレーナーさんの元へと向かいます。まだ距離はありますが、これくらいなら気付いて貰えるでしょうか?

『こんばんは、トレーナーさん。アストンマーチャンですよ』
トレーナーさんを見つめながら挨拶をしてみます。きっとトレーナーさんにはにゃあと聴こえたハズです。
「うん……? あれ、今やっぱり猫の声が……」
「……あっ」『あっ』
キョロキョロと辺りを見渡していたトレーナーさんと目が合います。




7: 名無しさん(仮) 2025/01/26(日)04:29:07

 …………四つん這いのマーちゃんがトレーナーさんに見つかってしまいました。……流石のマーちゃんもこれにはドキりとしてしまいます。

『…………あのその、これは……その……』
「……猫だ。猫がいる……。……どうしてこんなところに?」
トレーナーさんの言葉でホッとします。良かった、ちゃんとねこさんの姿になれているみたいなのです。…………四つん這いのマーちゃんはトレーナーさんの目には映っていないみたいです。

「……迷いこんで来たのか……? トレーナー室までやってくるなんて凄いな」
トレーナーさんはマーちゃんを見つけると、そう言って近づいて来ました。トレーナーさんが屈んで目線を合わせるとマーちゃんの頭をなでなで、としてきます。

『ふぁ……わ、わぁ……トレーナーさんは大胆ですね……?』
こんな体勢でなでなでされることなんて今までなかったので、なんだかヘンな気分です。

「んん? なんだ、ナデナデが良いのか? ん、結構人馴れしてる猫みたいだな」
うんん……人馴れしてると言いますか、マーちゃんと言いますか。そうとも知らずにトレーナーさんはマーちゃんをなでなでしています。




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