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勇者「用件を聞こうか・・・」 公爵「姫騎士を救い出してくれ!」 (50)(完)


15: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:53:50.08:FRHtg0hY0 (15/49)

【PART⑤ もう1人の救出者】

勇者 「手がかりを探すために姫騎士の部屋を見たい」

執事 「は、こちらです。どうぞ」

次兄 「兄貴として一応見張るぜ、年頃なんだ!」

勇者 (・・・犬の毛だ。飼っていたな。だが檻がない。家族には秘密で拾ったな)

勇者 (それに鳥かごか。こちらには小鳥がいる。世話も行き届いている)

勇者 (犬は・・・ この箱か)

捨て犬 「キャン、キャン」

執事 「なっ いつの間に?」

三男 「またどっかで拾ってきたな。」

勇者 「この犬と、その小鳥を貰いたい」

執事 「逃がしたら悲しみます。しかし背に腹は代えられませんな」


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16: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:55:56.91:FRHtg0hY0 (16/49)

---騎士団官舎、女子寮

騎士(♀)A 「団長、何やら公爵様達の様子がおかしいです」

騎士(♀)A 「それに目つきの鋭い男がお城をうろついているとか」

騎士(♀)A 「何があったんでしょうね」

女騎士  「つまらん噂話なんぞ止めなさい。私たちに無関係でしょ」

騎士(♀)B 「あ、あの、団長、お聞きになりましたか、一大事のようです」

騎士(♀)B 「友達の侍女に聞いたのですが姫騎士様が行方知れずとか!」

騎士(♀)B 「誘拐されたって言ってる官女もいます」

女騎士  「何だって? あんまり喋るのはよしなさい。しかし噂にしては突拍子もないし確かに見かけないな」

女騎士  「私が確かめるまで箝口令よ」

A&B  「はい!」


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17: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:56:30.81:FRHtg0hY0 (17/49)

---夜

公爵 「人の口に戸は立てられぬ、か」

女騎士「なにをのんきな・・・ 姫騎士様が掠われたというのに私たちにお知らせいただけないばかりか」

女騎士「どこの誰とも知れぬ勇者などと言う流れ者に任せるなど、どういうことですか!?」

女騎士「私も脅迫状を読みましたが、奴らめ、3000万ゴールドなどと大それた事を!」

三男 「君たちには教えていないはずなのにどこからか噂を聞いてくる」

三男 「逆に言えば噂を広めてしまうと言うことじゃないのかい。それでは犯人にも知られてしまう」

女騎士「・・・し、しかし士気にも関わります」

女騎士「騎士団が公爵家の一大事から除外されたとあっては、邪魔者・用無し扱いされたと感じる者も出るでしょう」

女騎士「私の信頼できる者と共に解決に動くようご命令下さい!」

次兄 「まあ確かに勇者はイレギュラーな方法ではあるよな」

公爵 「うむー 今回はその騎士団員が側にいたのだがな。とはいえ1人では責任は問えない、か」

公爵 「だが既に行った契約を取り消すというのも信義に関わること・・・ 短慮であったかな・・・」





18: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:57:31.66:FRHtg0hY0 (18/49)

執事 「それでは・・・ 勇者への依頼はそのままに、女騎士団長による捜索も黙認する、というのはいかがでしょう」

執事 「騎士団を貶めるわけではないが、勇者の技量は折り紙付きです。違法ハンター団を壊滅させた実績もある」

執事 「国の統治者で勇者を知らぬ者はおりますまい」

執事 「一方で勇者に先んじて事を解決すれば、騎士団の実力の証明になります。そのときは勇者は依頼を達成できなくなります。救出すれば危害がおよぶ心配はないのですから」

執事 「依頼に失敗しながらルール違反を問い詰めるなど、勇者もしますまい。自身の無能さを広めることになります」

執事 「それに女騎士が独自に動いたのであれば公爵一家は無関係です。あまり正当な手とは言えませんが・・・」

執事 「止めようとしたのだが勝手に動いて困っていた。勇者に連絡しようにもどうすればいいのかわからなかった。」

公爵 「うーん・・・ 捻ったな・・・ それでよいか女騎士よ?」

女騎士 「はっ、私達の手で裏切り者どもを処断してご覧に入れましょう!」

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19: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:58:59.69:FRHtg0hY0 (19/49)

テイマー 「いろいろやってみたがどうも無駄だったようだ」

テイマー 「捨て犬に匂いを嗅がせたが、まるで追跡しようとしない。訓練してないとこんなものさ」

テイマー 「小鳥も駄目だ。あっちこっちを飛んでいるだけだ」

テイマー 「尋ね人なら他の方法を考えるべきだな。これ以上は意味がないと思うよ」

勇者  「・・・・」

勇者  「どちらにしても礼金は払う。ご苦労だった」





20: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 00:59:33.90:FRHtg0hY0 (20/49)

【PART⑥ 法と秩序に則って】

女騎士 「・・・とまあそういうわけよ。私たちへの信頼が揺らいでいる。護衛に失敗したのはその通りだけどね」

騎士(♀)A 「ううー なんてこと」

騎士(♀)B 「信頼を取り戻しましょう」

騎士(♀)C 「勇者に遅れてはなりません!」

女騎士 「貴女たちは犯人一味ではないから打ち明けたのよ。あとは密偵AとBにも伝えたわ」

女騎士 「それから犯人像だけど・・・ 私は革命主義者でも魔王一派でもないと思う」

女騎士 「金目当ての盗賊よ。まず間違いないわ」

騎士(♀)C 「とおっしゃいますと、何か根拠が?」

女騎士 「政治的な思想が理由なら、すぐに始末してその成功をアピールすれば公爵家にダメージを与えられる」

女騎士 「また3000万ゴールドは無理すれば払えない金額ではない・・・ おまけに要求はこれだけ。政治的なものはない」

女騎士 「以上から金目当てと判断できた。最近問題となっている例の盗賊集団に狙いを絞るべき。」

女騎士 「とにかく、警護部隊である我々騎士団が解決せねばならない問題です!」

女騎士 「部外者の賞金稼ぎや流れ者に任せてはならないし、解決させてもいけません」

女騎士 「”首領”と”小頭”を追うのです!」

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21: ◆IG18SUC7FQ:2023/04/12(水) 01:00:05.03:FRHtg0hY0 (21/49)

密偵A 「ざっと調べたところ、市街地に一味の者はいません」

密偵A 「また姫騎士様の痕跡もありません」

密偵B 「ただ行方知れずと言うことを伏せながらの聞き込みですので限度があります」

密偵B 「思うような調査とは行かず、一味の行き先は不透明です」

密偵B 「盗賊集団が街にいないとなると、山岳地か森林か荒野か・・・ 」

密偵A 「山岳地や森林では姫騎士を連れての移動はやりにくい。犯行グループの1人は旅人の服を着てたという証言もある。」

密偵A 「荒野が怪しいと思います。」

女騎士 「う~ん、言えてるな。そこいら辺は盗賊集団にとっては慣れた区域だろうし」

騎士(♀)A 「だいぶ絞られたわね。でもまだまだ広い」

騎士(♀)B 「人海戦術ではあちらに悟られる危険もあります。カモフラージュして荒野を探しましょう」

騎士(♀)C 「幸い、近いうちに開拓団が送り込まれます。測量士や下見に化けて一味を探しましょう」

女騎士 「よし、それで行くわ! なんとしてもこの裏切り者どもを我らの手で処断するのだ!」





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