ワイ「ち、チノちゃん!!補陀落渡海を強制しないで!!」チノちゃん「うるさいですね…」
1: 名無し 2024/01/11(木) 18:07:39.33 ID:zPudbyKt0
ワイ「あ、あぁ~~ッ!!」
チノ「はい、本日の読経は終わり。お疲れさまでした」
ワイ「うぅ…お、お疲れさまでした…」
2: 名無し 2024/01/11(木) 18:07:57.74 ID:zPudbyKt0
数週間前、念願の熊野を訪れた山伏ワイは捨身行の補陀落渡海を行うつもりだったのだが、「生きた人を補陀落渡海に向かわせるのは残酷なのでは」という懸念の声があり、結果、ワイの決意も揺らぐようになった。
しかしチノちゃんはなんだかワイのことがキライみたいで、無愛想に観音浄土へ赴くように諭してきて、周りにもワイの渡海を宣伝していてぽんぽんイタイイタイなのだった。
3: 名無し 2024/01/11(木) 18:09:08.88 ID:zPudbyKt0
ワイ「トホホ…チノちゃん殺生はキライなのにワイの補陀落渡海だけはシタイシタイなんだから…あー、どうにかしてワイの修行を優しくてギリギリ死なないものにしてもらえないかな~、ん?」
深夜なのに勝浦の浜からあかりが漏れている。
チノ「よいしょ…よいしょ…」
ワイ(チノちゃんが、補陀落船を補修してニコニコしている!?)
4: 名無し 2024/01/11(木) 18:09:50.72 ID:zPudbyKt0
チノ「ふぅ…こんなものですかね……。もっと船の強度を強めて、ワイさんが気持ちよく観音浄土へ逝けるように頑張らないと……」
ワイ「チノちゃーん!」バターン!
チノ「ひゃあッ!?」
ワイ「ち、チノちゃーん!ごめんよーッ!チノちゃんは。ハフッ!ハフッ!袈裟にしみついた香木いい匂い!」
チノ「ど、どさくさに紛れて匂いを嗅がないで下さい!」
ワイ「ご、ごめんねチノちゃん……!」
5: 名無し 2024/01/11(木) 18:10:23.72 ID:zPudbyKt0
チノ「べ、別に、補陀落聖の船を念入りに作るくらい普通です……。それが渡海を見守る私の使命ですから……。それに、まだ若くて渡海できない私の代わりを務めてくれるんですから…」
ワイ「チノちゃんのその気持ちだけで、ワイも気持ちよく補陀落渡海できるんだよ! あっ、そ、そうだ! チノちゃんもおためしでワイと一緒に船に乗ってみよ!」
チノ「こ、こうですか…?」
ワイ「そう! それじゃあ今から沖に出すからね! チノちゃんのやわらか信心に死の恐怖ドッピュしてもらうからね! ちゃんとお経読んでね!」
チノ「えっ、えっ?」
6: 名無し 2024/01/11(木) 18:10:40.88 ID:zPudbyKt0
ワイ「ウオーッ! チノ! 船出すぞ!」ザババババーッ!
チノ「ひゃあッ!」
ワイ「くっ、ふぅ……! す、すっごい勢いで出たぁーッ!」
チノ「な、なんで出したんですか……?」
7: 名無し 2024/01/11(木) 18:11:03.33 ID:zPudbyKt0
ワイ「それはね……チノちゃんの気持ちが、ワイに伝わったからだよ! チノちゃんの渡海への意気込みがね!」
チノ「私の意気込み……(人の補陀落渡海は見てて気持ちいいけど、私がしたいわけじゃない…) 」
ワイ「そう! だから、信心なんて、二の次なんだよ! 補陀落渡海は、一人でやるより、好きな人といっしょにやるのが一番気持ちいいんだよ!」