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母の再婚相手Aと養子縁組をした私。Aはヤクザだったので、私はヤクザの養女になった。ある日、母は私を連れて家出をして・・・


421: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:39:54 ID:bCn

四十年以上前の話。

懺悔です。

フェイクは入れない。

関係者はほぼ鬼籍な上、当時6歳の私の記憶なんてたかが知れてる。

母が再婚した。

母の再婚相手Aと私は養子縁組をした。

Aはヤクザだったので、私はヤクザの養女になった。

小学生になったばかりの私は、ヤクザという職業がどんな物か知らないどころか、その存在すら理解はしていなかったけれど。

Aは私には優しかったし、家に出入りする若い衆達には「お嬢」と呼ばれて可愛がってもらっていた。

Aは一緒にお酒を飲んだ人とすぐに兄弟になるという不思議体質で、大量の弟がいて、私には見分けのつかない弟達も皆、優しくしてくれた。




422: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:41:08 ID:bCn

今考えれば一般的な家庭とは言い難いのだが、当時は分からなかった。

ぼんやりした子供だったのだろう。

後々母が言うには、「娘(私)がいれば狂犬(A)がご機嫌な飼い犬になるから、周囲は私をお姫様扱いしていた」そうだ。

かなり幸せな時期だったと思う。

母とAの間に何があったのかは分からないが、ある日、母は私を連れて家出をした。

正確な日時は覚えていないが、秋だった。

結婚期間半年。

Aは当然若い衆を使って追って来た。

母と私は、関東地方内を転々とした。

私の義務教育より、逃げる事が優先になった。

 




423: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:46:04 ID:bCn

逃避行が始まってすぐの頃、母は「きゅうちゃん」という男性を頼って匿ってもらっていた。

きゅうちゃんの本名は知らない。年齢も容姿も覚えていない。

私もきゅうちゃんと呼んでいた。

きゅうちゃんは一人暮らし。

パチンコ屋と蕎麦屋のお店を持っていた。

私は学校には行かず、蕎麦屋の二階で寝起きしてパチンコ屋のはじっこで遊んだ。

多分、一週間か二週間くらい。

友達に会えず、いつも遊んでくれるAも若い衆もAの弟達もいなくて、淋しかったのだと思う。(母は子育てが苦手で、私の為の料理もお風呂や歯磨きの世話も宿題を見るのもAの担当だった。考えるとAの女子力が高すぎる)

 





424: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:47:52 ID:bCn

私はあっという間にきゅうちゃんになついた。

きゅうちゃんの膝で読書したり昼寝したり。正直鬱陶しかったと思う。

でも、彼はすごく温厚な人物らしく、嫌な顔一つしなかった。

きゅうちゃんとの別れは突然だった。

早朝急に起こされ、今から出掛けると母に言われた。

着替えだけして車に乗せられた。

読みかけの本も、塗り絵もまとめる時間がなかった。

きゅうちゃんともさよならだと言われて、私は嫌だと泣き喚いた。

普段文句を言わない私の反乱に困惑する母を見兼ねたのか、きゅうちゃんが頭を撫でてくれた…ような気がする。

平日、小学校低学年の子供が学校に行かずに号泣していたら、目立つと思う。

きゅうちゃんはそれを考えたのだろう。

一生懸命宥めてくれた。

「ごめんねお嬢。きゅうちゃんはお仕事があるから、一緒に行けないんだ。

でも、また会えるから泣かないで。きゅうちゃんは、お嬢の笑っている顔が好きだから、笑って」

もっといっぱい言ってくれたけれど、一部分しか覚えていない。

私は泣きながら必タヒで笑顔を作った。

きゅうちゃんは可愛い笑顔だと誉めてくれた。

こんなぐしゃぐしゃの笑顔可愛い訳ないじゃんと思ったけど、また会えるように指切りげんまんをした。

 




425: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:49:52 ID:bCn

車に乗っていたのは、途中までだったと思う。

電車、バス、最後は徒歩で、古い感じの旅館に着いた。

母が宿泊できるか聞いているのをボーッと眺めながら、ここで泊まれなかったらどうしようと思っていた。

いつも寝る時間はとっくに過ぎて、寒くて疲れていた。

朝からほぼ飲まず食わずだったと思う。

旅館に着くまではしっかり歩いていたのに、もう一歩も歩きたくなかった。

幸い泊まる事が出来た。

食欲がなかったので、お風呂に入っただけですぐに休んだ。

少しでも何か食べるように言われけれど、お茶をちょっと飲んだだけで何も飲み込めなかった。

一人で髪を乾かしている時に、あまりの眠さでドライヤーを落としてしまい、母に怒られた事を覚えている。

 




426: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:50:56 ID:bCn

夜中に目を覚ましたら、隣に母がいなかった。

知らない部屋で一人で寝るのは怖かった。部屋の戸を開け、廊下の隅に母の後ろ姿を見つけ、すごくほっとした。

母の方に歩きかけ、彼女が電話をしている事に気付き、足音を立てないようにゆっくり静かにに歩いた。

母の口から「きゅうちゃん」というのが聞こえ、きゅうちゃんに会えるのかと期待しながら声を聞いた。

ちゃんとした言葉は覚えていない。

後ろ向きだったし、すごく小声だった。

単語を繋ぎ合わせて、きゅうちゃんがタヒんだ事が分かった。タヒぬまで殴られたって。

朝、また会えるって言われて、一生懸命笑って別れた。

でも会えなくなった。

あんなに大好きなきゅうちゃんを、誰がどうして殴ったんだろう。

私はそっと部屋に戻り、布団に潜り込んだ。

あまり涙は出なかった。朝はあんなに泣いたのに。

この時から今まで、きゅうちゃんの名前を口に出した事はない。母からも聞いた事がない。

 




427: 名無しの王国 19/10/02(水) 14:52:40 ID:bCn

今、当時の母の電話を聞けば、多分どういう立場の人がやったのか分かると思う。

多分、母と私を匿った事がバレたのだろう。

彼のタヒが、どういう扱いになったのか、私は知らない。

撲殺事件になったのか、行方不明になったのか。

本名も年齢も容姿も住所も分からない。

ただ、きゅうちゃんと呼ばれた男性が、おそらく母と私のせいで殴り殺されたってことだけ。

きゅうちゃん、ごめんなさい。

本当に申し訳なく思います。

きゅうちゃんにも、親兄弟がいたと思う。

どんな思いをしたことか。

ごめんなさい。恩を仇で返してしまった。

私達を助けた事、心から後悔したんじゃないかと思う。

どんなに痛かったか、怖かったか。

そんな目に合わせておいて、私は彼がどこの誰かも知らない。

本当にひどい話だと思う。

ごめんなさい。

許して貰えるなんて、思っていません。

そして、このまま誰にも言わずに地獄まで持って行くと決めています。

泣く資格もない。

ごめんなさい。

 




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