【2/2】ある日、ケーキ屋の娘に恋をした。始まりはとあるデパ地下の寿司屋でバイトを始めたこと。いや、全ての始まりは…
92: 1です 2011/10/16(日) 03:32:26.09 ID:6FH1lNzy0
ゆうたと付き合って半年間。
思い返してみれば、
俺のまわりの環境はすごく良くなった。
ゆうたはケーキの廃棄を持ってくるとき山本さんも連れてきて
俺と会話を交わすきっかけをつくってくれたりしていたし
母としこや妹めぐみとの会話もゆうたが家に来てからすごく増えた。
(今更だがうちは母子家庭で親父は幼稚園のとき他界してる)
俺はゆうたのおかげでデートスポットをたくさん知ることができた。
最初はまったく気を使ってなかった服装も
ゆうたのさりげないアドバイスで改善されていって
たっけーブランド物じゃなくユニクロとかでもおしゃれになった。
95: 1です 2011/10/16(日) 03:35:35.12 ID:6FH1lNzy0
海の一件以来、ゆうたと付き合ってることに恥じらいも特になくなった。
人に堂々としゃべったりはできないし、
キスや行為は踏み出せなかったけど
気楽にスキンシップも取れるようになったし
デート中も二人で笑えるようになった。
付き合って一年半ぐらい経ったとき、ゆうたはケーキ屋を辞めた。
もうひとつのバイト、介護職のほうで正社員になれたからだった。
よかったな、とも言ったけど
これから顔がなかなか見られなくなったり
仕事終わりに会って話したりできなくなると思うと
少し寂しかった。
96: 1です 2011/10/16(日) 03:39:53.34 ID:6FH1lNzy0
「介護職って給料安いし大変だよな。」
って俺が言ったとき、
「うん。確かに安い。かけもち大変だったーw」
「キレイな仕事じゃないし、お風呂介助とかすごい大変だしねw」
「でもすごくやりがいがあるよ。俺の天職だと思ってる。」
目を輝かせてそう言うゆうたに、俺はちょっと憧れた。尊敬した。
俺もいつかそう言える仕事が見つかればいいと思った。
(いつまでもフリーターやってらんねえよな。)
俺は、ゆうたに刺激をもらってもう一度公務員試験の勉強を初めていた。
97: 1です 2011/10/16(日) 03:41:49.58 ID:6FH1lNzy0
顔を見られる機会はぐっと減ったが
ゆうたの休みになるべく合わせて俺は休みを取り
ときにはゆうたの家に泊まりにいったりしていた。
でも、やっぱり一歩が踏み出せなかった。
ゆうた…。行為、したいよなぁ…。
俺自身もゆうたのことが大切だと確実に思えるようになってた。
けど、どうしても一歩が踏み出せないまま、二年間が経った。
そんな悩みを抱える俺に、人生の分岐点が再び訪れた。
98: 1です 2011/10/16(日) 03:43:16.88 ID:6FH1lNzy0
「林さん。お疲れ様ですー。」
仕事帰り、従業員出口を出たところで、
俺はある人に声をかけられた。
「あっ、おつかれー。いま終わり?」
俺に声をかけてきたのは、山本さんだった。
ゆうたのおかげで、山本さんとは気軽に話せる仲になっていた。
もうそういう感情で見てはなかったけど。
「今日は早上がりだったんです。」
「え、じゃあ何してたの?」
「林さんとお話ししたくて…。」
「マジで。どうしたの?なんか悩み事?」
俺はあったかい飲み物を二人分かって、
ちょっと肌寒い公園に二人で腰かけた。
101: 1です 2011/10/16(日) 03:46:40.04 ID:6FH1lNzy0
「実は、まだ誰にも言えてないんですけど…別れたんです。」
山本さんは手渡した
缶コーヒーをあけずに握りしめたまま、そう言った。
「そうなんだー…。それはつらいよな。」
昔の俺なら女の子と話すだけでキョドってたのに
いまじゃ大切な人がいなくなったらどれだけつらいか
こころにぽっかり穴があくのがどれだけ苦しいことかわかるなんて
ゆうたと付き合って
俺もずいぶん変わったなあって思って少し笑えた。
102: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2011/10/16(日) 03:46:56.26 ID:sRa62VYQ0
なんかいいな