【1/2】ある日、ケーキ屋の娘に恋をした。始まりはとあるデパ地下の寿司屋でバイトを始めたこと。いや、全ての始まりは…
12: 1です 2011/10/16(日) 01:21:35.80 ID:6FH1lNzy0
そして、二人で会うことになった。
デートだ。人生初のデートだ。
俺はこの日のためにわざわざ服を買いに行ったぐらい興奮していた。
ぶっちゃけ佐藤さんはめちゃくちゃ可愛かった。
俺はキモくならないようにドモらないように必死に振舞い、
笑顔の彼女に癒されながら思い出話や近況を楽しく話した。
「すごい、すごいよお、
夢を叶えるために勉強頑張ってるなんて><*」
「いや、そんなことないって…俺頭悪いから…。」
俺は相当現状を美化して話していた。
13: 1です 2011/10/16(日) 01:24:44.20 ID:6FH1lNzy0
一通り話して落ち着いたところで、彼女は立て続けに言った。
「今日、会えてよかったぁ。わたし、感動しちゃった」
「それでね、わたしも林くんの夢を支えられたらなって思ったの」
「うんとねでもね、あたしの口からちょっと説明しづらくて」
「ほら、あたしって口下手だから
変な誤解与えちゃいそうで怖いんだぁ」
「近くに友達が来てるんだけど、
その人すごいベテランの人だから、その人の話聞いてみて!」
「いま近くにいるみたいなんだけど呼んでも平気?」
そして、あれよあれよという間に
佐藤さんより少し年上の女性が現れた。
14: 1です 2011/10/16(日) 01:27:07.27 ID:6FH1lNzy0
すでにおわかりいただけたであろうか。
プギャーしていただいて構わん。
俺は化粧品やサプリメントに35万もつぎ込んでしまった。
いわゆるデート商法でありネズミ講にハマってしまったのだ。
(彼女はネズミ講とはまったく違うと終始主張していたが)
↑ネットワークビジネスというらしい
15: 1です 2011/10/16(日) 01:29:37.08 ID:6FH1lNzy0
母としこに嘆き悲しまれ、妹めぐみにバカにされ
自分自身もそんな古典的な手に落ちてしまったことが悔しくて
大量の化粧品とサプリメントを前に生きる気力を失いかけていた。
だが貯蓄も尽きはじめ
歳も無駄に食ってもう半ニートはしてられなかった。
しかしバイト探しも面倒くさい。
「榎本さんにお願いしといたから!面接いっといで!!」
そのとき、母としこが助け舟を出してくれた。
16: 以下、VIPがお送りします 2011/10/16(日) 01:32:35.31 ID:QjCvnLjs0
大変だったな
17: 1です 2011/10/16(日) 01:33:00.38 ID:6FH1lNzy0
榎本さんというのは、
かつて母としこがパートで働いていた、
とあるデパ地下の寿司屋の店長だった。
あまり気力が出なかったが
せっかく斡旋してくれたので言われるままに面接に行ったら
「おお、君が啓介か!
うん、としこさんから聞いてるよ。
うん、で、いつから来る?」
と陽気なおっさん
(といってもギリギリお兄さんライン)にいきなり言われ、
面接という名の顔合わせのような感じで
いきなり採用が決まり働くことになった。
19: 1です 2011/10/16(日) 01:37:37.65 ID:6FH1lNzy0
えのサン(榎本さん)は
スゲーいい人で、歳の離れた兄貴みたいだった。
ミスしても「あとでぶっとばす!」と言いながらフォローしてくれたし
パートのおばちゃんたちも、
まるで息子のように可愛がってくれた。
俺のすさんだ心も少しずつ回復してきて、
普通にレジに立つこともできるようになった。
ただそれ以外に、
もう一つだけ俺の心を癒してくれるオアシスがあった。
それが、隣のとなりのケーキ屋さんの山本さんだった。