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【ミリマス】野々原茜「今は昔、プロちゃんというものありけり」 (48)(完)


1: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:35:18.86:+2A2IV6OO (1/48)

「へーい、そこのカレシ―?もしかして、茜ちゃんを探してるんじゃないかにゃ?」

ー出会いがしらにそう声をかけてきたのは、確か彼女の方からだった。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1681994118




2: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:46:00.55:+2A2IV6OO (2/48)

社長から新プロジェクトの始動を命じられ、そのメンバーを集めるべく街中にスカウトへと駆り出していた時のこと。スカウトとは言ってもそう簡単に目を惹かれるような逸材に出会えるわけでもなく、諦めて事務所で次のオーディションの準備に取り掛かろうと思っていたその時、トントンと背後から肩をたたかれた。

「いやあ、どうやらその顔は茜ちゃんが超必要って感じの顏だね?今なら相談に乗ってあげてもいいよ?」

「……急いでるんで」

振り向くとそこには誰もいない…わけではなく、少し目線を下に下げると、赤い髪をした小柄な少女がうんうんとわかってますよと言いたげに頷いていた。
もちろん不審者に関わっていては碌なことがない。適当にあしらって俺はその場を後にした。




3: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:46:32.27:+2A2IV6OO (3/48)

「ヘイヘイヘーイ!?まさかの茜ちゃんをスルー!?ひどくない!?」

いや、これが最善択だろ。なんだこれ、新手の客引きか?

「……君は?」

早急に立ち去ろうとした俺のスーツの裾を思いっきり引っ張るものだから、仕方なく俺は彼女の話を聞くことにした。…しわになってくれたらどうする。

「あっ、話聞く気になった?ふっふっふ茜ちゃんは通りすがりのエンジェルだよ!……というのは冗談で。それより……お兄さん、とびっきりの美少女を探してるんじゃないの?」

「いや、まあその通りなんだけど……」

そういって俺は名刺を取り出して彼女に渡した。すると―





4: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:47:22.30:+2A2IV6OO (4/48)

「えっ!?765プロ!?本当に!?」

名刺を受け取った彼女はたいそう驚いた様子で聞き返してきた。

「まあ、一応ね。今新プロジェクトのために新人アイドルの募集をしてるんだけど―」

「いやあー!アイドルのスカウトだとは思ってたけどまさか765プロだとは思わなかったよ!それで、プロちゃんは茜ちゃんのことを探してたってわけね!」

「そいうわけじゃないんだけどな……」

なるほどなるほど、と彼女は額に手を当て全てを悟ったような様子で頷いていた。……何がなるほどなんだ?




5: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:47:55.65:+2A2IV6OO (5/48)

「事情はわかったよ。そんなプロちゃんのために茜ちゃんが一肌脱いであげよう!」

「……一肌脱ぐって?」

「もー!わかってないなあ。この天才美少女の茜ちゃんがアイドルになってア・ゲ・ル♪」

「…………」

ンフッとあざとくポーズをとった彼女を俺はまじまじと見つめる。
……容姿は悪くない。というか、かなり良い。本人が美少女と自称するのも頷ける。よく考えてみたら結構な逸材じゃないか?




6: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:48:28.90:+2A2IV6OO (6/48)

「どう?茜ちゃんのこと、プロデュースしてくれる気になった?」

「まあ、そうだな。確かに君ならアイドルになれるかもしれない」

「でっしょでしょ?!さっすがプロちゃんわかってるぅ~♪」

「ところで、さっきから言ってるプロちゃんってなに?」

「もー!細かいところは気にしないの!細かい男は女の子に嫌われるよ?」

「……じゃあそろそろ次急ぐんで、またね野々原さん」

「ギニャーッ!?ウソウソ!嘘だから待ってよ、プロちゃん~!」

これが俺とこの野々原茜とかいう不思議な少女との出会いだった。




7: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 21:49:02.53:+2A2IV6OO (7/48)



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スカウトからオーディション、北は北海道南は九州、あちこちからアイドルの卵をかき集め、ようやく新プロジェクトが始動した。
性格、容姿、年齢、育ってきた環境、みんなバラバラな彼女たちだが、長きにわたるオーディションやスカウトを経て見出した彼女たちだ。それぞれが光るものを持っている。

その中でもひときわ目立つのが、あの日向こうから絡んできた彼女、野々原茜だ。逆オファーまがいのことを仕掛けてきただけあって彼女の能力には目を見張るものがある。正直想像以上だった。

「ふっふー!どう、プロちゃん?今日も上出来だったでしょ?」

「ああ、想像以上だよ」

「ふっふーん。この天才美少女、茜ちゃんに不可能はないからねぇ!」

彼女は得意げにそう豪語するが、実際にその通りだった。




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