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【ミリマス】野々原茜「今は昔、プロちゃんというものありけり」 (48)(完)


36: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:23:33.94:+2A2IV6OO (36/48)

「……ねえ、なんで何回もリセットされても茜ちゃんがアイドルになったと思う?」

……そういわれてみればそうだ。何度も何度も同じアイドル活動を繰り返して、結局またもとに戻る。それならいっそのことアイドルにならないという手もある。俺と会う時間も場所もわかっているのだから、そこで俺と茜が出会わなければまた別の人生を歩ける可能性もあるかもしれないのに。

「だって、プロちゃんと一緒にトップアイドルになった、その先をまだ見れていないんだもん」

「……!?」

「プロちゃんは覚えてないと思うけど、初めてプロちゃんと会った時、約束したんだよ。絶対に二人でトップアイドルになって、一緒にその先の景色を見ようって。プロちゃんと一緒じゃないと意味がないんだよ?」

だから、茜ちゃんはプロちゃんと一緒にその先を見れるなら、何回だって繰り返す。今回どうなるかはまだわからないけど、たとえダメだったとしても何回だって茜ちゃんは繰り返すよ。




37: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:24:03.47:+2A2IV6OO (37/48)

決意のこもった茜の目が俺を射抜く。
この目に、俺が今してやれることはなんなのだろうか。

ふと、俺のデスクの上に置かれたCDが目に入った。
真っ白なディスクの表面に「新曲」とだけ書かれたそれをみて、俺は一つの賭けを思いついた。

「…茜。今から徹夜で振り付けをおぼえてくれ」

「にゃ…?」

残された猶予は今から明日のライブの開始まで。それでも茜なら、世界一のスーパーアイドル野々原茜なら必ずやってくれるはず…!




38: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:24:32.86:+2A2IV6OO (38/48)




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




ドームライブは無事成功裏に終わり、俺は夜風に当たりたいと言った茜に付き添って川のほとりを歩いていた。朝から慌ただしい一日だったが、無事茜は全てをやり切ってくれた。

「茜。お疲れさま」
 
「ホントだよ!プロちゃんの鬼軍曹!流石の茜ちゃんも倒れるかと思ったよ!」

無理もない、徹夜からのステージで流石の茜も疲労困憊だろう。

「あとは茜のレコーディング、というところまで準備を進められてたのが幸いしたよ」





39: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:25:39.61:+2A2IV6OO (39/48)

「もー!茜ちゃんが失敗したらどうするつもりだったのさ!茜ちゃんの名前に一生物の傷がついてたところだったよ!」

「失敗したところで、どうせ消える事実なんだから、関係ないだろ」

「プロデューサーさん…私、ちょっと失望しました。今までお世話になりました」

茜がゴミを見るような目で俺を見てくる。ちょっとぞくっときた。こういう路線もありなのではないか。
残り少ない猶予の中でもついつい今後のプロデュースについて考えてしまうあたり、完全に職業病だな、これは。

「…コホン。冗談はさておき、失敗なんてありえないだろ?スーパーアイドル茜ちゃんなら」

「…もう!そういうことにしといてあげる!」

そう言って茜は今まで見た中で一番の笑顔を見せてくれた




40: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:26:15.20:+2A2IV6OO (40/48)

そう。以前から温めてきた茜の新曲を俺は今回のドームライブのアンコールに急遽使用することにしたのだ。
今回の新曲はズバリ、「スーパーアイドル茜ちゃんを褒め称える曲」だ。全世界の人間がこのウザカワ猫系スーパーアイドルに虜にされた暁にはこの曲の通り、茜の可愛さを褒め称える作文を提出することになるだろう。

本来はドームライブ後に発表する予定だったのだが、その未来が存在しないのなら仕方がない。少しでも茜にトップアイドルになったその先の景色を見せるために、無理やり徹夜で合わせた。間に合わせたと言っても、歌もダンスもほぼ全部即興。何度も世界を繰り返して全てが体に染み付いている茜だからこそできる芸当だ。俺はそれに賭けた。そしてその賭けに見事勝つことができた。




41: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:26:49.31:+2A2IV6OO (41/48)

「それにしてもさあ。こんな曲、茜ちゃん知らなかったんだけど」

「だって、言ってなかったからな」

「そうじゃなくて!今までの世界でも聞いたことなかったんだよ!」

…そう言われてみればそうだ。初回以降の俺は茜からループの話を聞かされていたという。もしこの曲がその頃から存在していれば、これまでの俺が既に試しているに違いない。ということは、今回のループで初めて生まれた曲ではないか。

「きっと神様かなんかのおかげじゃないか?」

「プロちゃん、神様なんて信じてるの?」

「世界のループなんて突飛なことが起こってるんだから、神様だっていたっておかしくないだろ。案外765プロのファンの想いが集まって生まれたとか、そんなのかもしれんぞ」

まあ、本当にそんな神様がいるんだったらとっととこのループとやらを終わらせて欲しいんだけどな。




42: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:27:18.55:+2A2IV6OO (42/48)

「…プロちゃん。そろそろお別れみたいだね」

「なに?…っ!?」

気がつくと俺のスーツの両腕から青白い光の玉のようなものが浮かび上がっていた。
どうやら、悔しいが最後にイレギュラーが起こった今回も世界のリセットは免れないようだ。

「大丈夫!次の世界でも絶対にプロちゃんに会いにいくからね!じゃないと、プロちゃんの灰色の青春が灰色のままになっちゃうからね!」

はは。こやつめ、最後まで減らず口は無くならないな。

「…茜。まだまだやってないことっていっぱいあるよな」

「そうだね。トップアイドルになったとは言って




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