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【ミリマス】野々原茜「今は昔、プロちゃんというものありけり」 (48)(完)


22: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:02:50.68:+2A2IV6OO (22/48)

「だから、どーしても茜ちゃんをプロちゃんから引き離しちゃうんだったら、今日で茜ちゃんのアイドル活動はおしまい!他を当たってね!」

「……わかった。今回はおとなしく引き下がろう。せいぜい我が961プロに来なかったことを後悔しながらそこの三流事務所であがきつづけるんだな。アデュー!」

そういって黒井社長はスタジオを後にした。




23: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:03:42.44:+2A2IV6OO (23/48)

「……茜。大丈夫だったか?」

黒井社長が去ったあと、俺の横で茜がかすかに震えていることに気付いた。
無理もない。この業界を牛耳っていると言ってもいい存在に真正面から啖呵を切って怖くないわけがないだろう。

「へーきだよプロちゃん。…ありがとね」

茜は俺にもたれかかりながらニコッと笑ってみせた。
滅多に見ない、無理をして作っている笑顔だった。

「しばらくこのままにしてるから。ゆっくり休め」

俺に体を預ける茜の頭を優しく撫でてやると、くすぐったそうに茜は身を捩る。

「茜。まさか本当にアイドル辞めるつもりだったのか?」

「そんなわけないでしょ?茜ちゃんはずっとプロちゃんと一緒だよ?」

「はは。そうだよな」

そうして、俺は茜が落ち着くまで、彼女の頭を撫で続けた。




24: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:16:36.21:+2A2IV6OO (24/48)

黒井社長の強引な引き抜きを阻止してからしばらくして、あれからも茜は万全な状態で快進撃を続けていた。
茜は並いるライバルを寄せ付けることなく、オーディションは連戦連勝。先輩方とも肩を並べるほどの活躍をしていた。

そして、ついに茜は単独ドームライブを開催するまでに至った。
明日のドームライブが成功裏に終われば、名実ともに茜はトップアイドルの仲間入りを果たすことになるだろう。





25: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:17:13.56:+2A2IV6OO (25/48)

さて、やれることはすべてやった。あとはドームライブに備えて英気を養い……たいところだが、なぜか当の茜本人に呼び出された。
なにやら二人きりで話したいことがあるというから、ライブ前日だというのにこんな夜遅くに事務所に残っていた。

「おまたせ、プロちゃん」

「どうしたんだ茜。こんな夜遅くに話したいことって。何かあったのか?」

「うーん。何かあったというか、これから何かあるというか」

「?」

いつになく真面目な顔つきの茜。ここまで真面目な顔の茜を見るのは黒井社長の一件以来かもしれない。




26: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:18:10.41:+2A2IV6OO (26/48)

「プロちゃん、前にかぐや姫の話したこと覚えてる?」

「…?あ、ああ」

「じゃあ、かぐや姫の最期も知ってるよね?」

「えっと、確か月から使者がやってきてかぐや姫を月に連れて帰るんだよな」

それくらいは知っているが、いったい茜の話となにか関係があるのだろうか。




27: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:18:43.59:+2A2IV6OO (27/48)

「うん。だから茜ちゃんも、プロちゃんとお別れしないといけないんだ」

「……は?」

「ねえプロちゃん。プロちゃんは―」




28: ◆OtiAGlay2E:2023/04/20(木) 22:19:15.87:+2A2IV6OO (28/48)



―この世界が何回も繰り返してるって言ったら、信じてくれる?




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