「本家の女は四十歳を迎えない」という事実に違和感を覚え調べてみると、自分の命が暗い歴史の上にあることを知った…
178: 本当にあった怖い名無し 2011/04/27(水) 20:55:25.44 ID:VuRaxvaEO
携帯から失礼します。
あんまり怖くはないと思います。
先日まとめサイト?で「コトリバコ
」を読んで、私の家系にもあれに似たことがあり、
願わくばここの方々の専門的な知識、助言や考察を賜りたく思います。
単刀直入に言いますと「本家の女は四十歳を迎えない」んだそうです。
確かに、私が知る限りですが、祖母、曾祖母は若くして他界しております。
しかし、私は親戚のその言葉を「偶然」の一言で一蹴しました。
と言うよりも、この家系にそれほど長い歴史があるとは聞いていないし、
由緒のある家系だとも聞いていませんでした。私はオカルトも信じていませんでしたし。
事実、本家がある田舎を離れてもう二代も過ぎていますし、去年に本家の家屋を取り壊した際も、
親戚一同は大きな躊躇もなく「まぁ、仕方がない・・・・」と言ったり、中には宴会よろしく酒を呑む人までいました。
そんな人達が云う因習に、信憑性はまったく感じられなかったんです。
それに今はそんな時代でもないじゃないですか。
けれど、何か引っかかったんです。違和感と言いますか、モヤモヤといいますか...
ついでに湧いてきた好奇心や探求心にまかせて、調べることにしたんですよ。
180: 本当にあった怖い名無し 2011/04/27(水) 21:22:34.48 ID:VuRaxvaEO
>>178つづきです。
件の会議(飲み会?)の明くる朝、取り壊しが決定した本家に向かうことになりました。
私が幼い頃に何度か来たことがあるそうなんですが、記憶にあるのは離れた所にある薄暗い厠と、
兄と二人で散策してこっぴどく叱られた、大きな蔵です。
まぁ幼い頃に見て感じたほどおっきくはなかったんですがw
家屋自体はもう半壊していました。
そもそもは半壊した家屋が危険で近所の子供の遊び場になることを懸念した親戚の提案なんですがね。
数人が中に入り、遺影や仏壇などを運び出していました。大方片付いたところで親戚のkさんが
「蔵はどうする?やっぱ残すんか?」
と少し神妙な表情で蔵の閂に手をかけました。
「あぁ・・・・・・」
と数人は作業の手を止め、互いに目を合わせて一息。真剣な表情で蔵に向かいました。
なにやら空気が変わったので、私も粛々とそちらに向かうことにしました。
184: 本当にあった怖い名無し 2011/04/27(水) 22:11:27.19 ID:VuRaxvaEO
>>180
鼻をかすめる埃っぽいような、カビのような臭い・・・
凡そ夏の景色には不似合いな、しん・・とした暗い室内に、少し胃の辺りがぎゅうっとしたの覚えています。
中ではkさんが率先して、あれは?これは?どうする?と周りに相談しています。
方言のおかげで何が何だかさっぱり分かりません。
私は高く積まれた書物に目がとまり、その内の一冊を手にとりまして、ぱらぱらと見ていました。
ミミズのような文字に悪戦苦闘しながらも、漢字や行からどうやらそれが人名であると確認できたんです。
ここにきて表紙を見てみました。
ほとんどがシミに喰われたりでよく読めず、頭に漢字の一部と末尾の漢数字はかろうじて読めました。
他の書物も何冊か見たんですが、やはり同じようなもので私には皆目見当もつきません。
私が「kさん、これってなんの・・・」
と言うなりkさんが
「ああ、いらうないらうな!(触るな触るな)」
と邪険にジェスチャーでしっ!しっ!と出て行くことを促します。
本家ではありますが余所者である私はそこにいても何の役にも立たない。
分かってはいますが腑には落ちません。
あとでめちゃくちゃしつこく訊いてやろうとか思いながら、蔵を後にしました。
186: 本当にあった怖い名無し 2011/04/27(水) 22:44:29.04 ID:VuRaxvaEO
>>184
出した荷物も積み終わる頃には日が高くまできており、一行はyさん宅で昼を取るとのこと。
「nくんの分もあるから安心しぃな」
私の顔色をうかがってくれたのか優しい言葉にいやしくも同行することにした。
軽トラの荷台に乗り込み、ガタガタの山道を先ほどのkさんと揺られていた。
「nなぁ・・あれはまた後でゆっくり話しをばするから待ちよ・・・
とりあえずあいつらとも相談せないかんからのぉ」
と目配せをした。
視線の先には先頭を走るyさんや親戚の人。
ふるさとと言えど知らない土地で見知らぬ親戚を名乗る人々、本当に親戚か?
(ここはなんてヒナミ○ワか・・・)
そう思った、本当に思った。
そんなくだらない勘ぐりをしていたら早くもyさん宅に到着。
荷降ろしは後回しにしようと言うことで、冷たい麦茶とひやむぎをいただいた。
耳をつんざく蝉の声をBGMに縁側でへたり込んでいると、kさんがスイカを持ってこちらにきた。
「食いなぁ・・・」
礼も早々によく冷えたスイカに舌鼓を打つ。
スイカのタネをマシンガンのように飛ばしながらkさんがおもむろに語りはじめた・・・・
193: 本当にあった怖い名無し 2011/04/27(水) 23:31:35.66 ID:VuRaxvaEO
>>186
「あれはなぁ・・・カルテよ、カルテ」
「は?・・え?」
眼前の景色や人からは不釣り合いな単語に困惑した。
「いやぁ、おまん本当になんにも聞いとらんのか!」
「はい・・」
なんだか情けないような不甲斐ないような。
いやしかし、合点がいかない。字や書物の痛みを見るに相当古いのは違いない。その時代にカルテ?
私は素直にその疑問をぶつけた。kさんの方言まじりの言葉を要約するとこうだった。
今から100年くらい前、この家は名家だったらしく、医院を営んでいたそうだ。
その医院の名前は○○院と言ってこの辺り一帯の地名にもなっていた。
その医院の患者の名簿や記録をしていた。それがあの書物なんだそうだ。
にしても多すぎやしませんか?
訊けば書物はそれだけではなく、中には研究書のようなものもあり、
医院に関係しないもっともっと古いものもあるそうだ。それこそ数百年前のもあるとぞ言っていた。
私は流れに乗じて気になっていた例の因習について訊いた。あれは事実なのか?きっかけはなんなのか?
「・・・んぅ・・・・・」
背中に視線を感じていた。誰とかでなく。今この会話に聞き耳を立て、様子を見守るような視線。
kさんはこの視線に気付いているだろう。この質問にこの状態でどんな反応をするのか。
沈黙のあいだに一瞬だけ苦虫を噛んだような、泣きだしそうな、そんな顔をした。
私はできれば信じたくなかった。
先祖の因縁、怨恨、呪い、業、etc..
しかし、それはどうやら本当にあるのかもしれない。
人は物事を鮮明に思い出そうとしてる時、一瞬だがその事柄に纏わる感情が表情となって現れる。
また胃の辺りがぎゅうと締め付けられた・・・・・
223: 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 03:46:41.35 ID:BNWIq7oiO
>>193遅くなりました;
「皆よぉー、荷物ば降ろすどぉー」
kさんと私との沈黙を破ったのはs叔父さんだった。
s叔父さんの号令に「ぅおーい」とだらしない返事をしながら皆が軽トラの荷台に群がった。
荷物をあれやない、これやないと言いながら仕分けして家に運んだり、別の車に積んだりしている。
私は手持ち無沙汰が過ぎてs叔父さんに手伝えることはないか?と訊いた。
「そうなぁ・・あ、そうそう!nくんはヒロとかんぬっさんとこ行ってきて!
ヒロは下の川にいるからね」
ヒロは私の従兄弟で、同年代ということもあり幼い頃から仲良しで今でもたまに連絡を取り合う仲。
彼の所へ向かう道中、鬱々としたあの空気をどうにか振り払い、冷静に考えをまとめていた。
信じるだとかは後回しにして、まずそれがあるんだとしっかり受け止めることが重要だと。
具体的な話はまったく見えて来ないが、最悪な話を想定しておく。
それを受け入れる態勢でないとあちらは話せないだろうし、
私も堪えかねない話を聞くことになるかもしれない。
(ああ・・・マジなんかな・・・・・・)
224: 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 03:50:00.59 ID:BNWIq7oiO
>>223
「おい!nか!こっちこっち」
声の先には喜々とこちらに手を振るヒロだった。
私もなんだか嬉しくなって、がらにもなく「おーい」だとか言って手を振って応えた。
ヒロはどうやら沢で何かをしているようなんだが、釣り具はなかった。
「nかぁ久しいなあー!あれらの相手はお前にゃ大変ろ?ん?w」
とイタズラな顔をしてみせる。私も素直に「確かにお前の相手の方がよほど楽だな」と嘯き笑った。
そうしてひとしきり互いに懐かしみ笑い合った後、
「叔父さんがお前とかんぬっさんの所へ行けと言ったんだが、何か聞いてるか?」
と訊ねた。
「おーそうか!壊すの決まったか!よしよし、行こう行こう」おおよそ地鎮祭のような、そういった儀式の必要性は感じていたので私も彼の軽いノリに任せた。
彼は草履と上着を羽織ると行くかー!と言って意気揚々と沢を上がった。
「ところで、お前あそこで何してたんだ?釣りでもないみたいだし」
「うん、はぁなんにもないよ!まぁまた後で話をばするわね」
少し真剣な目をしたので、探るのは止めた。
大変なのは俺なんかよりも、お前みたいなあいだに立つ奴なんじゃないのか?
今になってそんなこと考えたりするよ・・・・・