トップページに戻る

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『コトリコゾウ』


627:猫の親子 3/5:2008/09/01(月) 16:41:26 ID:ErGPIwA40

ジジは老衰のため消化器官を悪くし、排泄にすら痛みを伴うようになっていたらしい。

小学生の俺はジジの身体が悪くなったことしか判らず、ただ不安になった。

その日は手術のため、母はジジを伴って遠くの家畜病院まで行き、
俺は父と親戚の家に泊まった。

従兄弟たちの住む離れは心細く、実家の父の部屋にも泊まれなかった俺は、

平屋建て似合わない、ちぐはぐな洋間で寝ることにした。

心細さとジジに対する不安でなかなか寝つけなかったが、ようやくうとうととし始めた頃。





みしぃ、と板敷きが軋む音が聞こえた。眠っている俺を気遣うような、慎重な足取りだった。

トイレは逆方向だし、父親が様子見に来たのだろうかと思い、毛布から少し顔を上げると、

そこにはぼうっとした様子の、叔父がいた。



話しかけるでもなく、明かりも付けず、ただ黒ずんだ顔でこちらをじっと見ている。

少し猫背にして、怒っても笑ってもいない、魂の抜けたような顔で俺のことを見ていた。

その只ならぬ様子に声も上げられず縮こまった俺はすぐさま布団を被り目をつむった。

意味が分からなかったし凄く怖かった。

どれくらい経ったか分からないが、叔父は一時間以上は

そうしていたと思う。やがて気配が去って行っても、俺は布団から出られないまま朝を待った。



叔母が起き出して俺を起こしに来てくれたが、
父親が来るまでは絶対に起きない!と言い張り、

呼ばれてやってきた父親から家の鍵をその場で貰うと、先に家に帰ると言って飛び出した。

玄関向かって廊下を走っていく途中、食堂の中で叔父が食事をしているのが目に入った。

なんだか細長いパンを食べていたが、真ん中に入った切れ目からは蛆のような白いモノが

一杯詰まり、うごめいているように見えて、俺は一目散に家へ帰った。




628:猫の親子 4/5:2008/09/01(月) 16:44:13 ID:ErGPIwA40

ジジは無事手術を終えたが、それでも長くは生きられない、ということが分かっていた。

急激にみすぼらしくなってしまったジジだったが、頭と声だけはしっかりしているらしく、

ことさら丁寧に接するよう厳しく言われた俺にも愛想だけは返してくれた。

あの夜の出来事は迷った後、両親に話した。ふたりとも嫌な夢を見たね、と言ってくれたが、

母のほうは胸を撃たれたような顔をしているのを覚えている。



そしてその年の秋、ジジが亡くなった。遺体は庭に植えた南天の傍に埋めた。

俺は落ち込んだが、大往生だと教えられ、悲しまないようにした。ザザとゾゾも居てくれた。

だがそれから2週間も経たずに、ゾゾが死んだ。

車に撥ねられたようで、畑の中で死んでいた。

親戚の家が持つ畑で、傍の車道は交通量も少ない。

発見したのは農作業に来ていた祖母だった。
わざわざ新しい毛布に包んで持ってきてくれた。

俺は相当ショックだったらしく、聞かされたときは涙も出なかった。

急激に心細くなった俺はザザを呼んだが、その晩は姿を見せてくれなかった。





その次の日の早朝、また例の声が聞こえた。遠くで誰かが怒鳴っている。

しかし、その日はいつもと違い、声が近づいてくるようだった。

俺は驚いた。声は、1階の玄関から聞こえる。どすん、と三和木から廊下に上がる音がした。

かなり乱暴な足音はそのまま2階に繋がる階段まで移動し、
罵声は吹き抜けから大きく響いた。





上がってくる。




629:猫の親子 5/5:2008/09/01(月) 16:46:35 ID:ErGPIwA40

どすん、どすん、一歩一歩踏み鳴らして近づいてくる恐怖に混乱し、俺は布団の上で固まった。

階段を登りきってすぐ左手のドアを開ければ、俺がいるこの部屋だからだ。

逃げ場もない。完全にパニックを起こした俺は声も上げることができずにいた。

もう足音はすぐそこまできている。

怒鳴り声がまた響く。低い男の声だった。



「なんで***を*さんのだや」



その瞬間ガタンッ!とドアが暴れ、ドアが殴られたのだと分かった。

俺は何が起こっているのか分からず、しかしドアの前に「それ」が居るために外にも出られない。



「なんで***を*さんのだや!なんで***を*さんのだや!」



扉の向こうで興奮した罵声が何度も上がり、その度にドアが割れんばかりに殴られる。

もの凄い音でドアが殴りつけられているのに、両親のどちらも起きてこないことが恐ろしかった。

音はやがてドスン!ドスン!と身体ごとぶつけるような音に変わり、そしていきなりそれは止んだ。

ピタッと、冗談のように。

しばらくすると来た時と同じようにどしんどしんと足音を立てて階段を降りて行くのが分かった。

そうしてようやく、俺はわんわん泣いた。その後熱を出して寝込むくらい泣いた。

朝っぱらからどうしたのかと、ノックの後に母が扉を開けて部屋の中を窺ってきた。

するとその間を縫ってザザが部屋に入り込み、身を摺り寄せてきた。

それに酷く安堵したことを、今でも強く覚えている。





630:猫の親子:2008/09/01(月) 16:47:30 ID:ErGPIwA40

その月の終わりを待たずに、俺と母は婆ちゃんの住む母方の実家へ引っ越した。



婆ちゃんは健在で、俺の両親が離婚することに対しては言葉を濁しながらも賛成だったようだ。

「やっと別れた」とすら言っていた。

これはその婆ちゃんからの口から聞いた話だが、
当時、俺の父親は叔父に変わり家業を継ぐ筈だった。

叔父は関東の大学を出た秀才で、向こうで会社勤めの経験があるらしかった。

それに対し、父は名古屋の某三流大学でキャンパスライフを楽しみ、その先で母と出会い結婚、

突如就職すると言い出し家族中で揉め、結局独り身の叔父が呼び戻され家督を継いだらしい。

母は農家の嫁になるつもりはなかったが、そんな騒動になっていたとは知らずに田舎に越した。

俺を産んだ際、命名を祖父にしてもらう予定だったが
頑なに突っぱねられ、父に理由を問いただして知ったらしい。
婆ちゃんもその時電話でこの話を聞かされ、以来母と俺を案じていたそうだ。



そしてあの恐怖の朝のことを話した時、婆ちゃんは神妙な顔で教えてくれた。

「ジジはうちの家から連れて行った子でね、あんたが赤ん坊の時から引っ付いて離れなかった。

 母親だろうが近づくと威嚇してね。きっとザザとゾゾにもよく言い聞かせてたんだね。

 あんたは小さいから、良くないモノに恨まれ易いんだよ。」

 





今にして思えば、我が家で怒鳴り散らしていたのは叔父の生霊のようなものだったのでしょうか。

声がよく似ていたし、父の実家で体験した異様な様子を鑑みればそう思えてなりません。

ただ、猫が3匹とも居た時はひどく遠いもののように感じていたし、

俺が最後に出くわした出来事も、ザザが追い払ってくれたと思えました。

そしてそのザザも、越してすぐに姿を消し、戻ってきませんでした。



今でも、キーホルダーに付いたジジの鈴は、俺の大切な御守です。長文失礼しました。




632:本当にあった怖い名無し:2008/09/01(月) 17:14:36 ID:hYP9Okjf0

>>630
悪い事もあったみたいだし、
いい話と言って良いのか分かんないけど、
なんかいい話だな。




671:本当にあった怖い名無し:2008/09/02(火) 07:33:21 ID:3fU0+Ms00

わら人形
2ちゃん書き込んでたらなんか安心してきちゃったんだが、
メモ打ってた時は死ぬほど落ちててヤバかった…

あー今夜もあの夢見るんだろうなと思うと鬱になる。



半年くらい前、怖い体験をした。心霊現象ではないが、かなり気持ち悪い体験だ。
長くなると思うから適当に読み流してくれても構わない。



中学生だった頃、俺のクラスに霊感少女がいた。

家が神社だか何からしいのだが、概観は普通の家だったし、
クラスのみんなは俺も含めて、彼女のことをうそつきだと言って苛めていた。

だが、からかい半分で俺の守護霊見て、とか俺の悩み事あてて、と言うと必ず信憑性があることを言われたり、悩み事を言い当てられたりして、
皆には言ってなかったけど俺は彼女のことが少し怖かった。

卒業してからは高校も違った(というか、彼女は高校に行かなかったらしい)のもあり
全然付き合いがなくなっていたし、今の生活が楽しくてすっかり忘れていた。



今では反省しているが、高校行き始めてからの
俺は結構女の子を傷つけるような生活をしてた。

二股かけたり酷いふり方したり、相当恨みを買ってたんだが、
ある日俺宛に小さな荷物が届いた。

中身は手編みの真っ赤なマフラーで、俺はてっきり俺のことを好いてる
女の子からのものだろうと思ってニヤニヤしながら部屋に持ち帰った。

部屋の戸をしめた時に、何か変な、なまあったかいような
空気が頬にかかったが、気にせずにマフラーを広げてみた。

くるくる巻かれてたマフラーが伸びると同時に、床にごそりと何か変な固まりが落ちた。

よく見ると、胴回りが腕の太さほどもある、でかいわら人形だった。

よく見ないと解らなかったのは、錆びた釘がダンゴになるくらい打ち込まれていたからだ。

俺はゾッとして、思わずわら人形を足で蹴って机の下に追いやってしまった。

オカ版はよく見るけど臆病だし、自分にこんなことが起きたのは初めてで、
心臓がバクバクいってどうしたらいいかわからなかった。

とりあえず友達に電話したんだが、みんなウソつけwwwとか言って笑って相手にしてくれない。

長いので一旦切る。




673:671:2008/09/02(火) 07:36:36 ID:3fU0+Ms00

 続き

家に着くとSさんが厚いコートを脱いだ。コートの中には思った通り着物を着てたんだが、巫女さんとかそういう感じじゃなくて、変な目玉?
というか丸とかぐるぐるした模様がある着物
(袖とかえりに{}をつないだみたいなのがあった)で、見慣れない感じの着物だった。

本格的だなぁ、この人ならなんとかしてくれるかも、と思った。



説明は歩きながらしたし、Sさんが「上ですよね、案内してください」というので、
ハラハラしながら自分の部屋に案内した。(ごんごんいってた音は止んでた)

部屋の中は生暖かくてやな感じで、机の下に相変わらず釘ダンゴになったわら人形がある。

昨日掃除したばっかだったから部屋は綺麗で、
Sさんは机の前に座って、和紙みたいなのにわら人形を乗せて机に上げた。

「あ、あとマフラーが…」と床に落としてたマフラーを指差そうとしたんだが、
マフラーが部屋に見当たらない。探してもどこにもない。

Sさんはとりあえずマフラーはいいので水を持ってきてください、と言ったので、
首を傾げながらもヤカンに水を入れ、部屋に戻るとSさんが
机の前であぐらをかきながら、わら人形を睨んでいた。

変な呪文とか祈祷とかするんじゃないかとドキドキしたが、Sさんは座ったまま動かない。

10分くらいして漸くSさんがふーっと息を吐いたので俺
「あ、みず…ここ置いといていい?」と聞くと、Sさん「貸してください」
Sさんはヤカンを持って、もう片方の手に小さなビンを持って、
ビンを握りながらワラ人形に少し水をかけた。(Sさんが持って来た)

俺は斜め後ろに正座してそれを見てたんだが、改めて見るとワラ人形の
胴体が不自然に膨らんでいて、Sさんはそれに水をかけてるようだった。

  まだ続く




[6]次のページ

[4]前のページ

[5]5ページ進む

[1]検索結果に戻る

この記事を評価して戻る



通報・削除依頼 | 出典:http://2ch.sc


検索ワード

トリコ | 洒落 | | コトリコゾウ |