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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『コトリコゾウ』


520:3/5:2008/08/31(日) 15:43:17 ID:Byw8M9Hs0

樹木の並び方、しょぼしょぼと力無く生えている日陰の雑草、

俺の記憶と違いはない。秋でまだ寒くはなかったが、俺は鳥肌が立った。

記憶の目印である小さな常緑樹(榊の木だった)はすぐに見つかった。

夢の記憶の通りに、そこにはかすかに陽が当たり、

湿った枯れ葉が積もっていて、踏んだら柔らかくて足が沈み込んで、ぎくりとした。

もともとくぼんでいたところに、落ち葉や枯れ草が積もったらしい。

そこにはほとんど草も生えていなかった。

俺は、用意していたスコップでそこを慎重に掘り始めた。



するとまもなく、スコップはかちりと何か硬いものに当たった。

枯れ葉と湿った土の隙間から、白いものと布と、

髪の毛の束ようなものが覗いていた。

俺は全身から血の気が引き、気が遠くなるのを感じたが、、

やはり、という妙に透き通った夢の中のような感覚も同時にあった。

恐怖が麻痺したような夢見心地の中で、俺は淡々と土や枯れ葉を除け、

そのものを掘り出した。

半ば腐り崩れかかった着物を着た、市松人形だった。




521:4/5:2008/08/31(日) 15:45:46 ID:Byw8M9Hs0

俺は掘り出したそれを母に見せた。母は、

「けっこう立派な作りだし、人の形をしたものだから、

これはちゃんと供養しないといけないね」と言い、

すぐ近くのお寺に持って行ってくれた。

ここから後は、母がお寺の老住職さんから聞いてきた話になる。



この市松さんは40年以上前に亡くなった、

以前近所に住んでいた一家の女の子のものに間違いなかろう。

その子がとても気に入っていたものだったから、

あのときお棺に一緒に入れて送ってあげようとしたのに

見つからなかったものだよ。



その女の子が亡くなったのは事故でね、

小さな子供たちだけであのあたりで遊んでいたとき、

ある男の子が振り回していた火箸かなにかがすっぽ抜けて、

その女の子の頭に刺さってしまったらしい。

(目に刺さったんじゃないかしらね:母)

子供たちが「大変だ」とぐったりした女の子をお寺に連れてきたものだから、

大騒ぎになったよ。

結局その子はその傷が元で亡くなり、

男の子の方は少し後で風邪をこじらせた肺炎で亡くなった。

あのころはこのあたりに医者がいなくて、

当時は贅沢品だった自動車なんぞ持っている家があるはずもなく、

手当がどうしても遅れがちだったんで二人とも可哀想だったな。

女の子の家も怪我をさせてしまった男の子の家も居づらくなって

遠くへ引っ越してしまたので、

今ではここらで憶えている人も少なかろう。




522:5/5:2008/08/31(日) 15:48:35 ID:Byw8M9Hs0

そのとき俺の祖父母が生きていれば、

人形を見た瞬間にはっと気づいたかもしれない。

その女の子は、たまたま市松人形を持って遊びに出て事故にあい、

人形を落としたのがあまり人が近寄らない場所だったのと

子供たちがその子をあの場所からお寺に連れて行ってしまったのとで、

そのままになってしまったのに違いない。



それから俺は、あの場所に骨が埋まっている夢を見ることがなくなった。

俺はオカルトは信じない方だが、

女の子に人形を返してあげることができたという安堵の気持ちを

打ち消すつもりはない。

もともと仲良しだった二人の子供たちが

大好きだった市松さんを俺に託して取り戻したかったのだろうと思うことにした。



おわり。





523:本当にあった怖い名無し:2008/08/31(日) 15:58:14 ID:YaF8J6x30

>>522
自分を差し置いて言うのもなんですが、
怖いというよりは不思議な話ですね。




525:本当にあった怖い名無し:2008/08/31(日) 16:05:29 ID:Byw8M9Hs0

マジで白いものを掘り当ててしまったときは、死ぬ程洒落にならなかったけどね。
子供だったし。




625:猫の親子 1/5:2008/09/01(月) 16:38:55 ID:ErGPIwA40
猫の親子
友人に教えられて覗いて見たら、動物の話があったので書きこんでみます。

俺が生涯体験した最も怖い出来事は、猫たちの話。



本年21歳になる俺は元々田舎の生まれで、少し足を伸ばせば海が見える、

山と川に挟まれた愛知県の某町で両親と3匹のシャム猫と暮らしてた。

母猫のジジと、ザザとゾゾの姉弟。ゾゾは体格がよくて、近所のボス猫だったらしい。

生まれたときから一緒だったので、ザザとゾゾは俺をよく構ってくれた。

加減もしらない馬鹿ガキだったけど、猫の機嫌の伺い方は本能で覚えたんだと思う。





ところでその頃、俺が住んでいた一軒家の近所に、父方の実家があった。

祖父祖母叔父夫婦、従兄弟の三兄妹が住んでいたが、俺はその親戚一家に懐かずにいた。

酪農農家を営んでいるからか、家の中はうっすら獣のような臭いがしていたし、

向こうの一家も俺のことを特に歓迎していない雰囲気があったからだ。

とりわけ祖父の理不尽な頑固は子供心にも異様に思えたし、

父親の兄にあたる叔父は得体の知れないところがあって、どうしても好きになれなかった。

そして普段礼節に厳しい母親も、俺のそんな態度については何も言わなかった。




626:猫の親子 2/5:2008/09/01(月) 16:40:26 ID:ErGPIwA40

そんなある日、多分小学1、2年のころ、早い時間に目を覚ました事がある。

万年朝寝坊だった俺は、ものすごく冷え込んだ日だったこともあって、
そのまままたすぐ布団に潜り込んだ。
一階あたりで何だか声が聞こえたような気がするが、気にしなかった。

ただいきなりザザが飛び込んできて、布団の中に入ってきてくれたのは覚えている。

その後目覚まし時計に起こされたが、ザザはランドセルを背負うまでずっと部屋にいてくれた。





そしてそんなことが日を置いて3,4回続いた。

朝だか夜だか、とりあえず決まって俺は寝ていて、どこか遠くから声が聞こえて起きる。

すると猫が傍に来てくれたり、又は布団の上で寝ていたりして、また眠る。

特に不思議なこととは思わなかった。ただ、繰り返し遭遇していくうちに、

遠くの声は何だか、理不尽に怒鳴るような、一方的な罵声のように思えた。

両親や友達に相談する気も起きなかった。学校は遊ぶ処だったし、家には猫がいるから、

話は猫に聞いてもらって、猫から返事を聞いたような気をしていれば十分だったからだ。

今思えば俺も十分へんな子だったかもしれないが、猫たちは殆ど姉兄のような間柄だった。





しかし小学3年の夏、母猫のジジが入院することになる。




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