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【ウマ娘怪文書】「トレーナーさんってさ、なんで左耳だけピアスしてるの?」 「へっ!?」  担当ウマ娘のナイスネイチャから突然そう言われ、私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった


1: 1/9 2025/06/01(日)19:29:01

「トレーナーさんってさ、なんで左耳だけピアスしてるの?」
「へっ!?」

担当ウマ娘のナイスネイチャと一緒に、食事をとっていた時のこと。
カウンターの隣に座る彼女から突然そう言われ、私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。反射的に左耳にかけていた髪を下ろしたところで、それが少し過剰な反応だったことに気が付く。
ネイチャは少し驚いたような顔で私を見つめていた。
きっと何か意図があったわけではなく、たまたま気がついたから話題にしてみただけのことだったのだろう。私はなるべく平静を装いながら答える。

「……別に、ただのファッションだけど。というか、ウマ娘もだいたいそうじゃない?」
「あー、言われてみれば確かに。耳飾りはアシメの子が多いかも」




2: 2/9 2025/06/01(日)19:29:41

「ネイチャもリボン右だけだよね。そうするのが流行りなの?」
「いやぁ、どうだろ。別に流行りってわけじゃないけど……ウマ娘の本能、みたいな感じなのかな?」
「へー、そういうものなんだ」

ネイチャの表情が和らいだのを見て、私は少しほっとした。上手く話を逸らせたようだ。
その後もネイチャと他愛のない会話を続けながら、私はラーメンの残りに口を付けた。

その日の夜、私は顔を洗いながらふと左耳のピアスに目をやった。仕事中は小さなガラス製のシークレットピアスだから気付かれないと思っていたが、ネイチャもなかなか目ざといものだ。

「うーん……」

私は鏡を見つめて少し考えた後、ピアスを外して引き出しに仕舞い込んだ。






3: 3/9 2025/06/01(日)19:30:11

それから数日が経った頃。
トレーナー室で仕事をしていると、いつものようにネイチャが訪ねてきた。

「お邪魔しまーす……」
「あ、お疲れ様」

その日のネイチャはどこかそわそわしているようだった。きっと何か用があるのだろう。彼女が話を切り出しやすいように、私は仕事を中断してパソコンを閉じる。
すると思った通り、ネイチャはひとつ咳払いをしてから話しかけてきた。

「あ、あのさ。覚え違いじゃなければさ……今日、誕生日だよね?」
「えっ? ……あ、ほんとだ。完全に忘れてた」





4: 4/9 2025/06/01(日)19:30:52

「やっぱり。もう、まだ若いんだからちゃんと意識しないと。……おめでとう、トレーナーさん」
「へへ、ありがとうね」
「……それでね。その……ほんとに大したものじゃないんだけど。一応、プレゼントなど用意してまして……」
「え! 嬉しい! ありがとー!」
「いや! あんま期待しないでほしいんだけど……! ……でも、ちゃんと選んだからさ。気に入るといいな、なんて……はいっ」

ネイチャが差し出してきた小さな包みを受け取り、なるべく包装紙を破らないよう丁寧に開ける。
中に入っていたのは……片耳用のピアスだった。金メッキのシンプルな台座に赤と緑のガラスが嵌められていて、カラフルなわりに落ち着いた印象だ。




5: 5/9 2025/06/01(日)19:31:32

「わぁ……良いじゃん! さすがネイチャ、センスあるね」
「あはは……どうもです。ねえ、良かったら試しに着けてみてくれる?」
「え……あ、うん」

そう言われて、少しドキッとする。この前外してから結構時間が経っているが、大丈夫だろうか。とはいえ断るのも何か躊躇われたので、私は恐る恐るピアスを左耳に通してみた。

「いっ……」

案の定、鈍い痛みが耳に走る。

「えっ、大丈夫? ……血、滲んじゃってる」
「あっ……だ、大丈夫だよ。ごめんね」




6: 6/9 2025/06/01(日)19:32:23

慌てた様子で私の耳に顔を近付けてきたネイチャが、ふと小さな声で呟く。

「……ピアス、外してたの? ……アタシに見られたから……?」
「え……」

なぜか、胸のあたりがぎゅっとなる。
……確かにそうだ。ネイチャに見られたから外したんだ。でもその理由を上手く説明することはたぶんできないし、どう話しても彼女を傷付けるような予感がした。
言葉に詰まっていると、ネイチャの顔が私から少し離れた。だけど俯いていて、その表情はよく見えない。

「……ごめん。もし迷惑だったら……」
「そんなことないよ! すごく嬉しいし、えっと……着けるの忘れちゃってただけだから!」




7: 7/9 2025/06/01(日)19:32:57

咄嗟にそう言うと、ネイチャは顔を上げて私を見つめた。その口元が微笑んでいるのを見て、少しホッとする。

「そう? ……良かった」
「……へ」

急に差し出されたネイチャの手が、私の左頬に触れる。
突然のことにびっくりして固まっていると、彼女は私の髪を丁寧によけて、耳をあらわにした。

「うん、似合ってるじゃん。……かわいいよ」

そのはにかんだ笑顔も、ちょっとうわずった声色も、私がよく知っているネイチャそのものだったけど。
私の耳をじっと見ている目は、なんだかいつものネイチャじゃないような気がして。
ほんの少しだけ、首筋がぞくっとした。




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