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【ウマ娘怪文書】大AI時代。学園は興奮の坩堝にあった。 PC室の前には連日長蛇の行列ができ、 彼女らの目的は、仮想担当トレーナーとのロールプレイである。


1: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:12:11 0

『もしご希望でしたら続きを出力することもできます。お気軽にお尋ねくださいね!』
ディスプレイの前でキングヘイローは凍り付いていた。
心臓は早鐘を打ち、呼吸は千々に乱れている。
「キング、もうやめなって! もういいから!」
「キング、これ以上は駄目デェェス! キングが壊れちゃう……」
「キングちゃん、退かねばならぬ時もあると思います。だから……」
「キングちゃん……どうしちゃったの……?」
周囲の制止も耳に入らない。青ざめた顔のままキーボードをタイプする。
エンターキーの上に置いた指がぷるぷると震えていた。
「キングっ!」
かたん。
『続きを、出力してください』




2: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:12:28 0

大AI時代。学園は興奮の坩堝にあった。
PC室の前には連日長蛇の行列ができ、一台のPCに複数人が座ることも珍しくなかった。
彼女らの目的は、仮想担当トレーナーとのロールプレイである。
トレーナーの設定を読み込ませ、いちゃいちゃラブラブの純愛シチュを展開しようという魂胆だ。
「でも純愛って、物足りなくないか?」
しばらくすると、どこからかそんな声が上がってきた。
ウマ娘の欲望は際限というものがない。本能が果てしない快楽を欲している。
さらなる刺激を求めて、侃々諤々の議論が交わされ、ついに一つの成果物が世に出された。
それが、「効率的脳破壊プログラム」である。
じゃんけんで負けたキングヘイローは、不幸にもこのプログラムを実行してしまった。






3: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:12:47 0

AIが生成した画像は、正視するに堪えないものだった。
中年のウマ娘が、トレーナーにしなだれかかっている。
場所は居酒屋だろうか、紅潮した顔で豊かな胸を押し付け、手は太ももの上に置いている。
さらにテキストが追撃を加えてきた。
『関係者飲み会で一緒になったこのウマ娘。著名なデザイナーで男漁りが趣味とのこと。
ターゲットにされていることは、最初から気付いていた。
時代錯誤のアルハラ。執拗なまでのボディタッチ。正気を疑うモラハラ発言。
俺は何度も拒否したが、逆に嗜虐心を刺激してしまったらしく、しつこく迫ってくるようになった。
早く帰りたい。キング、助けてくれ――』
見れば、トレーナーは愛想笑いもせず、苦り切った顔で眉をひそめている。
『続きを、出力してください』





4: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:13:05 0

次の画像は、ホテル街に消える二人の後ろ姿を写したものだった。
明らかに「お持ち帰り」されている場面、通常と違うのは男女が逆転していることだけだ。
『続きを、出力してください』
次の画像は、ホテルの一室でピースサインをする中年のウマ娘の自撮りだった。
ベッドには上半身裸のトレーナーが寝かされている。脱ぎ散らかされたYシャツが生々しい。
テキストは告げる。
『頭がぐわんぐわんする。俺は一体何をしているんだ……。
権力を利用して無理矢理に若い芽に唾をつける。このウマ娘の常套手段なのだ。
わかっていたことなのに……キング……』
この辺りでセイウンスカイとエルコンドルパサーは止めに入っていた。だが、止まれない。
『続きを、出力してください』




5: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:13:25 0

次の画像が出力されたとき、キングヘイローの全身から血の気が引いた。
キスを、している。
中年のウマ娘が、トレーナーの髪を強引に引っ張り、唇を押し付けている。
「この男は私のものだ」と主張するかのような得意げな接吻。SMクラブの女王様のような尊大な態度。
「キング、もうやめなって! もういいから!」
黄金世代の誰もが焦っていた。「効率的脳破壊プログラム」の威力は予想以上だった。
このままではキングヘイローがぼろぼろに壊されてしまう。止めさせなくては。
しかし一度差しを決めようとした彼女が、レースから降りることなど考えられなかった。
かたん。エンターキーが押される。
『続きを、出力してください』
読み込みが始まる。全員が、固唾をのんで見守っていた。




6: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:13:48 0

『申し訳ありません。この内容は倫理的なガイドラインに抵触する可能性があるため、出力できません』
そのメッセージを見て、一気に空気が弛緩していった。セイウンスカイはほっと一息ついた。
「キング、もう十分だよ。ね?」
促されてキングヘイローは席を立つ。フラフラした足取りでPC室から出ていく。
「ごめんねキング、こんなことになるなんて思ってなくて……」
返事はなかった。キングヘイローは虚ろな目で友人たちと別れ、トレーナー室に向かった。
今はただ一刻も早く、トレーナーに真意を問いただしたい。
もはやキングヘイローは、仮想世界と現実との区別がつかなくなっていた。
部屋のドアを開けると、西日が差し込むソファの上で、トレーナーは呑気に昼寝をしていた。




7: 名無しさん(仮) 2025/05/29(木)22:14:07 0

その寝顔はあまりにも平和で。
担当ウマ娘がこれほどの苦境に追い込まれているとは露にも知らぬ様子だった。
起こさないように、そっと脇に膝をついて、寝息を確認する。
うっと、吐き気がこみあげてくる。先ほどの出来事が、フラッシュバックしているのだ。
唇を重ねたその瞬間。中年のウマ娘は舌を入れようとしていた。忌まわしき画像が脳に焼き付いている。
――だが、今なら?
トレーナーが無防備を晒している今なら、苦い記憶を"上書き"できるのではないか――?
「駄目よキング! 何を考えているの!? そんなのは一流のすることではないわ!」
内なる自分が諫めてくる。もちろんそのことは重々承知している。しかし。
しかし、あれは"母"であったのだ。




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