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【ウマ娘怪文書】マンハッタンカフェには夢がある「いつか、私だけの喫茶店を持ちたい…静かで、来た人が心の底から安らげるような…そして願わくばトレーナーさんと…その店を切り盛りしていきたい…」


1: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:18:42 0

マンハッタンカフェには夢がある。いつか彼女の“お友だち"に追い付き、追い越すこと……
なのだがそれに加えて最近もう1つの夢が出来た。
「いつか、私だけの喫茶店を持ちたい…お客さんは多くなくても良い。静かで、来た人が心の底から安らげるような…そして願わくばトレーナーさんと…その店を切り盛りしていきたい…」
3年間、彼女の走りに付き添ってくれたトレーナー。カフェはいつしか彼にトレーナーとして以上の気持ちを抱いていた。自分と添い遂げてほしい、自分の夢の果てまで共にいてほしい。そう願っていた。
ある時、思い切ってこのことをトレーナーに打ち明けた。
「トレーナーさん…どうか、私と添い遂げてはいただけませんか…?」
「カフェ………分かった。君が卒業まで俺のことを想ってくれるなら、その時は君の想いに応えよう」
その日からカフェの夢は2人の夢になった。それまでは良かったのだが…




2: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:19:04 0

ある日の昼休み。カフェは上機嫌でトレーナー室に赴いていた。今日はトレーナーと一緒にお昼ご飯。とっておきの豆を使ってコーヒーを淹れ、沢山お話もしよう。鼻歌混じりにトレーナー室の扉を開いた。
「やぁ、カフェ。午前の授業お疲れ様」
「こんにちはトレーナーさん。待っていてください、今コーヒーを淹れますね…」
カップ2つにカフェが思う適量のコーヒーを注ぎ入れて準備は万端。さぁ、楽しいランチの始まりである。
「おや…今日はお弁当ですか…?」
「ん…まあね。元々料理は嫌いじゃなかったけど、君との将来も見据えてレパートリーを増やしたいなと思ってさ」
「トレーナーさん…」
彼が自分との将来を真剣に考えてくれていることに胸が熱くなる。
「それ、ご開帳」
そんなだらしなくにやけ切っていたカフェだったが、彼の弁当の中身を見て真顔になった。
「これ…は…?」
「ああ、トンカツの卵とじ。ご飯は別にしてある。汁を吸ってべちゃべちゃになっちゃうからね」
言うなり、トレーナーは別に用意されていた白飯にトンカツの卵とじをオン。何とも立派なカツ丼が完成した。だがこれは…






3: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:19:59 0

「あの…トレーナーさん…私の夢は喫茶店…」
「…?ああ、知ってるよ。そうだ、カフェ!良かったら食べてみて!君の夢に相応しい味かどうかを確かめてみてほしい!」
「え…あ…」
言われるがままカツ丼を食べることになってしまったカフェ。一口頬張ると、肉の脂の豊かな甘みと、卵のふんわりとした食感が口いっぱいに広がった。愛する人の手料理、という贔屓目を抜いたとしても間違いなく美味しい。仮にこれをアグネスタキオンが食べようものなら、「素晴らしく美味いねぇーーっ!」と叫びながら口から光線を発射して感動の意を示すことだろう。だが…
──何か…何か良くない予感がします…!
確かにこのカツ丼は美味しい。店の看板メニューになり得る程に。カフェのコーヒーそっちのけで頼まれそうな程に。しかしそれでは…
──私の望む…喫茶店とはかけ離れていく気がします…!
「……口に合わなかったかな?」
無言になってしまったカフェを心配そうにトレーナーが覗き込む。
「え、いや、お…美味しいです…とても…」
「そっか!良かったぁ」
嬉しそうに顔を綻ばせるトレーナーを見て、カフェは何も言えなくなってしまった。





4: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:20:18 0

また別の日。
「…今日もお弁当なんですね」
「ああ!良かったら食べてみて!」
先日の件もあり不安なカフェ。そんな彼女の心情は露知らず、トレーナーは自信満々にお弁当箱の蓋を開けた。中からは立派な唐揚げが姿を現した。
「あの…私の夢って何でしたっけ…?」
「喫茶店でしょ?さ、食べてみて食べてみて」
有無を言わさず目の前に置かれた大振りなそれを、カフェは口に頬張った。
美味しい。大振りにも関わらず火加減は抜群で、揚げてから時間が経った唐揚げ特有のベチャッとした食感はまるでしない。仮にこれをジャングルポケットが食べようものなら「こんなに美味ぇ唐揚げは食べたことがねぇ。これに比べたら俺が今まで食べてきた唐揚げはカスだ」と暴言混じりに感涙すること間違いない。
「ど、どうかなカフェ…?」
またもや無言になってしまったカフェを心配そうにトレーナーが覗き込む。
「美味しいです…ですが…」
“私の望む喫茶店の味ではない"“トレーナーさんは喫茶店を定食屋か何かと勘違いしていませんか?"
そう問おうとした矢先。
ドン!
隣で大きな音がした。




5: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:20:36 0

ガタッガタガタッドンドンッ!
「な、何の音…?」
「落ち着いてください。ラップ音…お友達が騒いでいるだけです…」
「な、何で…?」
「一体どうしたの…」
──……セロ…
「え?」
──食ワ…セロ…
「………」
原因は食い意地であった。
「霊って食事するの?」
「いや…そういえば試したことありませんね…」
「うーん…じゃあ次は一応お友達の分も作ってくるよ!」
お友達のせいで言いたいことを言うタイミングを逃してしまったカフェであった。




6: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:21:16 0

そして次の日。
「今日は自信作だよ!」
「あの、トレーナーさん…私の為にレパートリーを増やそうとしてくれるのは嬉しいんです。でもトレーナーさんのレパートリーはその…些か男らしいというか…」
ここに来て、ようやく言いたいことをやんわりと伝えられたカフェであった。
「なるほど…確かにカツ丼やら唐揚げは少し男臭い料理だったかもしれないね。でも今日のは大丈夫だよ!オム」
「オム…!」
「オムそば!じゃーん!」
「んんー…」
定食屋どころか居酒屋に寄った気がする。そんな微妙な心境のカフェを他所に、隣でガタガタと騒ぐ音。
──早ク食ワセロ
「待って待って」
トレーナーは空き箱やら何やらを組み上げて簡易的な土台を作り上げた。




7: 名無しさん(仮) 2025/05/30(金)23:22:17 0

「じゃーん、即興のお仏壇!ここにオムそばを乗せて…」
お供え物、ということらしい。
「それで霊が食事出来るわけ…」
カフェが言いかけた瞬間、仏壇に乗ったオムそばがふわーっと宙に浮いた。そして……
シュパッ!
虚空へと消えた。
「き、消えた!?どうなってるのカフェ!」
「え、えぇ。お友達がオムそば食べてます…」
トレーナーの目論見は成功し、見事オムそばは霊界へと旅立ったようである。
──ウ…美味イ…
「美味いって言ってます」
「本当!良かったぁ」
──婿入リヲ…許可スル…
「何で貴方の許可がいるの!」
──イヤ…要ルデショソリャ…




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