8： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:22:38 0

「…？何の話？まあ、いいや。それよりカフェも食べて食べて」
差し出されたそれを見て、一目で分かる。このオムそばは間違いなく美味しい。いい具合に半熟の卵。中から覗く焼きそばのソースの照りは美しく、食欲を唆る。これまでのカツ丼や唐揚げからも鑑みて、美味しいのは火を見るより明らかだ。しかし。
「トレーナーさん…私は…喫茶店を開きたいんです…」
「…？分かってるよ。だからこうして…」
「トレーナーさんの料理はどれも喫茶店向きではありません…！」
「え…」
「私が望むのはコーヒーと軽食を楽しめる憩いの場…こんな…ガッツリとしたメニューでは喫茶店とは程遠いんです…！」
カフェはようやく言いたかったことが言えた。だが…
「あ、あぁ…ごめんよカフェ…喫茶店のことよく分かってなくて…そっか、君の夢と合わないことをしてたんだね、俺…」
「あ…」

9： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:22:58 0

しまった、とカフェは思った。そもそも自分の夢にトレーナーを巻き込んだのは他ならぬカフェ自身。彼が誰のために努力してくれていたと思っているのか。
「違っ…私そんなつもりじゃ…」
チッ…とお友達の舌打ちが聞こえた。夢についてちゃんと話し合ったか？受け入れてもらった時点で満足して舞い上がっていなかったか？誤ちに気付く時間はあっただろ？そんなことを言いたげである。
「何が…何が2人の夢になったですか…私は大バカです…でも…！」
大バカには大バカなりのケジメの付け方がある。
「いただきます！」
言うなり、カフェは勢い良くオムそばを啜り出した。
「え、カフェ…？」
困惑するトレーナーを他所に、頬張って、咀嚼して、飲み込んだ。ふわふわのオムとこってりピリ辛ソースの焼きそばが絶妙にマッチしている。仮にこれをダンツフレームが食べようものなら、細胞が進化してムキムキマッチョになった挙句ナイフとフォークを振り回すであろう。
「ご馳走様でした…！」
見事完食。そして、カフェはトレーナーに向き直って言った。

10： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:23:22 0

「ごめんなさいトレーナーさん。私の夢に巻き込んだのに、勝手なことを言って」
「勝手なことだなんてそんな…俺が勘違いしていただけなんだから…」
「えぇ。だから、これからは貴方とちゃんと夢について話し合います。私の独り善がりな夢にならないように…私達2人の夢にする為に…」
「カフェ…」
「まず、トレーナーさんの料理はどれも美味しい。このオムそばも、カツ丼も、唐揚げも。しかし喫茶店には合っていないんです。もっと片手間で食べられるような軽食が欲しいんです」
「でも、喫茶店にはトレーニング終わりでお腹を空かせたウマ娘達も寄ると思って。ガッツリ食べたい子もいるんじゃない？」
「なるほど…ではカツサンドはどうでしょう？ボリュームがあって尚且つ食べやすい」
「あ、いいねそれ！じゃあ唐揚げはもう少し小ぶりにしてピックで食べられるようにしようか。器もお皿より映えるような…バケットとかどう？」
「フライドポテトなんかもつけたらより美味しそうですね。あとはオムそばは…」
「焼きそば部分をナポリタンにしてみるのはどう？何か喫茶店ぽくない？」
「それです！」

12： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:24:10 0

斯くして、カフェとトレーナーは前よりも言いたいことを言い合えるようになって、より仲を深めるに至った。

「そんなことがあって、私達がよりお互いの気持ちを伝えられるようになったから…今のこのお店があるんです…」
数年後、念願の喫茶店を開いたカフェは遊びに来たアグネスタキオンに嬉しそうに惚気ていた。
ふむ、とタキオンは店を見渡す。老若男女、幅広い年齢層がコーヒーを飲み、食事に舌鼓を打ち、安らいでいた。
「君は見事夢を叶えたようだ、おめでとうカフェ」
「ありがとうございます…私、今とても幸せです…」
「だが、この食事のメニューは些かその…いや、何でもない…」
カフェのあまりに幸せそうな笑顔に、メニューを見て思い浮かんだ感想はそっと飲み込んだタキオンであった。
──カツサンドにチキンとポテトのバケットってこれほとんどコメダだねぇ…

13： S 2025/05/30(金)23:24:42

ミームに乗って書いてみたかった

14： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:29:11 0

カツサンドは美味いからな…

15： 名無しさん（仮） 2025/05/30(金)23:31:58 0

コメダは人気だからな…