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【ウマ娘怪文書】トレーナー室で作業をしてをしていると担当のヤエノムテキがこちらに話かけてくる「トレーナー殿、犬が……飼いたいそうですね?」藪から棒にヤエノがそんなことを言い出す


8: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:40:38 0

「…………分かった」「……!」
「……いや、ヤエノを犬にしようとまでは流石に思えないけど……ヤエノがそこまで言うなら、少し付き合うだけなら……」
「では……!?」「……分かったよ、首輪を着けるだけな? それだけだから」
……ヤエノの熱意に負けたのはある。というか、彼女の言うことを少しでも叶えてやらないと話は進まない気がして……少しだけ、彼女の言う通りにすることにした。

「分かりました……! では、どうぞ!」
そう言って、ヤエノが首輪を差し出してくる。
「えっと……?」「はい、私の首にそれを着けてください……!」
ヤエノムテキは、無防備にもその白い首を差し出す。……これ、俺が着けないといけないのか……。
戸惑いはある。というか戸惑いしかないが……。しかし、彼女にやると言ってしまった以上、やらざるを得ないだろう。ええい、ままよと勢いに任せ、首輪をヤエノの首に嵌めてやる。
「あっ……」
カチリ。首輪の留め具を着けて首から手を放す。
「……これで、良いのか……?」
「ふむ……なるほど、これが首輪を着けられる気分……ですか」
ヤエノは何やら感慨深そうに目を細め、言葉を漏らす。




9: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:41:57 0

「…………その、トレーナー殿……? 鎖を持っては貰えないでしょうか……?」
「え、うん……」
彼女に言われるがままに、鎖の端を持って見せる。するとヤエノはうんと頷き、やがて自ら這いつくばった。

「……ヤエノ……!?」「はい、何でしょう……?」
「いや、何でしょうじゃなくて……なんで這ってるの……?」
「……? 犬は四つん這いになる物でしょう?」
さも当然かのように、彼女は上目遣いで言い放つ。……そうか、ヤエノはもう、犬に成りきっているのか……。
軽い目眩を覚えながらも、彼女の言った通りに鎖を持つ。ヤエノ犬は、どこか楽しそうな表情で這いつくばり、腰を上げ尻尾を振る。

「さあ、トレーナー殿……! 私を犬のように扱いください……!」
「いや、犬のように扱えって言われても……」
そんなこと言われても、全く何も思いつかないのだが……。
「……トレーナー殿、トレーナー殿」「……なに」
「芸を仕込むのです。お手、おかわり、と」「………………」




10: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:43:14 0

あくまでもヤエノは、犬を飼いたいという俺の欲求を満たす為に、こんなことをやっているのだろう。そうに違いない。いや、そうであっても困るのだが、それ以外に意図があってこんなことをしてると言われてもどうにもしようがなくなる。
「…………分かった。じゃあヤエノ……」「……ワンっ」

「お手」「ワンっ」
俺が手のひらを差し出すと、ヤエノは四つん這いのまま手を差し出し、ポンと俺の手のひらの上に置く。態々、犬の鳴き声まで出して、俺の言う通りにヤエノは動く。……俺は一体、ヤエノに何をやらせているのだろう。

「…………ぁぁ……おかわり」「わんっ!」
もう片方の手のひらを差し出すと、先よりも元気よく、ヤエノは鳴いて手をポンと置く。
「……おすわり」「わふ……」
ヤエノが、蹲踞の姿勢となってこちらに向き直る。……こちらから見ると凄く制服のスカートの辺りが危ういのだが……そんなことにも目もくれず、ヤエノは犬に成りきっていた。

「………………」
「…………」
「…………うず、うず」
「……? ヤエノ……?」





11: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:44:35 0

何か、物欲しそうな表情でこちらをじいと見つめるヤエノ。俺にはもうヤエノのことが何も理解できないので、残念ながら察してやることはできないのだが……。その真意を探っていると、ヤエノはおずおずとこちらに伺ってくる。
「……あの……トレーナー殿……」「どうしたんだ……?」
「……その、芸、……ちゃんと、できました」「……ああ、できたな」

ヤエノは、何か意を決したような顔で続ける。
「トレーナー殿……っ……褒めては、いただけませんか……っ?」「褒める……?」
褒める、というのは褒めるということだろうか……?
「はい……よしよしと、良くできたと私めを褒めてはいただけませんか……?」
ウズウズと、物欲し気な表情でこちらに伺いを立てるヤエノムテキ。……なるほど、確かに犬がちゃんと芸をできたのならば、ご褒美をやるのは定石だろう。

「……褒められたいのか……?」「……はい……っ……」
くぅん、と軟い声を鳴らして、ヤエノは応える。……ここまで来たのだ、彼女の求めるものは叶えてしまった方が良いのかもしれない。

「…………よしよし」「……っ!」
「よーしよしよし、良くやったな、ヤエノ」




12: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:46:12 0

「!! わふっ……くぅん……♪ くぅーん♪」
ヤエノが、嬉しそうにこちらに鳴く。……思えば、ヤエノは乱暴者と呼ばれるような幼少期を送っていたと聞く。純粋に褒められるような経験は少なく、それ故にこの状況に、俺に褒められることに大きな喜びを抱いているのではないか。

……と、そう思わないと、彼女の行動を受け止められないような気がして、ああ、そうに違いないと無理矢理自分を納得させた。

「――ふぅ……あの、ではトレーナー殿……」
「うん……? なんだ、ヤエノ」
彼女の頭を抱き、よしよしよしと撫でているとヤエノはこちらに向き直り声を掛けてきた。
「散歩を、いたしましょうか」
「散歩……?」
まさか、ヤエノはこのまま、自分を外に連れだせとでも言うのだろうか……?

「いや、そういうあれではありません……! 流石に、それは……トレーナー殿が何と噂されるか分かった物ではありませんから……その分別はついております」
もう既に、何と噂されるか分かった物じゃない状況ではあるのだが……流石に、外に連れだせとは言わないらしい。ならば、どうするつもりなのか……?




13: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:47:07 0

「このトレーナー室の中だけで良いのです。私を連れて歩いてはくれませんか……?」
……なるほど、このトレーナー室の中で散歩をしようということか。
……抵抗感が無いと言えば嘘になるが……まあ、もうここまで来たのだ……やれることはやってしまおうじゃないか。

ヤエノの首輪をじゃらりと持って立つ。それを見たヤエノは心得たとばかりに四つん這いになり、尻尾を立ててこちらを見上げる。

「……行くぞ、ヤエノ」
「……ワン……!」
そうして、俺たちは歩き出した。ヤエノが4足歩行でずいと進むと、こちらもそれに合わせて一歩と進む。ヤエノが歩む度にこちらも歩を進める。

ふり、ふり。
ヤエノの尻尾が左右に揺れる。こちらからは彼女の表情は見えないが、はっはっと微かに息遣いが聞こえ、楽しげに揺れる尻尾を見ると、彼女がこの状況を喜んでいることがこの首輪越しにも伝わってきた。

「と、トレーナー殿……! わ、わん……! わんっ!」
てくてく、てくてくとトレーナー室を一周する。その間にもヤエノは楽しげに鳴き、尻尾をブンブンと振っていた。






14: 名無しさん(仮) 2025/05/19(月)00:47:51 0

「ああ、トレーナー殿……! 散歩とはこうも楽しい物だったのですね……! あぁ……♪ くぅん♪ くぅん♪ わふっ、わぅ……♪」
 俺は、一体何をしているんだろう。彼女が喜び楽しんでいるのに反比例するように、俺はこの状況をどこか遠くの出来事かのように感じてしまっていた。

 ああ、こんな所を誰かに見られでもしたら、俺は一体全体どうなってしまうのだろうか。諦めとも、何とも言えない遠い目で向こうを見やる。
「ワンッ! ワンッ♪」
 ヤエノは楽しそうに鳴いている。ああ……本当に、こんな所を誰かに見られでもしたら……俺は、俺は……。

「ワンっ! ワンっ!」
「――あのー、ヤエノさん居ますかー?」

 ガラリ。扉が開く。

「わんっわっ…………あ――」
「えっ……? …………あ――」




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