女がレイプされかけた話
250:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:32:08.36 ID:1ZBFq/lo0
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気が付けば8時間、あたしはご飯も食べるのを忘れて本に没頭していた。
健吾くんとナナちゃんの話。
なんだかもどかしくて、健吾くんに物申したくなっちゃうくらいに。
やっぱり健吾くんはすごいよ。
物語は残す所、あと数ページになっていた。
251:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:32:58.65 ID:1ZBFq/lo0
夢中になってページを繰る。
しかし、最後の展開に何か違和感を抱く。
私が知っている健吾くんの話と、ちょっと違ってくる。
それでもページを繰る。
そして、最後のシーンになった。
締めの行にはこう綴られていた。
「君を見送った駅で、僕は今日も待ち続けるー」
やはり違和感を拭いきれずに、
少し考える。
そして、はっと気付く。
まさか健吾くん、君は。
252:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:35:56.00 ID:1ZBFq/lo0
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ああ、またかよ。
サインを求める女の子、数人。
適当にさらさら、とサインする。
はぁ、と溜息をついてしまう。
俺は毎日、ここに座っている。
253:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:40:26.95 ID:1ZBFq/lo0
俺の小説が刊行されてから7日、毎日だ。
朝の8時から20時まで。
よくもこんな無謀な事を始めたもんだ。
半年前の自分を恨む。
初日はそりゃあ退屈だった。
することも無くて、ただ文庫本を読む。
読み終わったら、ひたすら携帯をいじる。
だがそれでも充電は切れる。
しまいには通り過ぎる電車の数を数えていた。
254:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:44:25.34 ID:1ZBFq/lo0
3日目くらいになると、周りの人が、
俺を見てヒソヒソ話をする。
まあ仕方が無い。
一日中こんなとこに座ってる方がおかしい。
ところがありゃあ4日目の事だ。
大学生と思しき女の子の3人組が、
俺に声を掛けてきた。
「桜田健吾さん、ですよね?」
255:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:48:38.30 ID:1ZBFq/lo0
そうだ、と答えると、
きゃあきゃあと騒ぎ始める。
小説の締めと、何日も座っている事から、
判断したのだろうか。
サインをねだられたので、暇だったから綺麗に書いてやる。
そしてまた、きゃあきゃあと騒ぐ。
どこかで見た反応だ。
257:RB19Goxc0 ◆jyk/HkHe/o :2014/05/23(金) 21:52:13.21 ID:1ZBFq/lo0
ところがその次の日、
俺を訪ねて来る人数が急激に増えた。
100人位は来たんじゃなかろうか。
その次の日はもっとだ。
恐らく最初の女の子、
もしくは誰かがリークしたに違いない。
でもまあ、気分は悪くない。
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