1: 2025/04/23(水) 00:05:54.42
https://news.yahoo.co.jp/articles/237af701cf2d27a935ca19428217785e9ef54a29 日々、踏みつけて気にも留めない土。
じつは、この土がなければ、生命は誕生しなかった可能性があるという。
それだけではなく、土は生物の進化や恐竜の絶滅、文明の栄枯盛衰にまで関わってきた。
生命進化に限らず、食糧危機、環境問題、戦争……いま人類が直面しているリスクは、「土」から見ると新たな景色が見えてくる。
土を主人公に46億年の地球史の新たな一面を明かした『土と生命の46億年史』が発売後、大きな反響を呼んでいる。
長年、土一筋で研究を続けてきた藤井一至さんが明かす、いま私たちが知っておかなければならない「土の話」とは。
*本記事は、『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』(ブルーバックス)を再構成・再編集してお送りします。
この本では、「人間に土を作ることはできるのか」という問いを掲げ、土の本質に迫り、土を作るために必要となる条件や技術を絞り込んできた。
そのなかで、土は単なる砂と粘土と腐植の混合物ではなく、自律的な土壌再生、持続的な物質循環こそが土の本質であり、人工土壌が模倣すべき特性であることが分かった。
これまでの人間の作る物質・道具の多くは、目的や用途が一対一で対応している。
土でも納豆菌を取り出して道具のように使う場合はあるが、大さじ1杯の土に住む1万種100億個の細菌一つずつを道具としてご機嫌をとりながら操作するのは容易なことではない。
ヒトの腸内細菌1000種類、ミツバチの腸内細菌6種類ですら制御できていないのだ。ホモ・サピエンス1種の人間社会ですら衝突を繰り返している。
圧倒的に遺伝的多様性が高い微生物群集が一致して一つの機能を果たすことは期待しにくい。
土に道具や消耗品としての働きを求めるなら、土作りの設計図や万能なマニュアルがないことに失望するかもしれない。
一方、工学分野では、環境や自己の変化を検知し、最適な反応をする素材としてインテリジェント材料(インテリジェントは「知的な」の意味)の開発が進んでいる。
インテリジェント材料とは、子どもの成長にあわせて育つ歯(インプラント)のように、自ら感じて、考えて、働いてくれる道具のことだ。
土は気候や植生によって粘土や微生物の種類や量が異なるが、微生物は他の微生物や土と相互作用しながら、物質を循環し作物を生みだす。
土は“知性”を持つかのように振る舞う、究極のインテリジェント材料である。
実際、土の機能は、人間の脳や人工知能の自己学習機能と似ている。
知性の源であるヒトの大脳は100億個以上の神経細胞それぞれが数万個のシナプスでつながることでネットワークを形成し、協働することで思考が可能になる。
大さじ1杯の土に住む100億個の細菌もまたすみかと資源(エサ)を共有し、相互作用することで、有機物分解を通した物質循環、食料生産が可能になる。
大脳を司る100億個の神経細胞の相互作用と大さじ1杯の土の100億個の細菌の相互作用。
多様な細胞があたかも知性を持つように臨機応変に機能する超高度な知性を、私は脳と土しか知らない。
■無限の可能性を秘めた微生物ネットワーク
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