1: 仮面ウニダー ★ 2025/04/13(日) 07:20:31.66 ID:rNeuFIys
日本のアニメは海外でどのように見られているのか。エンタメ社会学者の中山淳雄さんは「日本ではさほどヒットしていない作品でも、
特定の地域で熱狂が生まれていることがある。2020年以降、これまで考えられなかった現象が起きている」という――。
■「チェンソーマン」「SPY×FAMILY」に並んだ韓国発アニメ
ー中略ー
2025年1月〜3月期は、海外人気だけでいえば『俺だけレベルアップな件(俺レベ)』一強、ということになる。
アニメ放映前のタイミングでメンバーズは49万人。これは同タイミングの『鬼滅の刃 柱稽古編』28万、『【推しの子】第2期』22万の
倍以上で、近年のアメリカで最大級の期待値をもたれた『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』35万を超えるほどに
“期待が集まっていた”作品である。
メンバーズは放送期間を終えた25年3月末の時点で、82万人まで増えた。過去数年でみても『チェンソーマン』や『SPY×FAMILY』など
大ヒットアニメと並ぶ水準にまで到達した、“お化けアニメ”と言える。
「俺レべ」は韓国発のウェブトゥーン(縦読みマンガ)が原作で、アニメは日本のアニメ制作スタジオのA-1 Picturesが手掛けた。
本作は、第一期(2024年1月〜3月)からちょうど1年後に放送。前作も評価は高かったが、『俺レベ2』は確実にそれを超えてきた。
評価を示すScoreは8.34→8.72とあがり、歴代アニメ31位になった。『劇場版 進撃の巨人』、『君の名は。』や『薬屋のひとりごと2期』
に挟まれて、確実に日本アニメ業界の金字塔といえる高い評価を得た。
こう書くと批判も多いだろう。「俺レベ」や以前特集した「神の塔」も同様に、ウェブトゥーン原作アニメは日本市場だけ
とにかく評価が辛めである(日本ユーザー対象の「みんなのらんきんぐ」では63作品中で9位。決して低くないが、高くもない)。
では海外ファンは「俺レベ」の何を評価しているのだろうか。
「クソみたいにクール」「疲れ切った俺の脳みそを異常なほどに興奮させてくれる」
「最も見栄えの良いA-1のアニメは業界で比肩するものがない」「声優の演技が一流、字幕と吹き替えの両方で業界最高」
といった、ストーリー以上にスカッと感やアニメ・声優の質を評価する言葉が並ぶ。
「バガボンド、ヴィンランドサガ、ホリミヤなど私を魅了する物語は数えるほど、でもそのなかでまさにこの俺レベがトップに
位置する」とまでに絶賛する声もあった。
■これはアジア版のマーベル映画
ただあまりに主人公の無双感が強く、次々に現れる“予想もしなかった強敵”に他のライバルS級ハンターが倒されていく中、
チート技術をもった主人公だけが皆を救う、という展開は、おせじにも優れたストーリーテリングとはいえない。
「心揺るがすストーリーやひねりがあるものを好む人にはお勧めしない」「本作には最高のストーリーがあるわけでもないし、
毎回サクサクとボスを倒していくだけ。でもただスペクタクルとして番組を楽しんで、何が悪いのでしょうか?」といった声もある。
それ以上に「ディズニー映画のようにいつも笑顔を浮かべている典型的な主人公ではない」「俺レベ嫌いは明らかに外交的な人が多い」
といった発言などからは、アメリカ社会でも生きづらさを抱えた内向的なアニメファンたちの気持ちが溢れている。
つまり「俺レべ」はファンのそうした心情を掴んでいる部分が大きいのではないかと推察される。
ストーリーで注目すべき事象が、主人公・水篠旬(ソン・ジヌ)1人にフォーカスをされているシンプルさ。そして、“負け犬”のように
自分を見てきた「既存ヒエラルキーの思い上がりたち」が面白いほどに凌駕されていく驚き。さらには復讐感・してやった感がある。
作者のChugong氏による良ストーリーが、日本アニメと声優の共創で非常にハイクオリティに仕上がっている。
各方面の一流が揃ったという意味で、これはアジア版のマーベル映画なのかもしれない。
ー後略ー
中山 淳雄
全文はソースから
PRESIDENTOnline 4/12(土) 9:17配信
https://president.jp/articles/-/94230?page=1