【3/5】人生ド底辺だし、とやりたい放題だったクズの俺が父親になった話。喧嘩ばかりの嫁にイラついて家に帰らず女の家で過ごしてた俺に息子が通う保育園から連絡がきたのが始まりで…
786: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:23:26.01 ID:9O7549PaO
もう一度やり直そうなんて、単細胞の俺はまだ変な期待を持ってた。
バカだよな俺。
そんな気持ちサリナにはこれっぽちもないはずなのに。当然だよ。
サリナ「今ならハルと二人でもやっていけるから…
本当に今日までありがとう。ハルを面倒見てくれて…」
787: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:30:00.45 ID:9O7549PaO
もし俺が何か言っても、きっとサリナはハルを連れていくだろう。
サリナの言葉には、そんな決意や重みが感じ取られた。
それにサリナを見つめるハルの眼差しは、ようやく母親と会えた嬉しさが滲み出ていた。
その瞳は決してサリナのことを忘れていない。
788: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:31:11.26 ID:9O7549PaO
だから余計切なくなる。
ハルにどちらを選ぶかなんて聞ける訳もなく。
だいたい、ハルには理解できる状況じゃない。
親の身勝手だ。
なにより、子供にとって母親がいないことが、
どれだけ辛いかを俺自身よく理解しているつもりだ。
ハルにそんな想いはさせたくないよな。
そう思った。
789: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:33:17.61 ID:9O7549PaO
俺「ウウィンナー…
後オムライスが好きなんだ…
たまに作ってやってほしい」
サリナ「うん…」
俺「日曜日は…
弁当持って、散歩してあげてくれ…
日課だから…」
サリナ「うん…」
俺「寝る時泣いたら…
ゆりかごの歌唄って、トントンしてあげてくれ…
ぐっすり眠るんだよ」
サリナ「うん…」
強がるしかなかった。
790: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:34:51.68 ID:9O7549PaO
俺は父親失格なんだ。どれだけ2年間頑張っても、
家族を無視し続けたと言う事実は変わらない。
どんだけ努力しても。そう簡単に溝が埋まるはずがないんだ。
俺「後親父さん達、すげー心配してたから。
連絡は入れた方がいい…」
サリナ「うん…」
そう言うとサリナが携帯を取り出した。
792: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:35:53.56 ID:9O7549PaO
サリナ「もしもしママ。
久しぶり…」
母親に電話をしたようだ。
サリナ「分かってる…
本当にごめんなさい。
今俺君とハルも一緒…
うん…分かってる。」
電話を切ると俺の方を見た。
794: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:37:15.18 ID:9O7549PaO
サリナ「本当に今までハルのことありがとうね…
また色んな手続きとかもあるし、ハルの荷物もあるし。また連絡します…」
そう言ってハルの手を握り、後ろを向いた。