【洒落怖】洒落にならない怖い話『井戸端の幽霊』
568:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 04:28:00.10 ID:NtJ16ww9O
長くなるけど、聞いてほしい。
あと文章ヘタでごめん(´・ω・`)
もう十年くらい前だけど、従弟が事故で死んで俺が本家を継ぐことになったときに叔父(従弟の父)から聞いた話。
うちはちょっと珍しくて、末の男児が家を継ぐしきたり。
死んだ従弟も末っ子だった。ちなみに俺の親父は次男、従弟の親父は三男ね。
で、末子継承になったいわれを従弟の葬式のときに叔父から聞かされた。
従弟のバイク事故もこれが原因らしい。まあ聞いてくれ。
https://livedoor.blogimg.jp/nwknews/imgs/8/0/805fc4b4-s.jpg
569:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 04:39:14.27 ID:NtJ16ww9O
江戸も終わりの頃、N家(本家)に嫁が来た。
N家跡取りと仲むつまじく、やがて女の子が生まれて春と名付けられた。
その年は不作で、子どもを生んだばかりでも嫁も働かなければならない。
嫁は山菜を取りに山に入ったが、夕方近くになっても姿が見えない。
村の衆で探し回っていると嫁は乱れた姿で山から下りてきた。
天狗に孕まされて。
どうもこの天狗ってのは白人のことらしい。
まぁ「天狗=日本に漂着した外国人」ってのはよくある話、と叔父は言っていた。
570:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 04:46:21.15 ID:NtJ16ww9O
堕ろそうにも、襲われたショックで寝込んだ嫁にそれは耐えられないと
旦那が躊躇しているうちに、ついに男の子が生まれてしまう。
嫁は生んですぐに体調を崩して死んでしまった。
旦那は子供が憎くて殺そうしたが、嫁の忘れ形見だと思うと殺せない。
しかたないので座敷牢に幽閉し、そこで育てた。
途中までは人を雇って世話をさせてたが、いつからか姉の春が面倒をみるようになった。
父親がいくらいっても聞かないし、
身内の恥を他人に見せるよりはって理由でそのまま娘にまかせた。
男の子の名前はユキハル。父も誰もつけないから、春が名付けたそうだ。
春はユキハルを大変可愛がった。
571:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 05:00:07.62 ID:NtJ16ww9O
んで、そのユキハル。見た目は死んだ嫁によく似ていたけど、
色彩が白人…というかハーフのそれだったらしい。
茶色の髪と青い目をしてて、姉から学んだたおやかな仕草。
(ここらへん特殊事情。春は訛りの矯正やなんかの習い事?もやってた。その姉からいろいろ教わったユキハルは女形みたいな子だったようだ)
嫁そっくりなのに日本人離れした薄い肌や髪の色をみるたびに腹ただしくて、
ユキハルが成長するにつれて旦那はだんだん可笑しくなった。
572:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 05:11:06.36 ID:NtJ16ww9O
…で、ある晩。ついに旦那はユキハルに乱暴したんだと。
その日から、村の衆や村にくるお役人にも身売りをさせた。(売るといってもはした金の値段で、ユキハルを苦しめる為にやっていたようだ)(だんだん憎らしさが勝ったんだろう)
春は弟が普憫で、父にこんなことは止めるようにと言ったが父は聞き入れず、
次第に娘がうっとおしくなり早めに嫁にやることにした。
春が「嫁に行くことになった」と告げると、ユキハルは春をさらって山へ逃げた。
唯一自分に優しくしてくれる姉を奪われるのは、ユキハルにとって身を切られる辛さだったんだろう。
573:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 05:29:15.17 ID:NtJ16ww9O
やがて湖のほとりに出ると、そこで春を抱いた。
事が終わり、すすり泣く春を見て「少し周りを見てくる」と言って一人にさせた。
春は泣きながら湖に入った。
ユキハルが帰ってくるとすでに春は水の中だった。姉がいないならばと、彼も崖から飛び降りた。
姉弟がいないことに気づいた旦那は村の衆を使って探し、
最初に姉、次に弟の遺体を見つけた。
春の着物の乱れを見て、何があったか悟った旦那は鬼のごとく怒り狂った。
ユキハルの死体を八つ裂きにして、山中に放置。
獣に食わせた後、荒神(山神ではないらしい)の祠の前に捨てた。
574:本当にあった怖い名無し:2013/01/30(水) 05:35:00.86 ID:NtJ16ww9O
祠の前に捨てたときは、死んでからもう何ヵ月も経ってたけどまだ怒りが収まらなくて、骨を足蹴にしても飽きたらず石で粉々に砕いたんだと。
娘が死んだ嫁と同じ目に会わされたと知ったらね…気持ちはわからんでもないけど。
もう誰もいない座敷牢に幽霊が出るようになった。
けどそれは牢の主のユキハルではなくて姉の春のほう。
しばらく座っていたかと思うと消え、庭の隅にある石の上にたたずんで
蔵をジッと睨んでいるそうだ。
その蔵というのが、ユキハルが身売りさせられてた場所だった。
春は生前、ユキハルが蔵に入っている間は石に座ってずっと彼が出てくるのを待っていたらしい。