22： 2022/09/15(木) 16:23:42.05 ID:5WAX/6AV0

男（あの一件以来、職場でもよく話すようになって……）

男「……」ｶﾀｶﾀ

女「今日はお仕事早く終わりそうですか？」

男「うん、もうすぐ片付きそう」ｶﾀｶﾀ

女「でしたらツボのお詫びも兼ねて、ご飯でもどうでしょう？　できればお酒を飲めるお店で……」

男「いいけど。ツボのことは本当に気にしなくていいからね。自分なりに修復したしさ」

女「今日は……楽しかったです！」

男「俺もさ」

女「だけど……ずいぶん酔っ払っちゃった」ﾖﾛｯ

男「えっ……」

女「どこか……泊まりません？」

男（この展開……どうやら彼女の思うツボになってしまったようだ）

23： 2022/09/15(木) 16:23:59.56 ID:5WAX/6AV0

男（彼女との仲はどんどん進展してる。このままいけば結婚も……）

男「……ん？」

男（旧友からメールが……）

『話がある。また会えないかな』

男（なんで……！？　今になって……！？）

男（いったいどんな話が……！？　今度は何を買わせるつもりだ……！？）

25： 2022/09/15(木) 16:24:15.10 ID:5WAX/6AV0

男「連絡くれたけど……話って？」

旧友「これ」ｽｯ…

男「封筒？」

旧友「いつだったかの5万円……返すよ」

男「へ？　なんでまた急に……？」

旧友「実はあの時の俺、就活失敗して、仕方なく霊感商法みたいなことやってる会社に入っちゃってさ」

旧友「しかも異常にノルマに厳しい会社で、知り合いにも商品売りつけたりしてたんだ……」

27： 2022/09/15(木) 16:24:34.41 ID:5WAX/6AV0

旧友「だけど、やっと目が覚めて、今はまともな会社に転職してさ」

旧友「それでも罪悪感がすごくて……返せる人にはお金返すようにしてんだ」

男「いや、いいよ。俺だって分かってて買ったんだし」

旧友「いや！　受け取ってくれた方が気が楽になるんだ！　受け取ってくれ！」

男「じゃあ……」

旧友「ありがとう！　本当に悪かったな！」

男「……」

28： 2022/09/15(木) 16:24:51.38 ID:5WAX/6AV0

男「……」

女「あれ？　なんだか機嫌がいいですね」

男「ちょっといいことがあってね」

女「どんな？」

男「人間ってそう捨てたもんじゃない、と思えるようなことかな」

男「あ、そうだ！　よかったら、今夜豪華な食事でもしない？　臨時収入があったんだ」

女「じゃあお呼ばれしちゃいます！」

29： 2022/09/15(木) 16:25:07.32 ID:5WAX/6AV0

やがて――

男「……」ｷｭｯｷｭｯ

女「そのツボのことは教えてもらいましたけど、今日も丁寧に磨いてますね～」

男「大したことないとはいえ、ここまでくると愛着があるからね」ｷｭｯｷｭｯ

男「だけど、今の俺にはこのツボぐらい大切なものがもう一つある」ｺﾞﾄｯ

女「なんでしょう？」

男「君だ」

女「……！」

31： 2022/09/15(木) 16:25:27.30 ID:5WAX/6AV0

男「一生大切にする、結婚してくれないか」

女「はいっ！」

女「だけど、一つだけいっていいですか」

男「？」

女「できればそのツボより、私のことを大切にして下さい！」

男「いっけね！」

ｱｯﾊｯﾊｯﾊ…

…………

……