1： 1/3 2024/09/16(月)21:49:45

トゥインクルシリーズに名を連ねるウマ娘はレースに強いだけでは成り立たない
他のスポーツ興行同様、いやそれ以上にファンからの応援に応えるタレントとしての側面も求められる
レースと関係なく全国のレース場を訪れサイン会などを行う全国興行もその一環だ

「……ルビー、もしかして怒ってる？」
「いいえ、まったく」
札幌レース場でのサイン会を終えて小一時間。帰路につく俺に断続的に頭突きを見舞う者がいた
深く澄んだ菫色の瞳。耳飾りの花も恥じらう整った顔立ち。ファンさえもダイイチルビーその人と疑わぬだろう
彼女の名前はダイニルビー。華麗なる一族の影の系譜、遠縁の親戚にしてダイイチルビーの影武者だ
「君にとってレースは一族の名を世に知らしめる手段だ。でも、それはそれとして……」
「ファンの皆様に応えることも我々の責務と承知しております」
「……せっかくのオフに仕事を入れてしまってすまな……」
「決めたのは私です。トレーナーさんに謝られる道理はありません」
彼女は容姿だけでなく立ち居振る舞い、競争能力、記憶までダイイチルビーそのものだ
決定的な違いは二人きりの時のみ見せる年相応の少女らしい側面くらいだろう

2： 2/3 2024/09/16(月)21:50:05

やがて頭突きに飽きたのか、ルビーは頭を押し付けたまま囁くような声で語りかけてきた
「……私は休日にも度々貴方を呼びつけ、様々な場所に同行して頂きました」
「ああ。いつも貴重な経験をさせてもらって感謝してるよ」
「恐縮に存じます……故に、貴方から誘われるという稀なる機会に思うところがあったことも否定出来ません」

そういえばダイイチルビーも休日の予定を聞いた時、少し固まっていたような気もする
特別興行の話をするや否や急用を思い出し、いつものように一族の要不要で物事を判断していたため忘れていた
ダイニルビーはダイイチルビーとちょっと違う。そういうのを気にする性格なのだ

「……はぁ。見てるようで見えてないなんて、俺もまだまだだな」
「それは私も同じことです。理想にはまだ遠く……？……これは一体」
「こんな事もあろうかと……なんて、言い出す勇気が無かっただけなんだけど」
ルビーが後悔の言葉を吐き出しきる前に俺は隠し持っていた帽子を被せた
お忍びで遊びに行くなんてダイイチルビーが聞いたら卒倒しそうだが後で誤魔化すしかない
それに胸の内を明かしてくれた女の子に報いるのは大人の……いや、男の義務だ

3： 3/3 2024/09/16(月)21:50:31

「門限に間に合わないかもしれないけど……お付き合い頂けませんでしょうか？」
「……はい。喜んでお受けいたします」
ルビーの流儀に則り、少々わざとらしいくらいのお誘いが功を奏したかは分からない
夕日に照らされ普段より赤みがさしたその笑顔にうっかり敬愛以上の感情を抱いたてしまったのは秘密である

その日、札幌競馬場を後にした俺たちは行き先を新千歳空港から変更
予てより学園と親交があった北海道ボールパークFビレッジを訪れ、北海道産の素材を活かした料理や白熱のプロ野球の試合を楽しんだのであった
翌週、ダイニルビーに代理を頼んでいる間に一族の使命を全うしたであろうダイイチルビーが目も眩むほどの絶好調であったのは言うまでもない

4： 名無しさん（仮） 2024/09/16(月)21:53:17

>>3

>予てより学園と親交があった北海道ボールパークFビレッジを訪れ
は？？？？
？？？？？？？？？

5： 名無しさん（仮） 2024/09/16(月)21:54:38

苫小牧観光大使さん落ち着いてください

6： 名無しさん（仮） 2024/09/16(月)21:55:33

エスコンフィールドは新時代の扉でコラボしたから…

22： 名無しさん（仮） 2024/09/16(月)22:13:27

>>6
当時から思ってたけどなんで日ハムの本拠地で…？