儒烏風亭らでん「寿限無(ホロライブ)」 (33)(完)
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 10:59:04.54:kzPDppKLo (5/5)
八五郎「その『どす恋いろは』というのは、どういった意味があるんですかい?」
御隠居「これは、豊満で包容力のある女性を褒め称える時に使う言葉だ。ただ、優しいだけではなく、全てを受け止め包み込んでくれそうな、そんな女性に贈る言葉だな」
御隠居「どす恋は良いぞ。母の愛を感じられる。我が子を身を挺して守る母のような、深い愛の御利益があるだろう」
八五郎「なるほど、なるほど」
らでん「趣味嗜好というのは人それぞれでございますから。というか、らでんはこれ以上、あまり喋りたくありません。何を言っても地雷を踏みそうで怖いです」
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:00:19.02:IJ70Q+tDo (1/1)
八五郎「御隠居、他にもまだ何かありますか?」
御隠居「あるとも。『アーモンド、アーモンド』という運気上昇の言葉がある」
八五郎「アーモンド、ですかい?」
御隠居「違う。アーモンドだけでは駄目だ。アーモンド、アーモンドと繰り返さなければならん。二回言う事で初めて御利益が出るのだ」
八五郎「ははあ、なるほど。確かにアーモンドだけなら、アーモンド農家は幸運だらけという事になりますからねえ」
御隠居「その通り。これは神話に出てくる幸運兎の逸話だな。挨拶の度にアーモンドアーモンドと繰り返した事で、この兎はとても運気が良くなり、神様から月に住む事を特別に許されたのだ」
八五郎「では、月で餅をついている兎というのは、その幸運兎の事ですか」
御隠居「そうだ。最近は餅つきではなく、鳥肉を冷やしているとも言われておるがな」
八五郎「へえ、そうだったんですか。おいら、全く知りませんでした」
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:01:13.41:Wan77tloo (1/2)
八五郎「他にまだありますか、御隠居」
御隠居「あるとも。『まつりんちょ』という言葉だな」
八五郎「何ですか、それは?」
御隠居「これは早さを表した単語だ。一まつりんちょで十八秒だな。それだけ早く仕事が終わるという事で、今の若者にも人気の言葉だ」
八五郎「たったそれだけで仕事が終わるんですか」
御隠居「そうだ。まつりんちょは早かった。あまりにも早すぎた。気が付けば終わっていた」
八五郎「何でちょっと悲しそうなんですか、御隠居?」
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:02:15.76:Wan77tloo (2/2)
御隠居「他にも『食う寝るダーリン働くフレア』という言葉がある」
八五郎「それは、どういった意味で?」
御隠居「これは『忍耐』を表した言葉だ。その昔、とある牧場に、全く働かず蹴鞠ばかりをしている夫がいてな。今度の蹴鞠大会で優勝して選手になると言っては、牧場の仕事を放ったらかしにしていた」
御隠居「普通ならば怒るか呆れるかして、離縁するところであろう。しかし、フレアという女性は違った。一人で牧場の仕事をし、夫には毎日五百円のお小遣いを渡していた」
御隠居「夫を責める訳でもなく、働けという訳でもない。熊が出てきても夫に迷惑をかけまいと無言で猟銃で仕留め、丸太を一人で担いでは牧場を走り回っていた。非常に忍耐強い女性だ」
御隠居「この故事が元になり、出来た言葉が『食う寝るダーリン働くフレア』だ。この言葉を唱えれば、きっと忍耐強さを得る事が出来るだろう」
八五郎「ははあ、なるほど。確かに凄い嫁さんですね。いやあ、そんな嫁さんはそうそういるもんじゃねえですよ」
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:03:42.70:hYTPstNUo (1/1)
八五郎「この他にもありますか、御隠居?」
御隠居「あるとも。『マグマまみれのみこハウス』という言葉だ」
八五郎「何ですかい、それは?」
御隠居「これは、その昔、電脳神社というところに立派な巫女がおってな。人々から大層慕われておったのじゃが、その事を妬む輩がいてな」
御隠居「そやつらの陰謀により、誰がやったのか、自宅と神社の両方にマグマをぶちまかれ大火事となったのだ」
御隠居「しかし、その巫女は卑劣な嫌がらせや妨害工作には屈しなかった。諦めない心で自宅も神社も見事に建て直したのだ」
御隠居「その故事から『マグマまみれのみこハウス』という言葉が生まれた。これは不屈の精神を表した良い言葉だぞ」
八五郎「なるほど、なるほど。困難に立ち向かう強さが手に入りそうですね」
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:06:21.53:I/CB2icAo (1/1)
八五郎「御隠居、まだありますか? 流石にもうないですかね?」
御隠居「いや、ある。『マリン』という言葉だ」
八五郎「マリン、ですか?」
御隠居「そうだ。マリンは漢字にすると『真麟』となり、これは中国の伝説に出てくる聖獣の名前だな。人の煩悩を吸うとされ、修行僧たちはみな、この真麟に会おうと海へと漕ぎ出したのだ」
八五郎「邪念を消し去ってくれる聖獣という訳ですかい?」
御隠居「そうだ。今でも、この名前を呟きながら、修行している僧は多いぞ」
八五郎「はあー、なるほど」
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2024/01/21(日) 11:08:30.24:40TgBZZEo (1/5)
御隠居「それと共に『マリンのセンシンティブ』というのも縁起の良い言葉として伝わっておる」
八五郎「何ですか、それは?」
御隠居「滅多に見られない大変貴重な光景の事だ。このマリンのセンシンティブを見た者は寿命が十年伸びると言われておる」
八五郎「十年もですかい」
御隠居「そうだ。そして、これと似たようなものに『センシンティブの癒月ちょこ』というのもある。こちらは見ただけで寿命が二十年は伸びると言われておるな」
八五郎「今度は二十年も」
御隠居「そうだ。どちらも有り難いものだ。わしがこうして長生き出来とるのも、この二つを見た事があるからじゃな。はー、有難や、有難や」
八五郎「へえー、御隠居の長生きにはそんな秘密が」
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