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【ウマ娘怪文書】「トレーナーさん! これから一緒に焼肉行きませんか?」 週末の練習終わり。ナリタトップロードはそう切り出した。


1: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)19:58:43

「トレーナーさん! これから一緒に焼肉行きませんか?」
週末の練習終わり。ナリタトップロードはそう切り出した。
「焼肉? もちろん、いいけど。どこか行きたい店でもあるのか?」
「はい! 今度、クラスのみんなと打ち上げで行くお店を探してて。値段とかも考えて、ここが良いと思ってるんです」
そう言ってトップロードはこの近くにある焼肉チェーン店のチラシを見せる。そこには「食べ放題3200円!」の文字。なるほど。学生でも奮発すれば食べられる価格だ。
「いいじゃないか。でも、この価格で食べるには十七時までに入店しないといけないって書いてあるから急いで準備しようか」
「えっ!? あっ……見逃してました。急いで着替えてきますね!」
グラウンドで解散してから10分ほど経ったくらい。学園の入口近くで待っていると、慌てた様子のトップロードが駆け寄ってくる。腕時計を見ると十六時三〇分。店は学園を出てすぐの商店街の並びにあるから、余裕を持って入店できるだろう。






2: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)19:59:12

「お待たせしました! さぁ、行きましょう!」
どこか上機嫌な様子のトップロードに連れられ、店へと向かう。日は傾きかけていて、夕焼けに照らされる商店街が綺麗だった。
店に入ると、奥にある比較的狭いテーブル席へと案内される。
「向こうの方は大人数用のテーブルみたいですね。あれだけの大きさがあれば、みんなで座れます」
「予約はしたほうがよさそうだな」
平日ということもあり、店内には俺たちの他に老夫婦が一組いるだけだった。
「早速注文しようか。食べ放題だし、どんどん頼んでくれ」
「分かりました! えぇーっと……うーん……」
悩ましそうな声を上げて、トップロードは注文用のタブレットを睨みながら黙り込んでしまった。
「よければまず俺が注文しようか?」
「お願いします! 色んなメニューがあってどれを頼めばいいか分からなくなっちゃいました」
トップロードからタブレットを受け取り、キャベツのサラダとスープ、カルビを三種類、ライスを注文する。そんな様子をトップロードは輝いた目で見つめていた。




3: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)19:59:36

「やっぱりトレーナーさんは……すごいです! 迷うことなく必要なものを注文できて」
「大げさだなぁ……ほら、待ってる間にメニューを見て頼みたいものを決めときなよ。食べてみなきゃわからないものもあるだろうし」
再びタブレットに釘付けになっているトップロードを見て、かつての自分を思い出す。確か、先輩に連れられて初めて焼肉屋に来た時は自分もトップロードのようにメニューを眺めていたものだ。
「お待たせしました。サラダとスープです」
そうしている間にテーブルに前菜が並ぶ。キャベツのサラダには塩だれがかかっており、スープからは食欲をそそる香りがした。
「とりあえず、来たものを食べようか」
「そうしましょう。いただきます!」
「いただきます」
サラダを口に入れると、絶妙な塩味が口の中で広がる。次にスープを飲めば、その塩味は優しいスープの風味で流される。これだけでも十分満足感がある。
「トレーナーさん、これ……美味しいです! お肉はまだなのに、すごく美味しいです!」
「食べ放題だからね。好きなだけ食べていいぞ」





4: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)20:00:06

そうは言ってもやはり主役は肉だ。遅れてテーブルにカルビとライスが届くと、トップロードの瞳は輝きを増す。奢りがいのあるウマ娘である。
「トレーナーさん、私、焼いてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。焦がさないようにな」
トップロードが肉を焼いている間、こちらは取り皿とタレを用意する。ジュウジュウという音と共に煙が上がる。ここに来て食欲は最高潮に達する。焼肉の醍醐味である。
「トレーナーさん、そろそろ取ってもいいですか?」
「うん。よく焼けてるね。俺の分は自分で取るから、トップロードも食べたい分だけ取りなよ」
取った肉をタレにつけ、ライスの上へ置く。トップロードはその様子を真似するかのように同じように肉をライスに乗せた。
たっぷりとタレのついた肉を口に入れ、間を空けることなく白米も口に放り込む。甘めのタレの味がライスと絡み、肉の油を中和する。焼肉といえばやはりこのライスとの組み合わせだろう。
「トレーナーさん……これ、すごいです! もう、美味しくて……!」




5: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)20:00:31

満面の笑みでトップロードは次々と肉を取っていく。その様子を見て、こちらもどんどん肉を焼いていく。気づけば、テーブルの上の肉はなくなっていた。
「時間制だから、どんどん注文しちゃおうか」
「じゃあこのはちみつと黒こしょうがかかったお肉を注文してみます! それと、豚バラと牛ロースとライスのおかわりと……」
流石は食べ盛りのウマ娘。次々とタブレットの画面には注文が表示されていく。食べ放題でよかったと思わず安堵してしまう。
「あ……トレーナーさんも注文したかったですよね? ごめんなさい……」
「いいんだよ。君が美味しそうに食べているのを見ると、こっちも嬉しいし」
テーブルにはところ狭しと肉が運ばれてくる。とはいっても一つ一つは小さいので、ウマ娘である彼女はあっという間に平らげてしまう。
「このお肉は溶けるみたいで……美味しいです! それで、こっちはなんだか濃厚な感じで……どれも美味しいです! トレーナーさんもどうぞ!」
「ありがとう。いただくよ」
彼女の言う通り、運ばれてくる肉は全て美味しかった。塩ダレのもの、コショウが効いたスパイシーなもの……どれもが白米に合う最高のおかずだ。




6: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)20:00:51

こちらの腹がほぼ満杯となってからも、トップロードは食べ続けた。彼女の運動量を考えれば、自然な量だろう。
「ふぅ……たくさん食べちゃいました。すごくすごく美味しかったです! トレーナーさん、お付き合いいただきありがとうございました!」
「こちらこそ。トップロードが美味しそうに食べてくれてよかったよ」
最後に冷たい水を一杯飲んで、さっぱりした状態で会計へ向かう。遠慮する彼女を押しきって二人分の会計を済ませて外に出ると、外はすっかり暗くなっていた。
「そういえばトップロード、門限過ぎてるけど届け出は出したのか?」
「あっ……急がなきゃと思って、忘れてました!」
「じゃあ、二人で謝りに行くしかないな」
「ごめんなさい……私、慌てちゃって……」
「気にしすぎだよ。トップロードはいつも真面目なんだから、これくらいのことなんでもないさ」
その日は二人で寮長に頭を下げて一日を終えたのだった。




7: 名無しさん(仮) 2023/08/31(木)20:01:03

「委員長ー!打ち上げの幹事、ありがとね」
「いえ、これくらいなんてことないです!」
「今回もなんか慣れてた感じだったけど、またトレーナーさんと下見デートしたの?」
「デ……デートじゃありませんよ! 確かに二人で下見はしましたけど!」
「委員長、顔真っ赤ー! 次にみんなでどこか行くときも"下見"よろしくね」
「はい……あくまで"下見"ですからね!」
「うんうん。私たち、ちゃんと"デート"になるように応援してるからね!」
「応援ありが……って違いますってー!」




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