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【後編】丑の刻参りを行う中年女の姿を見てしまった俺達は、女に狙われた。親や警察に助けを求めたがその恐怖は止まらず…家にアレの氏体が→女『ア゛ー!ア゛ー!』


889: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/08(月) 04:07:08 ID:PxVIZDoHO

淳の発した言葉を聞いたとたんに『中年女』の顔を鮮明に思い出した。

始めて出会ったあの夜の『歯を食いしばった顔』
下校時に出会った『やらしいニヤついた顔』
自宅玄関で見た『狂ったような叫び顔』
あれから忘れる努力をしていたが決して忘れることの出来ない『トラウマ』だった。

俺は淳に『何言ってんだよ?!もう忘れろ!ほんっとオメーって気が小せぇーなぁ?!』と答えた。自分自身にも言い聞かせるように。。
淳は『そーだよな。。。いや、こーゆーとこって妙に気が小さくなるんだよ!』
俺は『そーゆーとこ、変わってねーな!』と余裕を見せた。俺自信もあの日のまま成長していないが。
そして、入院している病院を聞き、『近いうちに成人本持って見舞いに行くよ!』と言い電話を切った。
電話を切った瞬間、何故か胸騒ぎがした。

『中年女』

淳の言葉が妙に気に掛かりだした。




890: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/08(月) 04:12:16 ID:PxVIZDoHO

電話を切った後、しばらく考えた。
まさか、今更『中年女』が現れるはずが無い。。。
それにあいつは捕まったはず。。。いや、釈放されたのか??

というか、今思えば俺達三人は『中年女』に何をしたわけでも無い。
ただ『中年女』の呪いの儀式を見てしまっただけなのに、こちらの払った代償はあまりにも大きい。
偶然、夜の山で出会い、いきなり襲われた。俺達は何一つ『中年女』から奪っていない。それどころか、傷付けてもいない。
『中年女』は俺達からハッピーとタッチを奪い、秘密基地を壊し、何より俺達三人に『恐怖』を植え付けた。
『中年女』がいくら執念深いといっても、さすがにもう俺達に関わってくるとは思えない。
こんなことを思うのも何だが、怨むなら『写真の少女』にベクトルが向くはず!

俺は強引に『俺自信』を納得させた。




892: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/08(月) 04:33:09 ID:PxVIZDoHO

2日後、俺はバイトを休み、本屋で成人本を3冊買ってから淳の入院している病院に向かった。
久しぶりに淳に会うという『ドキドキ感』と
淳が電話で言っていた事に対する『ドキドキ感』で、複雑な心境だった。病院に着いたのは昼過ぎだった。
淳の病室は三階。俺は淳のネームプレートを探し出した。
303号室・六人部屋に淳の名前があった。
一番奥、窓側の向かって左手に淳の姿が見えた。
『よう!淳、久しぶり!』
『おう!まぢひさしぶりやなぁ!』
思ったより全然元気な淳を見て少し安心した。
約束の成人本を渡すと淳は新しい玩具を与えられた子供の如く喜んだ。
そして他愛も無い話を色々した。
淳といると小学生の頃に戻ったようでとても楽しかった。無邪気に笑えた。
あっという間に時間は経ち、面会終了時間が近ずいてきた。
俺が『んぢゃ、もうそろそろ帰・・・』
『実はさぁ、電話でも言ったんだけど、』と淳が真顔で何かを言いかけた。





893: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/08(月) 04:44:17 ID:PxVIZDoHO

何かを・・いや、『中年女の事だろ?』と俺は言った。すると淳は
『気のせいだとはおもうんだけど・・・いつもこの時間に来るオバさんがいてさぁ、、、何か、こう。。。引っ掛かるっつーか。。』

俺は『だから、気のせいだって!ビクビクすんなよ!』と強気な発言をした。
すると淳は少しカチンと来たのか
『だから、勘違いかもしんねーっつってんぢゃん!ビビりで悪かったな!』
空気が重くなった。
俺は空気を読み、淳に謝ろうとした。そのとき
『ガラガラガラ・・』
廊下に台車のタイヤ音が響いた。
淳が『来た・・・』とつぶやく。
俺は視線を部屋の入口に向けた。
『ガラガラガラ。』
台車は扉の前に止まったようだ。
そして、扉が開いた。
そこには上下紺色の作業着を着たオバさんが居た。
俺は『何だよ!脅かすなよ!ゴミ回収のオバさんじゃねーか。』
と、少し胸を撫で降ろした。
そのオバさんは患者個人個人のごみ箱のゴミを回収しだし、最後に淳のベットに近づいてきた。
淳が小声で『見てくれよ!』
俺はそのオバさんの顔をチラッと見た。




894: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/08(月) 04:49:40 ID:PxVIZDoHO

『・・・・!』
俺は息を飲んだ。
似ている・・・いや、『中年女』?なのか?
俺は目が点になり、しばらく、その人を眺めていると、そのオバさんはこちらを向き、ペコリと頭を下げて部屋を出て行った。
淳が『どう?やっぱ違うか?!俺ってビビりすぎ?』と聞いてきた。
俺は『全然ちげーよ!ただの掃除オバさんぢゃん!』と答えた。
いや、しかし似ていた。他人の空似なのか。。。 ?




215: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/09(火) 00:11:08 ID:nBGSDY0VO

『・・・んぢゃそろそろ帰るわ!あんま変な事考えてねーで、さっさと退院しろよ!』
と俺が言うと、淳は
『そだな。。あの女が病院にいるわけねーよな。お前が違うって言うの聞いて安心したよ。また来てくれよ!暇だし!』
と元気よく言った。
俺は病室を出ると、足早に階段を駆け降りた。
頭の中からさっきの『オバさん』の顔が離れない。
『中年女』の顔は鮮明に覚えている。
しかし、中年女の一番の特徴といえば 『イッちゃってる感』だ。
さっきのオバさんは穏やかな表情だった。
もし、さっきの『オバさん』=『中年女』なら、俺の顔を見た瞬間にでも奇声をあげ、襲い掛かって来てもおかしくない。
そうだ。やっぱり他人の空似なんだ。
と考えつつ、なぜが病院にいるのが怖く、早々に家路についた。




522: 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 2006/05/10(水) 05:08:36 ID:r7yve5IpO

家に帰ってからも『中年女』=『清掃おばさん』の考えは払拭しきれなかった。
やはり気になる・・・
その日は眠りに落ちるまでその事ばかり考えていた。

次の日、『清掃おばさん』の事が気になり、俺はバイトを早めに切り上げ病院に行くことにした。
俺のバイト先からチャリで30分。
病院に着いたときには20時を回っていて面会時間も過ぎていた。
もう、『清掃おばさん』も帰っている事は明白だったが、臨時入口から病院に入り、とりあえず淳の病室に向かった。
こっそり淳の病室に入ると淳のベットはカーテンを閉めきってあった。
『寝たのか?』
と思い、そーっとカーテンを開けて隙間から中を覗いた。
『うわっ!』
淳が慌てて飛び起き、
『ビックリさせんなよ!』と言いながら、何かを枕の下に隠した。
淳は成人本を熟読していたようだ。




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