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【ウマ娘怪文書】女の恋は上書き保存、男の恋は名前をつけて保存。なんてよく言われるやつ。アタシはどちらかというと男の浮気性を表していると思う


1: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)19:58:42

女の恋は上書き保存、男の恋は名前をつけて保存。なんてよく言われるやつ。世間じゃ男に比べて女の切り替えの早さを表す言葉として使われてるけど、アタシはどちらかというと男の浮気性を表していると思う。
せっかく今恋人がいるんだから、昔の女とかどうでもいいじゃん。そう思うったのはバレンタイン特集の仕事を終えた時、トレーナーが昔付き合ってた人が居たなんて言うから。
まあ、聞き出したのはアタシなんだけど。そこから自分でも嫌になるくらいアタシはふてくされちゃって、不機嫌で、みっともなくて最悪だった。
もちろんトレーナーはそんな子供みたいなアタシのことをすぐ察して、機嫌を取ろうと色々提案してくれた。アンタはなんにも悪くないのに。それでまあ、今日はこうして二人で水族館に来ている。
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2: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)19:58:55

「本当にここでよかったの?」
「うん、まあ」
親子連れや恋人に混じって、二人で何をするでもなく水槽を眺めながら歩く。ここはトレーナーが学生時代、初めて恋人とデートに来た場所らしい。
バカみたいな対抗心むき出しで、その水族館に連れてきてもらった。薄暗くライトアップされた深海生物コーナーを歩く。小さな水槽の中には儚げな深海魚たち。
「あのサメのマスコット、10年前から変わってない」
「10年前、ここでどんなデートしたの?」
二人でメンダコの水槽を眺めながら、それとなく当時のことを聞いてみると、トレーナーはうんうん唸るように眉間にシワを寄せていた。
「あんまり覚えてない、お互い子供だったし。あっ、あそこで一緒に写真撮ったかな」
そう言って、トレーナーはアタシの手を引いて撮影ブースに連れていく。職員にスマホを預けて、二人で並んで撮ってもらった。
ふふ、いい歳した大人なのにピースなんかしちゃって。とりあえず待ち受けに設定して、水族館を後にする。




3: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)19:59:07

「それで次はどこのデートに?」
「いや、あの一回きりで別れたよ」
トレーナーは夕日を見ながら照れくさそうに笑っていた。
「なんで?」
「お互い子供だったから、卒業間近だし記念に付き合おうってなっても恋人らしいことなんかわからなかったし、卒業してそれっきり」
卒業くらいでアタシは諦めたりしないしって思うのは、きっとトレーナーがずっとずっとアタシと一緒に居てくれるからって思ってるからなんだろうな。
でも子供ってそんなもん。アタシの知らない、子供だった頃のトレーナー、見てみたかった。何にせよ、トレーナーのデートスポット巡りをしようとしたアタシの計画はいきなり終わりそう。
これじゃ一緒に水族館デートしただけじゃん。





4: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)19:59:19

「大学とかは?居たんだ。じゃあ次そこ行こうよ」
「いや、それが……。居酒屋なんだ」
「別に、いーじゃん。未成年でもソフトドリンクで飲み会参加してる子とか普通だし」
とか無理言って次の思い出デートスポット、居酒屋にやってきた。普段なら絶対行かないチェーン店の居酒屋では、学生や大人が大きな声ではしゃいでいる。アタシたちは店員に案内され座敷スペースに座り込んだ。
「つーかアンタさ、デートで居酒屋ってどうなの?」
「違うんだよ、これにはわけがあるんだよ。本当はゼミで飲み会の筈だったんだけど、その女の子が僕のこと狙ってるってみんな知ってたらしくて、当日結託して全員来なかったんだよ」
慌てて身振り手振りを交えて否定する。顔の赤さからして本当らしい。てか、その女の子すごい攻めっ気。結局その後その子と付き合ったみたいだし、アタシもアンタにそんくらいやらなきゃダメってことなのかもね。
「緊張して普段飲めないのにいっぱい飲んじゃってさ、べろべろで」
ふーん、お酒弱いんだ。知らなかった。アタシの知らないアンタの青い頃の話って、嬉しさと一緒に何故か痛みも感じちゃうんだよね。自分でも本当にめんどくさいと思う。




5: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)20:00:04

アタシの機嫌を直そうと連れ出してくれたのがきっかけだったけど、そんなのとっくに忘れちゃってた。アタシたちはおしゃべりに夢中で、こんなにトレーナーと喋ったのは久しぶりだったかもしれない。
慣れない居酒屋の騒がしい空気も、気分をアゲてくれるのに一役買っていたのかも。トレーナーもついお酒が進んじゃって、気が付いた時にはウトウトし始めていた。
壁に背中を預けて頭をこくりこくりと、睡魔に抗うように座り込んでいる。徐々に徐々に横へと倒れ始めていたので、アタシは思わず対面から移動して隣に座り彼の身体を起こす。
「もー、寝ないで」




6: 名無しさん(仮) 2023/02/15(水)20:00:16

「シチー……」
今度は逆にアタシの方にもたれかかってきて、思わず彼の頭を抱きかかえるような姿勢になってしまった。胸元で息をしながらもごもごと何かを言おうとしている酒臭い男。
一旦周囲を伺って、トップスを一枚脱ぐ。よりトレーナーを直に感じられるようになると、彼もアタシの胸と二の腕にすりすりと頬を寄せて落ち着いてくれる。
ふふっ、アンタさあ、本当……。チリチリとした顎髭の痛みが心地良い。この寝顔をいつまでも見ていたい気持ちに駆られそうだけど、そろそろ出ないと。
「ほら、帰るよ。続きは明日にでもさ」
「うーん……次は…店を出て右の……ホテルに連れてかれて……」
「はあ?」




7: オワリ 2023/02/15(水)20:00:28

トレーナーに肩を貸して歩き会計へ。
女の恋は上書き保存、男の恋は名前をつけて保存。ウマ娘の恋は上書き保存。
むにゃむにゃと夢見心地なトレーナーと一緒に、アタシは店の右へと歩き出した。




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