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歩夢「しずくちゃん、私だって限界あるんだよ!?」かすみ「かすみんに言われても」 (51)(完)


8: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:44:27.24:4/7xKwHB0 (8/51)

歩夢「努力の成果もあって、晴れてしずくちゃんの方から甘えてきてくれるようになったわけです」
かすみ「あー、はい。よかったですねー……」
歩夢「それに……たくさん甘えてくれた後の、ごめんなさいもなくなったから。これほんと嬉しい」
歩夢「でもどんどん甘えんぼ度合いが加速してて、時折目線で『歩夢さんは私のことだいすきでしょ?』みたいな感じ出してくるの」
歩夢「そうだよ!!だいすき!!!」バンッ
かすみ「何急にキレてるんですか……」

歩夢「怒りたくもなるよ!何あれ!!かわいすぎるんだけど!?」
歩夢「私が内心悶えてるところを、きょとんとしながら見つめてくるんだよ!?しずくちゃんは楽しそうだし私も嬉しいのに変わりはないけど一瞬でも『あれ?』って思わせちゃったことが悲しいし、しずくちゃんを満足させられなかった自分に怒りたくなるの!!はい10秒で喜怒哀楽コンプリート!!!」
かすみ「どういう感情で喋ってるんですかそれ」




9: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:45:16.38:4/7xKwHB0 (9/51)

歩夢「はぁ、はぁ……正直やりすぎちゃったかなって思ってるよ。まさか私が耐えられなくなるとは予想できなかったもん」
歩夢「もうね、しずくちゃんは分かってきてるんだよ。毎度毎度、的確に私の弱点射抜いてる」
歩夢「このままだと私の方が勝てなくなりそうだよ……」
かすみ「ああ、あれ一応ちゃんと効果はあったんですね」
歩夢「効果ありすぎだよっ。ほんと何してくれてるの……ありがと……」
かすみ「感情バグってません?」

歩夢「あ、でもね?きっかけみたいなのが一応先週の金曜くらいにあって」
かすみ「きっかけ」
歩夢「そうそう。あの日同好会のみんなで練習した後、何人か残ってたじゃない?実はあの後、しずくちゃんは最後まで残ってたんだよね」
かすみ「え、そうなんですか」
歩夢「演劇部に時間を割いてた分を取り戻さなきゃって言ってた。時間も遅かったし私は先に帰ることになったんだけど、上着を忘れていきそうになってねーー」




10: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:45:48.52:4/7xKwHB0 (10/51)



歩夢「はぁ、はぁ……もう、部室まで距離ありすぎだよー……この学校、ほんと広すぎ……」
歩夢「確かソファにかけて……って」
しずく「すぅー……んぅ、えへへ……♪」
歩夢「し、しずくちゃん……?」
しずく「すぅー、はぁー……歩夢さんのにおい……?」
歩夢「あの、しずくちゃーん?」
しずく「っっっ!?!?」ビックゥ
歩夢「う、上着……忘れちゃってて……」
しずく「……ぁ」
しずく(絶対バレたそうだよ忘れたなら気付いて戻ってくるに決まってるなんで気付かなかったの私それより歩夢さんに嫌われた絶対嫌われた嫌われた嫌われた)
歩夢「えっ、な……!?」

歩夢(えなんでしずくちゃんの表情がどんどん暗くなってるああそっかこれしずくちゃんは見られたくなかったんだ私は嬉しかったんだよでもしずくちゃんきっと私に嫌われたって思ってそう早くそんなことないって伝えてあげないとしずくちゃんが泣いちゃうというかもう今にも泣いちゃいそうそんなのダメダメダメ迷うな私!!!!!) ←この間約3秒
歩夢「っ」ギュッ
しずく「!」
歩夢「大丈夫、大丈夫だからね……」ス…
しずく「で、でも……私……」
歩夢「大丈夫、私はずっと離れないから……だから、ね。泣かないで……?」ナデナデ
しずく「……ん」コテン…
歩夢(あっぶなぁー!!!数秒フリーズした割にナイス判断だよ私……!)





11: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:46:19.33:4/7xKwHB0 (11/51)

しずく「……、……」
歩夢「……落ち着いた?」
しずく「はい……。それで、あの……」
歩夢「……匂いが好きなの??」
しずく「ぁ、う、えっと……///」
歩夢「恥ずかしがらなくてもいいのに……?」
しずく「……最初はそんなつもりじゃなかったんですけど」

しずく「……変なんです。ここ数日、どうにも調子が悪くて」
しずく「こんな時間まで残らせてもらったのも、遅れを少しでも取り戻したかったからで。……演劇部に時間を割いていたとはいえ、こんなにも上手くいかないなんて思いませんでした」
しずく「煮詰まってきたのが自分でも分かったので、一度冷静になろうとして。結局何も分からないまま、歩夢さんが上着を忘れていることに気付いて」




12: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:47:06.09:4/7xKwHB0 (12/51)

しずく「……そ、その時はちゃんと連絡しようと思ったんですよ?でも手に取った瞬間、何も考えられなくなってしまって」
歩夢「それでああなってたんだ?」
しずく「今思い返しても、本当に恥ずかしいです……///」

しずく「……でも、とても満たされたような気がしたんです」
しずく「身体がふわっと軽くなったみたいで、さっきまであんなに調子が悪かったのに……って」
しずく「……ごめんなさい。上着、返しますね」
歩夢「……しずくちゃんは、頑張り屋さんだね」




13: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:47:34.93:4/7xKwHB0 (13/51)

しずく「歩夢さん……?」
歩夢「あのね、しずくちゃん。……頑張ってる人だって、甘えてもいいんだよ?」
しずく「頑張ってる人が、甘える……?」
歩夢「しずくちゃんはきっと『今は頑張る時だから』って、この何日か過ごして来たんだよね」
歩夢「早くから朝練して、お昼休みもお弁当を食べてすぐに演劇部に行って、今もこうして遅くまで練習して……そうやって頑張るしずくちゃんは、すごくかっこいいと思うよ」
歩夢「でも……仮にそういう人が少し甘えていても、かっこよさが失われることはないと思うの」
しずく「……、……」

歩夢「えっと、つまりね?すごくストレートに言うとね」
歩夢「……流石に、無理しすぎだよ。実際、しずくちゃんの身体はこんなにも疲れちゃってる」
しずく「……。そう、でしょうか」
歩夢「うん。……だから、今は少しだけ休もう?そうすれば、きっとすぐに調子もよくなるよ」




14: ◆bncJ1ovdPY:2023/02/15(水) 16:48:03.82:4/7xKwHB0 (14/51)

歩夢「頑張り屋さんなしずくちゃんには、たくさん休んでいい権利があるの」
しずく「権利……?」
歩夢「そう。いーっぱい甘えて、ワガママ言って、休んで……好きなことをしていい権利があるんだよ」
歩夢「それをしずくちゃんが許せないなら……私が代わりに許してあげる」

歩夢「……そのまま、ゆっくりソファに座ってて。楽な姿勢にしていいからね」
しずく「……はい」
歩夢「あ。私の上着も、そのまま抱きしめてていいからね??」
しずく「あぅ……///」




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