1: 2024/06/14(金) 20:19:00.73 ID:xGMD9JVi
「円安は当然、むしろ遅すぎたくらいだ」
少し前のことになりますが、4月29日の外国為替市場ではドルが対円で一時1ドル=160円台を突破、1990年4月以来34年ぶりのドル高円安水準をつけました。他通貨との為替の動きや物価の変動などを考慮に入れた「実質実効レート」では実に50年ぶりの円安になっていると聞いて、驚いている人も多いと思います。
ロジャーズ氏はすでに東洋経済オンラインの約1年半前のコラム『日本は英国のように没落する』で、「今のままでは1ドル=175円もありうる」と述べていました。ついにその言葉が現実味を帯び、目が覚めた日本の方も多かったのではないでしょうか。
財務省は5月末になって、直近に実施した為替介入の金額(4月26日~5月29日)がなんと9兆7885億円だったと発表しました。もちろん、政府の外貨準備のうちのすべてを為替介入に使えるわけではありません。政府が介入できる残りの実弾も限られています。
ロジャーズ氏は円安についてこう言います。「2022年3月以降、急激に円安が進みましたが、私は、ここまで円安が起こらなかったことに対して、むしろ驚いているほどです。私はもっと早く円安が起こると予測していました。なぜなら、日本は何十年にもわたって、巨額な借金を積み重ねてきたからです。にもかかわらず、今になってようやく円安になった理由は、日本人の国民性が関係していると思っています」。
どういうことでしょうか。「結局、これまで日本国民は、政府が(ドルなどの他国の通貨ではなく)『日本円を買いなさい(持っていなさい)』と言えば『はい、そうします』と従ってきたわけです。この従順さが、円安になるのを遅らせた原因の1つだと考えています。
今や、円の価値は約50年ぶりの低水準になっています。では、50年前の日本はどんな国だったでしょうか。
ロジャーズ氏は言います。「今とはまったく違う国でした。出生率も現在より高かったですし、国としてはもっともっと発展していました。今は借金が大きく増えたうえに、出生率が減っています。そう考えると、さらに円安になるのは明らかではないでしょうか。40~50年前の1970~80年には、円の相場は1ドル=175~200円でした。同じ水準まで円安が進むことは大いにありえます。今は当時よりも人口動態が悪く老齢化も進み、借金も多いので、今回は50年前よりさらに円安に動く可能性も十分あります」
ロジャーズ氏は、歴史的に異常な低金利を継続させているのは日本のファンダメンタルズ(基礎的条件)が非常に悪いからで、円高になる要因は今のところほとんど見当たらないと言います。
一時的には円高になる可能性がないわけではありません。しかし、例えば11月5日に行われるアメリカの大統領選挙で何らかのサプライズが起きて、新たに就任する大統領がドル安を引き起こすような政策でも取らない限り、難しいと言います。しかも、もしあってもそれはあくまで一時的な反動であって、日本や世界経済を根本的によくするわけではないと言います。
このままだと「1ドル=360円」まで円安が進む?
ワタミの渡邉美樹氏も、為替レートについては次のような意見を述べています。「日本でバブルが崩壊して以降の約30年で、日銀がお金を印刷した量をアメリカと比較すると、日本は実質的に6倍になっています。当時の為替相場は1ドル=100円程度でしたから、ほかの要因をすべて除いて極端な話をすれば、今は『1ドル=600円になってもおかしくはない』。
渡邉氏は続けます。「日本は約30年前にバブルが崩壊して、そこから経済成長をしなくなったのですが、それでもお金の使い方を変えませんでした。日本は戦後ずっと同じようなお金の使い方をしてきたのです。それどころか少子高齢化が進んだため、それを解決するために、より多くのお金を印刷してきました。政治家は特別に『たくさんのお金を刷ろう』と考えたわけではありません。経済成長していないにもかかわらず、何も考えずに今までと同じサービスを続けてきた結果、お金の量が莫大になってしまったのです。それが今の日本の実態です」。
「そう考えると、円安は少なくとも以前の1ドル=360円まで戻るだろうというのが私の考え方です。円安にはメリットとデメリットがありますが、基本的に通貨の強さは国力そのものですから、日本にとっては円高が必要だと思います」
https://toyokeizai.net/articles/-/759234