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【ウマ娘怪文書】「原稿よし、着替えよし、ノーパソよし、充電器よし、デジカメよし、アメニティよし」「私もよし!」旅行カバンに荷造りをしているとダイヤちゃんが勢いよく隣に座り込んできた。くっついてくるダイヤちゃんを優しく剥がす。


1: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:05:45

「原稿よし、着替えよし、ノーパソよし、充電器よし、デジカメよし、アメニティよし」
「私もよし!」
旅行カバンに荷造りをしているとダイヤちゃんが勢いよく隣に座り込んできた。くっついてくるダイヤちゃんを優しく剥がす。
「ごめんね、お留守番しててね」
ぐずるダイヤちゃんをなんとか宥めると旅行カバンを閉じる。お留守番というのも、今回僕は母校の大学にて講演をやらせてもらうことになったからだ。
ダイヤちゃんがG1を制覇したことで僕のトレーナーとしての評価も高まり、母校の大学にて、是非トレーナーの道へと進むかもしれない後輩たちにメッセージを、とお呼ばれしたのだ。
もちろん講演ではダイヤちゃんのことも話さないわけにはいかない。サトノ家に伺ってみたところ是非にと後押しされた。今回の宿泊も手配してもらえるというご厚意に、感謝してもしきれない。
本当は日帰りでも可能な距離なのだが、サトノ家が旅館を手配してくれるとのことで、せっかくなのであちらを観光して旅館を楽しみ、講演を行って帰るという一泊二日の旅にすることにした。
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2: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:05:55

出発の日、サトノ家が用意してくれた車に乗り込む。運転手さんに挨拶をし、母校のある地まで高速を走っていく。
不意に助手席の毛布がもぞもぞと動いたと思うと、中からダイヤちゃんが顔を覗かせ後部座席のこちらを振り返って満面の笑みを浮かべた。
「えへへ…来ちゃいました!」
来ちゃったものは仕方ない。元々車も宿泊所もサトノ家が手配してくれているのだし、既に高速に入ってしまったし、ダイヤちゃんを帰すのに無理を言うわけにもいかない。
「講演の時は暇になると思うけどいいの?」
と言いつつも、僕もこのサプライズな同行者に少し胸を弾ませていた。一人で観光するよりも、きっと彼女が一緒にいた方が楽しいだろうと思ってしまっていた。






3: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:06:10

運転手さんに礼を言って別れ、ダイヤちゃんを連れて旅館に着くと部屋に荷物を預ける。里野旅館は母校から車で30分のところにあり、その一等室を今回無償で借りられることになった。
部屋は一人には持て余すような大きさで、客室と寝室……和室が二部屋、奥の和室の広縁か浴室から個室露天風呂に出ることも出来る。おそらくサトノ家のご厚意がなければ一生訪れることはないであろう豪華な部屋であった。
もしダイヤちゃんが同行しなければ、絶対広すぎて居心地が悪かっただろうな……。と一人納得しながら、広縁から個室露天風呂を見て飛び跳ねているダイチャちゃんの背中を見ていた。
「よし、外を見て回ろう」
デジカメを取り出しダイヤちゃんの手を引き、僕は観光に繰り出す。この時間はきっと、ダイヤちゃんが僕にくれた時間なのだ。お礼に彼女をうんと楽しませてやろう。





4: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:06:21

ベンチにデジカメを置いてタイマーをセットしたダイヤちゃんがこちらに駆け寄ってくる。躓いた彼女を受け止めると、タイミングよくシャッター音が鳴った。
「あはは、漫画みたいですね」
可笑しさに僕もつい頬が緩んだ。ダイヤちゃんは初めての二人の旅行に舞い上がり、デジカメを離さない。使い方を教えると景色や僕などをどんどんレンズに収めていった。
山を登り、寺に参拝し、景色を眺め、写真を撮った。思えば、ダイヤちゃんのリフレッシュは色々とスケジュールを組んでいたが、僕自身のリフレッシュは蔑ろにしていたのかもしれない。
観光ですら彼女と一緒だとまるでいつもと変わらないようだが、一人で静かに散策するよりも僕にはこちらの方が性に合っているのかもしれない。
夕暮れ時、すっかり遊び疲れたダイヤちゃんの手を引いて旅館へと戻った。




5: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:06:38

大浴場で疲れを癒やし、浴衣姿で部屋に戻るとノートPCを開いて明日の用意を始めた。
と言っても、既に原稿やPDFは完成しているので、それの確認と何度目かの原稿読み合わせを済ませるだけであったが。
「トレーナーさん、これ、ありがとうございました」
「ああ、やっとくよ」
同じく浴衣姿のダイヤちゃんが手渡したデジカメを受け取ると、ノートPCに繋いで充電を始める。画面にデジカメの画像フォルダがポップアップした。
「これはどうやって現像するのでしょうか?」
「フィルムじゃないからね、こうしてPCにつなげて画像をUSBかマイクロSDカードに入れて、それをプリンターに読み込ませたら印刷が出来るよ。また今度印刷しておくよ」
ダイヤちゃんは喜びながらPCの画面を覗き込み、画像を指さしながらこの時はどれほど楽しかったか、などと思い出語りを始めてくれた。




6: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:06:52

その後、食事の用意が従業員さんたちによって始まった。客室の大きなテーブルに運ばれる海鮮料理、派手な殻付きの伊勢海老が目を引く。
ダイヤちゃんと料理に舌鼓を打ち、僕は彼女のお酌によって高そうな日本酒を、彼女はにんじんジュースを飲み、豪勢な食事を堪能した。
普段まったくお酒は飲まないのだが、この日は美味しい料理とダイヤちゃんの勧めによって手が止まらなかった。お酒には詳しくないが、口当たりが良く美味しいお酒だったのも手伝ってつい飲みすぎてしまったかもしれない。
酔いでぼんやりした頭をスッキリさせようと、個室露天風呂に入る。湯に反射する月を見ながら風に当たりつつ入る温泉は、大浴場とはまた違った趣があった。
後から入ってきたダイヤちゃんの肌も、温泉効果で不思議といつもよりプルプルしてるように感じた。




7: 名無しさん(仮) 2024/05/06(月)20:07:04

小鳥の鳴き声が聞こえる。広縁から差し込む日差しが心地良い。朝か……。
思考が即座に現実に引き戻される。飛び起きるように布団を跳ね飛ばし、スマホを確認。午前10時半。背中が凍えるように冷たくなる。大変な寝坊だ。
講演が11時半開始なので、移動と支度の時間を考えると10分も余裕がないかもしれない。慌てて下着を穿いてシャツを着る。
客室でノートPCを立ち上げデスクトップに用意したファイル類をUSBに移していく。USBを抜き取り原稿と共にカバンに詰め込むと、寝室でぐっすり寝ているダイヤちゃんが目に入った。




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