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【ウマ娘怪文書】春3ヶ月に1度、僕はメジロ邸にお邪魔する。僕の担当ウマ娘、メジロブライトと一緒に、彼女のご両親と定期的な面談を行っているのだ。


1: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:01:37


3ヶ月に1度、僕はメジロ邸にお邪魔する。僕の担当ウマ娘、メジロブライトと一緒に、彼女のご両親と定期的な面談を行っているのだ。
と言っても、順調に勝ち上がっている彼女については特に憂慮すべきこともなく、もっぱらご両親に学園のことや僕のことを質問攻めにされるのだが、僕はこの時間を楽しく思っていた。
学園では彼女の様子はどうかと伝えると、ご両親はとても嬉しそうだからだ。ついでに僕のことも色々聞かれるのは少々疑問ではあるが……。
この日もそんな面談を終えて、ブライトの部屋で少しのんびりとさせてもらっていた。




2: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:01:51

何気なく彼女の部屋のアンティークを見ていると、目を引いたのは大きなドールハウス。内部は精巧なまでに作り込まれており、まるで指人形サイズの住人がそこで生活しているかのようだ。
暖炉室を見れば、うさぎのフロッキードールが二人、ソファに座っていた。
子供用のおもちゃのフロッキードールなら見たことはあるが、これはCMでもお目にかかったことはない。きっと特注品だな。
「あら〜。アントレヌールくんが気になりまして?」
なんてことを考えていると、いつの間にか部屋に戻ってきたブライトが、背後から覗き込んでいた。
「ごめん勝手に見て。すごい細かいなぁって」
「こちらわたくしの趣味のドールでして。男の子がアントレヌールくん、女の子がエテュディアントちゃんですわ」






3: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:02:01

うさぎのフロッキードル二人は、暖炉前のソファで手を繋ぎながらくつろいでる。
「夫婦なの?」
「いえ、まだなのですが……」
「へえ。でも仲良さそうだよ」
「ええそれはもう〜。でも、鈍感なアントレヌールくんはよく女の子を悲しませてるのですわ」
やはり自分で作ったドールとなると入れ込むのだろうか、思ったよりも複雑な設定が用意されていた。それにしてもアントレヌール君、かわいい顔して罪作りな男だ。





4: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:02:11


日本ダービーを見事勝ち抜いた後の面談は、とても盛り上がった。やはり僕以上に、ご両親は大喜びである。一族の希望にならんとするブライトも誇らしげだ。
この日は学園のことだけでなく、僕との関係のこともよく聞かれた。ブライトの走りには一切関係ないことではあるが、嘘を付く必要もないので正直に話す。
面談が終わり、またもやブライトの部屋で寛がさせてもらう。ドールハウスはまた改装され、夏模様に。アントレヌール君はエテュディアントちゃんに抱き上げられていた。
「トレーナーさま〜」
ブライトが僕の手を握って甘えてくる。僕もドールハウスから視線をブライトに戻し、向き合う。




5: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:02:24

「わたくし、欲しいものがありますの〜」
なんだろう、彼女のようなお嬢様でも簡単に手に入らないものだろうか。もしや、三冠ウマ娘の称号だろうか。
「ブライト、それってもしかして」
「ええ……トレーナーさまのご協力なしには手に入らないものなのですわ」
僕の手を両手で握りって祈るブライト。彼女は今、夢に燃えている。ならば僕もそれに応えるべきである。
「わかってる、絶対に君に与えてみせるよ。そのためなら僕は何でも協力する。すべてを捧げるよ」
「まあ〜……嬉しいですわ〜」
険しい顔つきから一転、いつもの和やかな顔に戻るブライト。僕もにっこりと笑みを返す。




6: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:02:37

「ところで、アントレヌール君は何をしてるの?」
赤子のように抱かれるアントレヌール君。何故あのような飾り方をしているのかをブライトに訪ねた。
「アントレヌールくんは、悪いことをしましたの。約束を破ったので、その分ああなっていますの」
なにやら昼ドラのような設定の遊び方をしているようであった。
アントレヌール君、安請け合いして女の子を悲しませるものじゃないぞ。




7: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:02:50


三冠ウマ娘となったブライトは、今やご両親だけでなく、一族や関係者にも期待の眼差しを向けられるホープだ。
やがて担当トレーナーとしてメジロ邸に出入りする僕は、否が応でも注目を浴びるようになった。
まるでブライトに相応しいトレーナーかどうかと値踏みするような視線に、彼女に恥をかかせまいと僕も意を新たにしていく。
という話をお父様にすると、とても喜んでくれた。隣りにいるブライトも顔を赤くして「よろしくお願いします」と小さく口にした。




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