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【ウマ娘怪文書】春3ヶ月に1度、僕はメジロ邸にお邪魔する。僕の担当ウマ娘、メジロブライトと一緒に、彼女のご両親と定期的な面談を行っているのだ。


8: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:01

「トレーナーさま、わたくし、欲しいものがありますの〜」
なんだろう、彼女のようなお嬢様でも簡単に手に入らないものだろうか。もしや、三冠ウマ娘の称号ではなかったのだろうか。
「ブライト、それってもしかして」
「ええ……トレーナーさまのご協力なしには手に入らないものなのですわ」
僕の手を握り肩に頭を預けるブライト。彼女は今、次なる挑戦に向かって走り出している。ならば僕もそれに応えるべきである。
「わかってる、絶対一緒になろう。そのためなら僕は何でもしてあげよう。君を最高に輝かせて見せる」
「まあ〜……嬉しいですわ〜」




9: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:12

ブライトは、三冠ウマ娘に留まらない。有馬記念を制覇し、新生メジロの輝きになろうとしているのだ。僕はそれを、是非とも叶えてやりたかった。
ドールハウスの中では、タキシードに着替えたアントレヌール君がエテュディアントちゃんと大きな鐘の下で立っていた。
どうやらあちらも正念場らしい。僕は3ヶ月に1度会えるこのうさぎの男の子に、奇妙な友情にも似た親近感を覚えていた。
僕はブライトに有馬を勝たせて夢を叶えさせる。だから君もエテュディアントちゃんを幸せにしてあげるんだぞ、とドール相手に勝手な誓いを立てるのであった。




10: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:22


メジロ邸で行われたブライトの有馬祝勝記念パーティーでは、僕はブライトのお父様たちと別室で飲んでいた。
感極まったのか酔いが回ったのか、お父様は何度も僕の手を握り「君になら任せられる」「末永くよろしくお願いします」と頭を下げ、その度に僕の方こそ恐縮してどうしたものやらと頭を下げた。
話が盛り上がりすぎてついつい遅くなってしまい、今夜はこちらに泊めて頂くこととなった僕は、使用人さんに連れられ寝室に案内された。
案内された部屋の照明をつけると、大きなベッドが用意された落ち着いた雰囲気の客間であった。ベッドの脇にある机には常夜灯が温かく灯り、窓からは月明かりが差し込んでいる。
そしてテーブルの上には、見慣れたドールハウスが。





11: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:32

ドールハウスではベッドの上にアントレヌール君が仰向けに寝ており、その上にエテュディアントちゃんが座り込んでいる。
「また悪いことしたのかい?」
僕も浮かれすぎたのか、つい返事もないドールに話しかけてしまった。いけないな、ブライトが勝ったことに舞い上がっている。
ノックがしたのは、ジャケットをハンガーにかけ、ネクタイを外してシャツのボタンを開けていた時だ。こんな遅くに誰だろうかと思いながらも、何も怪しむこともなく、どうぞと声をかけた。
入ってきたのはブライトだった。緑のレースのネグリジェに身を包み、頬を染めて部屋に入ってくる。
レースが透けてくっきりと彼女の身体つきを映していることに気がつくと、そちらを見ないように視線を上げ、彼女の目を見た。こんな格好で出歩いたりは普通しないものだろうが、やはり上流家庭の子は違うのだろうか。




12: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:42

「トレーナーさま〜」
後手に部屋の鍵をかけると部屋の照明を消し、ブライトはおずおずとこちらに歩み寄ってくる。
「わたくし、ずっとずぅっと、この日をお待ちしておりましたの〜」
一言話す度にブライトが一歩詰めてくる。僕はどうすればいいのかわからず、立ち止まって彼女の先の言葉を待つばかりだ。
「メジロ家の光になって、ようやく受け取れる準備が整いましたの」
ついには僕の目と鼻の先まで近づいた彼女は、僕の胸にぴったりと寄り添って甘えてくる。バランスを崩さないようその場に踏みとどまりながら、彼女を抱き留めようとするもネグリジェのことを思い出し、両手が宙を泳ぐ。




13: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:03:52

「トレーナーさまは、わたくしのことをどう…思ってらっしゃるのかしら」
胸にぴったりと頬と耳を当てて擦り付け甘える彼女。きっと跳ね上がる心音まで聞き取られていることだろう。
質問の意図がわからない時は、変に見栄を張らず素直に答えることが僕の処世術だ。
「どうって、そりゃ誇りだよ。君は新生メジロの希望だ、光だ」
胸板に撓垂れ掛かる彼女の尻尾が、ぴくんと跳ねた。
「僕は君の夢をサポート出来たことを嬉しく思っている。僕の人生をかけて、君を支えたいと思っているよ」
そこまで言ったところで、ブライトがこちらに体重をかけてきた。ぐいぐいと押し込むように両手で僕を押している。




14: 名無しさん(仮) 2024/05/22(水)21:04:02

ぐいぐい力を込めてこちらに寄り掛かる彼女にじりじりと後退させられ、ついにはベッドに足をかけて後ろにバランスを崩す。
咄嗟に怪我をさせないよう彼女の肩を掴んでしまう。そのせいで彼女を引き倒す形になり、僕はベッドの上でブライトを腰の上に乗せ仰向けに倒れ込んだ。
「では、頑張ったわたくしに、約束のものを…くださいまし〜」
「約束……?何を…?」
「いけませんわー。忘れたフリなんかして。お父様も応援して下さったのでしょう?」
そう、約束。忘れたわけではない。僕はブライトが欲しいものを手にするため、何を捧げてでも協力すると誓ったのだ。
「忘れたわけじゃなくて…欲しいものって有馬の一着じゃなく?」
ブライトはきょとんとした表情を見せ、やがてにっこりと破顔した。そして人差し指を僕の鼻の頭に乗せる。




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