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【ウマ娘怪文書】愛とは何か。それはヒト、ウマ娘問わず永遠の謎である。だが、中には深く考えない者もいる。


8: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:09:34

エアシャカールは考えない。愛なんて不確かだから。
だから、そんな不確かなものの為に人生を左右されるのはバカらしいと思っているわけで。
ファインは自分の背負った使命に実直だ。受け入れ、全うしようとしている。だが、気に入った相手にはそのタガが緩むらしい。そんな大それた間違いは起こらないとは思っているが、彼への甘えが彼女の人生設計に何らかの綻びを生まないか、シャカールは最近ヒヤヒヤしている。取り敢えず太り気味でレース敗北を避けるため、映画館までの道のりにラーメン屋が無いルートを算出した。出血大サービスである。
「ちょっと見直したくらいで割に合わねェ労力だったな…」
一人ボヤいたシャカールであった。

「ただいま帰りました〜」
「おう、おかえり。楽しめたか?」
「はいっ、最高でした〜!」
自室にて。門限ギリギリに部屋に戻ってきたルームメイト、メイショウドトウ。今日は彼女のトレーナーと水族館へ出かけて来たのである。
何故シャカールが知っているのか。前日に彼女が教えてくれたから、ではなく実はもっと前から知っていた。それは何故かと言うと……




9: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:10:28

「ト、トレーナーさぁぁん!!!」
絶叫にも似たルームメイトの声を聞いて、ふと中庭の方を見やる。ドトウが何やらトレーナーの前でモジモジしていた。
「その、あの、良かったらぁぁぁ…今日はいい天気ですねっ!!」
シャカールは分かった。というかこれはシャカールでなくとも分かった。ドトウは何か言おうとして、結局言えずに話題を変えたと。元々自分に自信がない娘、彼女にとって何か大きなことをする時、二の足を踏んでしまうのはドトウと親しい者なら誰しも一度は見た光景である。
「あ、いや、違くて…良かったら私とぉぉ…その…ご褒美にぃ…」
言い出すのに時間がかかりそうである。ふと、目の前で突っ立っているトレーナーの方に目を向けた。微動だにせず、どころか瞬きもせずドトウを見つめていた。
(あんなに圧を出すからドトウが言い出せないんじゃねェのか…!?)
そう思ったシャカール、つい助け舟を出そうと2人に近寄る。その瞬間。
グリンッ!
真顔のまま、ドトウのトレーナーがシャカールの方に顔を向けた。
「ヒッ」
つい、小さい悲鳴を上げてしまったシャカール。彼の顔は邪魔をするなと言いたげで、黙ってそれに従う他なかった。




10: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:11:14

「ト、トレーナーさぁぁん!!わた、私と!良かったら!水族館に行ってくれませんかぁぁぁぁ!!!」
そうこうしてる内についに言いたかったことを言えたドトウ。トレーナーはと言うと。
「是非、喜んで」
彼は初めて笑顔を見せた。

エアシャカールは考えない。愛なんて不確かだから。
というかあれが愛だなんて思いたくない。情けないことを言うが怖かった。自分でも怯んだあの圧に思いの丈をぶつけたドトウはすごいと思う。それだけ彼と水族館に行きたくて、言い換えるなら彼と同じ時間を過ごしたくて頑張ったということだろうか。
「ご褒美、か…」
そういえば欲しかったPCのパーツがあったことを思い出した。





11: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:11:24

「なァ、今度の休みヒマ?良かったら買い物に付き合ってくんねェ?」
そう言われて、シャカールのトレーナーが目をパチクリとさせた。
「俺を、誘ってるの…?」
「他に誰がいンだよ。欲しいPCのパーツがあってな」
「いいよいいよ!もちろん!俺が買ってあげる!」
「うわ!急にテンション上げンな!いいのかよ、安くはねェぞ?」
「構わないよ!嬉しいなぁ、シャカールが誘ってくれるなんて!あ、もしかして真面目にトレーナー頑張った俺へのご褒美?」
「オマエのご褒美になるのかよ」
エアシャカールは考えない。
考えてしまったなら、この不確かな気持ちに答えが出てしまいそうだから。








12: 名無しさん(主) 2024/03/05(火)23:11:41

長くなったけど哲学的なシャカールが書きたかった




13: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:13:57

素直にシャカールかわいい!ってレス出来ないくらいにドトトレが倒錯的すぎるって!!




14: 名無しさん(仮) 2024/03/05(火)23:17:00

ヒソヒソ…やっぱり鬼畜眼鏡よ…




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