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【ウマ娘怪文書】「よーし良いぞその調子だ!」厳冬の曇天をものともしない声がターフに響き渡る 大柄なトレーナーが葦毛の少々地味そうなウマ娘の背に声援を掛けると遠目にもグッと力を入れた


1: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:11:13

「よーし良いぞその調子だ!」
厳冬の曇天をものともしない声がターフに響き渡る
大柄なトレーナーが葦毛の少々地味そうなウマ娘の背に声援を掛けると
遠目にもグッと力を入れた彼女はみるみると加速していく
やがて自己ベストを更新したらしい葦毛のウマ娘は目を輝かせ
興奮気味にトレーナーとハイタッチを交わすと指導を聞いていた
「…誰にでもあんな感じなんじゃん」
それを眺めているのは彼の契約ウマ娘であるナリタタイシンである
「そりゃそうだろ。皆賢明にトレーニングをしてるんだから」
彼女を宥めるように隣に佇むのは無論担当トレーナー
よくよく見ればタイシンの隣にいる彼と、葦毛のウマ娘を指導する彼
そしてそれ以外にも3人程…合計5人の
タイシンの担当トレーナーがターフ上に存在していた
分身などでは無く紛れもなく5人全員が本物である




2: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:11:24

事の発端はダイワスカーレットであった
普段通りに掛かり、自身のトレーナーが詰所にいる所に突貫
そのまま迎撃され残機を失うと共に消失すると自室にて復活
そしてそのまま固有スキルを暴発させた後窓から飛び出し再突入
アグネスタキオンの調べによるとこの一連の流れのどこかで不具合が起き
横移動でダイワスカーレットが部屋に入った時にトレーナー達が増えていた
バグである
だがそれを利用しようと考えた彼女が同じ挙動を行った事により
トレーナー陣は5人にまで増えてしまい騒ぎになったのである
フジキセキは5人分の濃度のトレーナーの匂いでトランス状態に入り
ヒシミラクルは5人がかりでプールへとトレーナー神輿で連行
だが元々専属トレーナーの数には限りがあった為
事態が解決するまでの間と各トレーナーに任意で未契約ウマ娘達への指導を推奨
結果今に至る、という訳である






3: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:11:34

「そんなに他の俺が気になるか?最初はタイシンだって了承してくれたじゃないか」
「いや…それはそうなんだけどさ」
一生一緒にいるつったじゃん
流石にそれは口に出来ず、くっと唇を軽く噛みしめる
そして改めて感じるのは引く手数多であるという事だ
何もナリタタイシンのトレーナーばかりの話ではない
日頃から花壇の世話で生徒達に人気のあったエアグルーヴのトレーナー
面倒見の良いセイウンスカイのトレーナーに
今や名実ともに「一流」となったキングヘイローのトレーナー
成程目をつけていた生徒は多くいたのだろう
逆にやる気のあるウマ娘というのは当然トレーナーにとっても喜ばしいもので
皆が生き生きと、それが当然の事の様にコーチングを行っている
活気が出るのは良い事だろう
きっとこうしている間にもトレーナーによってはヒント等を閃いているのかもしれない





4: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:11:44

それこそビワハヤヒデのトレーナーも
「ハヤヒデとの勝利の方程式に一歩近づけるかもな」
等と当人を前にしてのたまい苦笑させていた
(いっそヴィブロスさんやテイオー、シチーみたいに
5人とも一緒に居て、とか言えば良かったのかもね)
だがそれをしなかったのはナリタタイシンだ
何より重い女だと思われたくなかったし束縛もしたくなかった
いっそメジロパーマーの所みたいにトレーナーの方から
5人全員で皆君といるから、と気を遣われたら楽だったろうか
「タイシン?」
トレーナーから声を掛けられ彼女が顔を上げる
そこにあったのはいつもの担当トレーナーの大柄な身体と
彼女を心配そうに見て来る暑苦しい瞳があった
「ああ…いや、大丈夫」
その眼差しが普段通りであった事からナリタタイシンは首を振った




5: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:11:59

「いやほら。そのうちさ、アタシも卒業じゃん」
「ん?まあそうだな」
「じゃ、今見てる光景は先取りなんだろうなって」
「ああ…」
そう。ゆくゆくは皆卒業しトレセン学園を後にする
それぞれに目指す道はあろうが、多くの担当トレーナーは
そのまま仕事を続けるのだから当然学園に残るだろう
そうなれば、新たなウマ娘と契約を結び指導する事になる
「そう考えたら慣れとくのだって良いかと思ってさ」
「タイシンがそれなら良いんだが…」
「うん?」
「俺がちゃんといるんだからあんまり不満げにされても困る」
ぽつりと漏れたトレーナーの一言にタイシンがきょとんとし
そして一拍置いてから笑い出す




6: 終 2024/02/07(水)23:12:35

「あ、ちょっとタイシンお前な…!」
「いやごめんごめん!アンタでもそういう事言うんだなって思ってさ」
「自分でも自分に嫉妬するなんておかしいと思ったけどさあ!」
「あーはいはい。どうせ戻るんでしょ?それならもういーの
アタシもなんか腑に落ちたし」
どうせ、何処で生活していようと一緒にいるのは変わりはないのだ
「逆に直らないと困るよ…同一人物に給料は分配されんだろ」
「気にするところそこなの?」
「大事だぞ、おちんぎん」
雑談を交えながら二人がターフを後にする

やがて学園側も様々な問題があるという事でバグは修正されたが
担当トレーナーが自分以外を指導する事での契約ウマ娘の精神的動揺
そして一時でも担当トレーナーがつき熱心に指導された事による
喪失時の非契約ウマ娘のショックはそれなりに大きな物だったという




7: 名無しさん(仮) 2024/02/07(水)23:18:58

何の何の何!?




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