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【ウマ娘怪文書】併走を終えて首にかけたタオルで、汗を拭うタイキがこちらに気がついた。花でも咲かせるような笑顔でこちらに手をぶんぶん振りながら走ってくる。いつものことならこのまま抱きついて、押し倒して、僕にハグは1日5回までと注意されて、忘れてマシタとか可愛く舌を出しながら言うだろう。だが今日は違った。


1: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:27:36

併走を終えて首にかけたタオルで、汗を拭うタイキがこちらに気がついた。花でも咲かせるような笑顔でこちらに手をぶんぶん振りながら走ってくる。
いつものことならこのまま抱きついて、押し倒して、僕にハグは1日5回までと注意されて、忘れてマシタとか可愛く舌を出しながら言うだろう。だが今日は違った。
「ストップタイキ!今日から10日間メリハリをつけてトレーニングをしてもらうよ!」
突然笛を吹かれ静止させられた彼女は、おっかなびっくり尻尾を立たせその場で立ち止まる。そして頭の上に疑問符を浮かべたような表情をした。
「メリハリ……?」
「タイキは『チートデイ』というものを知ってるかな?」




2: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:27:46

チートデイ。ビルダーやアスリート、はては減量する一般人も取り入れる方法である。厳しいトレーニングや食事制限を行っていると体がその状態に最適化を行うようになり、結果として代謝が落ちる。
それを防ぐため、そして自身のストレス解消やトレーニング継続のモチベーションのため、定期的に1日、好きなだけ食べて良いという日を設けることで、ただひたすらトレーニングを続けるよりも効率的に鍛える事ができるのだ。
「タイキにはこれから間食やBBQやハグ禁止で、10日間ストイックにトレーニングに励んでもらう。そして11日目、チートデイを設けよう」
「No〜〜〜〜!!そんなの我慢出来ないデース!please……」
手をすりすり合わせて訴えかけるタイキ。しかし僕は君に強くなって欲しいんだ心を鬼にして言っているんだチートデイには必ず満足させてみせると根気強く説得すると、ついには折れてくれた。
この厳しいトレーニングを続けることで、君はもっと速くなる。というのが半分の理由、もう半分は別にあった。






3: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:27:59

それは僕が、タイキを好きになってしまっていたからである。誰にでも人懐っこく、無邪気に抱きつくタイキ。そんな彼女に僕が勘違いしてしまったと知ったら、幻滅するだろう。
トレーニング後に抱きつかれるだけで僕の理性はボキボキと音を立てて持ち上がり、痛いくらい主張している。彼女に知られたくない。
あのくらいの年頃の子は、年上の相手に妙に惹かれるものだ。それが本気の想いなのか、ただの麻疹みたいなものなのかの区別もつかずに。
タイキはいつか大人になれば、きっと好きな人と愛する人の区別はつくようになるだろう。そうなった時、彼女と良好な友人関係を築けるように、これ以上のスキンシップは控えたかった。
そんなきっかけから、僕は彼女にチートデイを提案したのだ。





4: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:28:11

「フゥ、フゥ……トゥレィナ〜さ〜ん」
ランニングで疲れたタイキがこちらに両手を差し出しながら歩いてくる。
「チートデイ!チートデイ!」
「Oh……チートデイ…チートデイ…」
言われて我に返ったのか、タイキは腕を下ろしてグラウンドに戻ってクールダウンを始める。これでよかった、よかったはずなんだ。お互いのために。
彼女の友人たちの、厳しい視線が突き刺さった気がしたので、気が付かないフリをしてバインダーにタイムを書き込んだ。




5: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:28:26

またしてもタイキがスキンシップを求めてきた。
「ハグがダメなら……手をつなぐのはいい…デスよね?」
おねだりするように上目遣いで、大型犬のように甘えてくる彼女の姿に思わずくらっとしてしまう。僕はタイキのためにも、厳しくいないとだめなのに、愛らしい姿に負けそうになる。
内側で暴れ始める欲望を押さえつけ、毅然とした態度で首を横に振った。タイキが寂しそうな顔をすると心が折れそうになる。
「チートデイだよ、チートデイ」
「チートデイ……Ohチートデイ……」
最近はこれが万能の呪文になりつつある。




6: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:28:36

発散しきれない胸のモヤモヤをぶつけるように、ひたすらサンドバッグに拳を打ち込みます。渾身の一撃をねじ込むと反動で揺れ戻ってきたサンドバッグを受け止め、ちらりとトレーナーさんを見ました。
目が合いました。でもトレーナーさんはすぐに視線をバインダーに戻します。ああ、今この瞬間にも彼を全力でハグしたい欲求に駆られます。愛する人との接近を禁じられた私は、憂さ晴らしのようにトレーニングに打ち込みました。
結果、今まで以上の成果を出しているとトレーナーさんは喜んでいます。すべてあの人の思惑通りなのでしょうか。
今はただ、来週のチートデイに想いを馳せるばかりです。ハグなんかじゃ済ましません。もっともっと、すごいことをしてあげます。




7: 名無しさん(仮) 2023/12/02(土)20:28:49

タイキの背中からオーラのようなものが見える気がするとトレーナーさんが言ってました。確かに、欲望を抑えすぎて色々漏れているかもしれません。
それなのにトレーナーさんは、こちらの気も知らないで意地悪です。私がどんなにあなたを抱きしめてキスをして……それから色々することを我慢しているかも知りません。
大好きな気持ちが抑えられない。今にもトレーナーさんに伸びようとするこの手をぎゅっと硬く握りしめて、積まれた瓦にぶつけました。
ぱっくりと割れた瓦の破片を片付けながら、トレーナーさんは無防備な背中と、少しジャージのズボンがズレて見えるお尻をこちらに向けていました。
「チートデイ、チートデイ」
呪文のように、自分に言い聞かせます。大丈夫、今しなくても、2日後にはチートデイだから。




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