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【ウマ娘怪文書】黒のベストとストライプのシャツは、引き締まっていながらその均衡を崩さない最大限に出るところは出ている抜群のプロポーションを最大限に強調している


1: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:53:11

黒のベストとストライプのシャツは、引き締まっていながらその均衡を崩さない最大限に出るところは出ている抜群のプロポーションを最大限に強調している。
しっかりとまとまっていながら、胸のポケットから顔を出す白いハンカチや、少し緩くボタンを開けられたシャツの襟元は、どう堅くまとめようとしても遊び心が隠せない彼女の自由さを象徴しているようで、そこから覗く細い首から目が離せなくなる。
細身のパンツが脚の長い彼女によく似合うのは、もう散々魅了されてきた自分が一番よく知っている。
「いいでしょ。マルゼンが選んでくれたんだ」
可愛らしい怪物たちが街に溢れ出す日に、生活感の隠せないアパートの一室にいても、その吸血鬼はひどく美しかった。
男も女も虜にしてしまいそうな美しさも、くるりと回ってマントを翻す仕草の可愛らしさも、同じくらいに似合うのは、本当にずるいと思う。




2: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:53:54

遊び半分の仮装であっても品のいいものにしてしまうところはこれを選んだかのスーパーカーらしさが出ていると思うけれど、それがぴたりと嵌ってしまうのは、選んだ彼女とそれを着こなすシービーのセンスの賜物だろう。マントは絶対外せないわってマルゼンがうるさくてさ、と苦笑している彼女も、その時のことを反芻するようにどこか愉しげだった。
「そうだな。似合ってるよ。
シービーは昼間でも出掛けちゃいそうだけど」
彼女の仮装があまりにも似合いすぎているから、少し揶揄わないと黙って見惚れてしまいそうになる。そんな照れ隠しさえも愉しむように、彼女は陽気にころころと笑った。
「あははっ、そうかもね。
夜しか歩けないって、我慢出来ないかも」
きっとこの美しい吸血鬼は、塵になる瞬間まで愉しそうに笑っているのだろう。その最後の一瞬まで、心を掴んで離さないまま。






3: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:54:44

それからは暫くの間、くるくると愉快そうに回り踊る彼女にその衣装を存分に見せてもらった。彼女がぺたりとソファーに座ってそれが一端休憩になったところで、キッチンに向かって冷蔵庫の中身を検める。
「食いしん坊の吸血鬼さん、美味しいケーキはいかがですか?」
自分もすっかり彼女に中てられてしまってそんな気障な台詞を吐いたというのに、次の瞬間にはあれ、と間抜けな声を出してしまった。
この日のために買っておいた、とっておきのショートケーキがない。正確に言えば、一緒に食べようと思って2つ買っていたものが1つしか残っていない。
「残念。それ食べちゃった」





4: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:55:07

けらけらと笑う彼女は、こうなることがもうわかっていたかのようだった。
「本当に食いしん坊だな。血じゃ足りないのか?」
「うん。だってさ、美味しそうだったんだもん」
どうやらお菓子よりも先にいたずらを仕掛けられてしまったらしい。慌てるこちらを実に愉しそうに見つめる彼女になけなしの負け惜しみを返しても、その微笑みは微動だにしなかった。
「残りもあげるっていうのはなしだよ」
残った一切れを皿に移そうと戸棚を開けようと伸ばした手も、彼女に釘を刺されて止まってしまう。切れる手札を全部使い切ってしまえば、あとは両手を挙げて降参することしかできることがない。
「じゃあ、どうすれば…」
困り果てたこちらの顔を覗き込む彼女は、自分に身を委ねるその言葉を待っていたかのように、満足そうに微笑んだ。
「しょうがないよね。アタシが食べちゃったんだから。
だからさ、いたずらしてよ」




5: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:55:26

彼女がしたかったことを漸く理解して、それにただ苦笑するしかない自分の姿も、彼女にとっては思い通りの結果なのだろう。これがやりたかった、と言わんばかりに満面の笑みを浮かべる彼女にやり込められてしまうことに安心感さえ覚えてしまう自分が、少しだけ憎らしくなった。
「そこまでする?」
「きみが何をしてくれるか見たいんだもん」
彼女と親しくなる度に、きみは何をしてくれるの、と求められることが増えたように思う。
彼女の眼鏡に適うような何かを見つけるのは確かに大変だけれど、そんな自分の心を彼女が欲してくれることも、それがぴたりと嵌ったときに彼女が浮かべる満面の笑顔も、それまでの労苦を忘れさせるには十分に過ぎた。
どんなに無茶なことを言われても、彼女が笑ってくれるなら応えたくなってしまう。今までも、これからも、きっとそうだ。
「…じゃあ、目を閉じて」
だから今だって、何をしてくれるのかと心待ちにしている彼女のことしか、もう考えられない。
そのくらい、彼女に夢中になっていた。




6: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:55:42

「はい。こうもり。
吸血鬼なら使い魔がいるだろ?」
擽ったそうにぴくぴくと眉を動かしていた彼女に、なんとか目を閉じたまま我慢してもらった甲斐はあっただろう。手の甲に描かれた小さな翼を見つめる彼女は、満足そうに目を細めて、柔らかく微笑んでいた。
「…ふふふ、そうだね。
ありがと。かわいい」




7: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:55:59

残ったケーキを半分に分けても、隣に座る彼女と一緒に食べるだけで、ひとつだったときよりもずっと美味しいと思える。お腹は半分しか膨れないのに、幸せは何倍にも大きくなるのが、不思議で仕方ない。
「目を閉じてって言われたからさ。キスされちゃうのかなって思った」
言葉にも砂糖がまぶされて、どんどん甘くなっていく。それに胸焼けしてしまったことは、一度だってないけれど。
「はは、それは流石に恥ずかしいな」
それは麻酔のように染み込んで、幸せな痺れをもたらしてゆく。だから、そんな言葉を聞いていた彼女の瞳の中に、甘さとは別の熱が宿っていることに気づくのが遅れてしまった。
漸くそれを感じて、遅まきながら早鐘を打ち始めた鼓動に耳を澄ませるように、ぴたりと胸に凭れかかった彼女が、妖艶に微笑んだ。
「…してくれないの?キス」
改めて問うた彼女の言葉は、その熱で融けてしまうと思えるくらいに熱かった。




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