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【ウマ娘怪文書】黒のベストとストライプのシャツは、引き締まっていながらその均衡を崩さない最大限に出るところは出ている抜群のプロポーションを最大限に強調している


8: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:56:18

酒が一気に身体に回ったように、彼女を見つめること以外にできることがなくなってゆく。膝の上に柔らかく感じる重みは、逃げ出す隙を優しく蕩かしてくる。
いつもの爽やかな笑顔ではなく、どろりと融けるような妖しい微笑みが、ゆっくりと近づいてくる。さっきのケーキよりもずっと、美味しいごちそうを見つけたとでも言うように。
「…後で」
漸く言葉を発することができたのは、彼女の唇が帯びる熱を感じてしまうほどに、ふたりの距離が近づいたときのことだった。あとほんの少し近づけば、触れ合ってしまうほどに。
その寸前で怖気づいてしまったのに、彼女はそれを気に留めることもなく、また愉しそうにくすりと笑った。
「…ふふっ。じゃあ、楽しみにしてるね」

彼女と離れてキッチンに立っているときでも、その言葉と熱がぐるぐると身体の中で渦巻いている。火加減が落ち着いて思考に暇ができれば、気づいたときには彼女の温度と唇の柔らかさのことを考えている。
本当に厄介だ。彼女の毒は本当に自然に、気づかないうちに回ってゆく。
甘く優しく食べられてしまうのが、幸せだと思ってしまうなんて。




9: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:56:39

たっぷりと腹を満たして風呂で身体を温めれば、身体に眠気が満ちていくのは当然のことだった。明日が休日であるならそれに逆らう理由もなく、ゆっくりとベッドに身体を横たえれば、心地良い眠気で身体が重くなってゆく。
そんなふうに沈みかけた意識を、外の空気が少しだけ現実に引き戻す。寝床の中に一瞬だけ流れ込んできた冷たい空気は、甘いシャンプーの香りですぐに塗り替えられた。
「こんばんは、アタシの眷属さん」
ゆっくりと身体を翻してその匂いの方を向くと、悪戯っぽく微笑んだ彼女が、腕を広げて待っていた。
「…ん、どうした?」
寝巻姿の彼女をこうやってベッドに迎え入れるのは、そう珍しいことではない。心地良い温もりの中に訪れた幸せな時間を拒む理由はどこにもなくて、そのままぴたりと身体を寄せて、彼女の温度で暖を取る。
お互いに曖昧な意識のままなら、甘えるのも甘えられるのも恥ずかしくない。そんな思いを知ってか知らずか、答える彼女の表情はどんどん甘く蕩けてゆく。
「キスをもらいに来ました」
一度落ち着きを取り戻した心臓が、また思い出したように早くなるのを、愛おしそうに見つめながら。




10: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:57:12

「ん…ん…!」
昼間はあれほど焦れったかった距離があっという間に埋まってしまって、彼女の熱が唇から、抱きしめられた身体全部から流れ込んでくる。
さっきまでの温もりは暖かくて心地よかったけれど、今のそれは熱くて融けてしまいそうになる。身体の上にしなだれかかる彼女の柔らかな重みも、首筋に添えられた指がどこにも行かせないように頬を優しく撫でるのも、何もかもが頭の中をどろどろに融かしてゆく。
唇も、頬も、身体も、何もかもが彼女を感じるためだけに使われていく。自分のものだった全てが、ゆっくりと彼女のものになっていく。
それが嬉しくて仕方ない。ずっとこうしていられるなら、融けてなくなってしまってもいい。
心から、そう思っていた。





11: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:57:38

彼の温度を思うさま味わいたくて、舌を伸ばして彼のそれと絡めあう。ん、ん、と甘い声が漏れる度に揺れる身体が愛おしくて、応えるように彼にのしかかって、どこにも行けないようにしたくなる。
長い長いくちづけをして漸く唇を離したときに、彼の顔がすっかり蕩けきってしまっていることにひどく満足感を覚えて、今度はその唇に指を這わせた。
「嬉しかったよ。きみがいたずらしてくれて。
だからね、もっとほしくなっちゃったんだ」
彼と愛を交わすときには、自分の気持ちを偽らないことにしている。ありのままにどこまでも彼を欲して、彼がそれを受け入れてくれるのが、何よりも嬉しいから。




12: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:57:58

こうやって彼の肩に頭を乗せて、身体を預けるのが好きだ。暫くそうしているうちに彼が頭を撫でてくれると、その手から彼の優しさが伝わってくる気がする。
「…なんで、こんな急に」
でも、今日の彼はまだそういう気分になりきれていないらしい。昼間のやりとりは素敵だったけれど、少しだけ甘すぎただろうか。
でも、やめてなんかあげない。アタシはもう、きみのことしか考えてないから。
「きみのせいだよ。
きみからごちそうをもらうのも、きみにいたずらするのも、ぜんぶやりたくなっちゃった」

「だからさ、ちょうだい?
きみのいちばん、おいしいところ」




13: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:58:14

彼の肌に指を這わせて、品定めをするように見つめる。唇を、頬を、胸元をゆっくりとなぞって。
でも、今のアタシは吸血鬼だから。どんなところよりも、ここが美味しそうに思えて仕方ない。
「あ…!」
染み込ませるようにゆっくりと、彼の首に唇を触れさせる。ゆっくりと音を立てて啜るように吸い付いて、優しく、けれどはっきりとわかるように甘く歯を立てる。
その奥にあるきみの全部がほしいと、唇から伝わるように。
あるとき、いきなりここにキスをしてから、彼はここに唇をつけることにひどく敏感になった。それからというもの、くちづけの度に切なそうに身体を震わせる彼がどうしようもなく可愛らしく思えて、幾度愛してもそこに触れるのを止められない。

首筋をゆっくりと舌で圧すと、どくん、どくんという鼓動が伝わってくる。それがどんどん早くなっていくのがわかる度に、アタシの中の熱が出口を求めて、どうしようもなく焦がれてしまう。
本当に血を吸ってあげることはできないけれど、できるならそうしてみたいとさえ思う。たとえそれが血の一滴であったとしても、きみの存在を感じていたい。




15: 名無しさん(仮) 2023/11/12(日)00:58:53

吸血鬼はどうして血なんて吸うんだろうって、ずっと不思議に思ってた。鉄の味しかしないのに、それが本当に美味しいのかなって。
でも、今はそれが何となくわかる。
こうやって手を繋ぐのも、抱きしめあうのも、血を吸うのも全部一緒だ。
きみがここにいるって教えてくれる。だからこんなにも、その温もりに夢中になってしまうんだ。
きみのことを感じていたい。きみにアタシを感じてほしい。陽の光の下を歩けない吸血鬼でも、きっとそれは変わらないだろう。
好きな人の血なら、きっとさぞ美味しいに違いない。




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